さて、その後。金子さんがいなくなり、やっぱりリーダーになって、益々仕事がきつくなって午前様続きになってしまった浩国。もう午前4時くらいなのだが、台所に立っている。ということは、甲斐のつくっておいた晩御飯を食べて洗い物をしていたのか。この回は、場所が会社のなかとか家でも早朝とか深夜とか、物理的にも明るくない場面ばかりで、写真撮りながら辟易してしまった。写真が暗くてその分輪郭がぼけ気味なのはご容赦を。(PCの画面を撮るから青く暗くなるのかな?スマホの画面を撮ったほうがいいのかな。)
 
 

甲斐が起きてきた。これからまた毎日帰りが遅くなるから、晩飯はいいよという浩国に、

 

 
バックハグして「やだ、早く帰ってきて」という甲斐。(^^;)
 
 
どぎまぎした浩国に、「チョロ国」といって笑う甲斐、浩国は怒って技をかけた。(^^;)
「ギブ、ギブ」といいながら笑っている甲斐。男兄弟がふざけあっているみたいだ。
 
 
会社では、納期が近づいていて、みんな根をつめて仕事している。そこにピロンと甲斐からライン。「晩飯」と添えてある写真は天津飯。「うまそう」と返信。でも、浩国の机の上はこんなだ。
 
 
エナジードリンクの飲み過ぎは、カフェインなどの摂りすぎにつながるので体に悪いから注意してね。浩国が帰れないということは、甲斐も一人でご飯を食べなければならないということ。
寂しいよね。
 

 
そのあとも毎日写真が届く。翌日は八宝菜みたいだし、その次は冷やし中華かな。甲斐って、いかにも一品料理屋で男子が注文するような料理を作ってるわね。(;'∀')作りなれてるメニューなんだろうな。
 
 
夏頃だと思うけど、ブリ大根とか、しまいには生姜焼きらしいものを食べる動画まで。(^^;)
 
 
「あのやろー、俺が好きなものばっかり毎日毎日。どんないやがらせだよ。」と浩国。家に帰りたい・・・そんな風に思ったのなんて、いつぶりだろう。ずっとそんな気持ちになったことなかった。(すっかり胃袋をつかまれているね(^▽^))
 
 
頑張っているスタッフに、山のように差し入れを買ってきた。みんな喜んで寄ってきたが、
 
 
向かいの机の坂本君がおかしい。半泣きで、「だめです、終わりません」と。彼は今朝だったか昨日だったか、浩国が出社したとき(ほかには誰もいなかったけれど)すでに着席して仕事していた。「帰らなかったのか?」と尋ねると、仮眠をとったから大丈夫ですと言っていたのだが。
新人らしく、先日はミスもしていたし、相当に心身ともに重圧がかかっているのは明らかだ。
 

 
今日はもう帰って寝なさいと、浩国は彼を帰した。その分の仕事は自分でかぶる。スタッフも寝ないとミスが増えると早めに帰した。
誰もいなくなった深夜、甲斐に電話した。「お前、毎日何だよ」「帰りたくなった?帰ってきなよ。」「おばさんも心配してたよ、毎日帰りが遅いって。気がむいた時でいいから、様子見てやって、って。だから浩国が倒れたら俺が怒られる」甲斐の声に、ほっと安らぎを感じる。「俺が倒れてもお前は怒られないよ。」「もう辞めたら、浩国が仕事辞めても誰も怒らないと思うよ」と甲斐は言うが、浩国にはこれまでそんな選択肢は思いもよらなかったし、仕事も放りだせない。そして、終わりそうな会話を引き延ばしている。恋人同士の電話ならよくあることだけど。いつまでも終わらないんだよね。(;^ω^)電話を終えて、俺、もっと甲斐の声を聴いていたいなんて思ってしまった、と気づいて焦るのだった。
 
