また今夜も午前1時過ぎに帰ってきた浩国。起きた甲斐はオムライスを温めた。また最近ひどくなったな、顔。(-_-;)
浩国は、甲斐に好きだと告白されたが狐につままれたような気分。いったいいつからでどんなところが好かれたのか知りたい・・・よね。
お前が俺に・・惚れたのって、ガキの頃の話だよな・・それから10年以上会ってなくて、その間ずっと俺のこと・・・?「自意識過剰!」「それはわかってる」
「ずっとじゃないけどヒロ以外好きになった人はいないから、そうなのかもね」

「ちゃんと考えてくれてたんだ。」「言ったろ」「律儀だな、そんなだから生きづらいんだよ」

 

ちょっとムッとした浩国だけど、口元にケチャップがついている。(^^;)

それを拭き取った甲斐。(かたなしだ(^^;))

 

 

だったらもっと早く会いに来いよ。こんなにデカくなってから来られたら、ビビるだろ。

 

本当は二度と会う気なかったからな。何で?

ヒロのこと、カッコイイと思ってたから、変わってたらいやだなって。嘘つけ、子供の時散々バカにしてただろ。

じゃあ、何故うちに?

おっさんが倒れてなにもなくなったら、無性に見たくなったんだ、ヒロの顔。

 

甲斐が買い物をしていたら、食料品店の外に野菜の苗の鉢植えが並んでいたのに目が留まった。ちょうど浩国から連絡が入り、今夜飲み会に出るので夕食は不要とのこと。

 

居酒屋で。一仕事完成させたための打ち上げらしい。会社の机と同じような着席のしかたをしているわね。(^^;)浩国はあまり食欲なさそう。お疲れモードだ。そして、金子さんにそっと声をかけられ外に出た。そこで告げられたのは、全く意外なことだった。

 

まず