 
甲斐がお茶碗を手に取ったら、別の着信があった。料理屋のおやじさんからだった。退院が週末に決まったという。そして、店は閉めることにしたと。息子のところにいくようだ。それ以上なにも言わなかったが、ということは、親父さんは病気が重いかあるいは体力に自信がなくなって、つらい決断をしたということだ。残念だなあ。そして甲斐は、浩国にここにおいてもらう期間が、「親父さんが退院するまで」だという約束だったことをかみしめていた。
 
 
会社では、例のパワハラ主任が、坂本君の不在を咎めていた。甘い顔するからさぼったという主任に、坂本君はもう十分頑張っていますと浩国。でも主任は、今すぐ家に電話をして会社に呼び出せという。半人前はとにかく働けと言えと。普段は言うなりになっている浩国だが、この日は「いやです!」とはっきり言って、周囲のスタッフたちは驚いた。
 
 
彼は呼び出さないが、仕事は納期までにきっちり仕上げます。一応言っておくが、「頑張ったけどできませんでした」は社会人では済まないんだからな、と上司。
 
 
大丈夫ですか、と周囲が心配するが、逃げたいなら逃げたほうがいいんだよ、俺みたいになる前にという浩国に、顔を見合わせるスタッフたち。浩国、完全にいわゆる「社畜」ではないか。それにこの会社の実態は、労働基準監督署に訴えたら完全にアウトなのでは?(・_・;)
 
 

 
夜スタッフたちを先に帰して、まだ居残り仕事する浩国。深夜、甲斐に電話かけようかな、ライン来ないかなと思っているみたいだが、電話しない。いっぽうよく眠れない甲斐も遠慮していて、電話かけたいのにかけられない。
 
 
 
すっかり朝になってしまった。始発で帰ってきたのかな、浩国。公園を通りかかると、向こうからちょうど甲斐がランニングしてきたのに出くわした。甲斐はいつも朝早いけど、それにしても浩国が気になって寝ていられなかったんだろうな。
 

 
 
ふたりでベンチに腰掛ける。浩国がぽつりと言う。こうしてると、ガキのころを思い出すなあ。
あのころは、自分がこんな風になるなんて思ってもみなかったなあ。・・・どんな風に?
 
 

 
睡眠とかうまい飯とか家族とか友達とか大切な人との時間とか、いろんなもの犠牲にして働いてんのにそのことに何にも感じなくなって、仕事の手ごたえもない。徒労みたいな人生だ。すると甲斐はシニカルに、徒労じゃない人生ってある?と訊く。(個人的には人生は徒労なんかじゃないと思うけどね。(^^;))
ないのか。・・・本当は怖いからなんだ、やめられないのは。親に心配かけるとかいろいろ考えるけど、頭の隅じゃ辞めれば全部楽になるって思ってる。拠り所なんだ、それが。だから残しておきたいんだよ。なくなったら自分がどうなるかわからない。馬鹿みたいだろ。
・・・ちょっとわかるよ。俺にとってのヒロもそうだったから。
そうなのね、甲斐にとっても浩国が最後の砦だったのね。だからそんなに早くは会いにこ(れ)なかったのか。(´;ω;`)
 
 
浩国は甲斐の頭に手を置いた。「何?」「なんか可愛いなって。・・・いや」そういったとたんに、甲斐は浩国にキスをした。Σ(゚Д゚)電光石火の早業!
 
 
 
 
いったん離れて「何を?」と浩国は言ったが、もういちどキスした甲斐。
 
 
「何してんの?」「誘われたから。」「誘ってねえし!!」「でも、嫌じゃなかったろ。」
「どこからくる自信なんだよ」
 
 
「浩国さあ、そろそろ答え出た?」「いや、まだ、悪い」「もうあんまり待ってやれないかも。」
えっ?という顔をした浩国に、「おっさんが退院することになった。それまでって約束だったよな、浩国のところにいるの。」
 
そう、二人の暮らしのタイムリミットは、もうそこまで迫っているのだ。どうする、浩国?(「どうする家康」じゃないんだけど。(^^;))甲斐にはいくところがないんだろうから、このままいてもらったらいいのに。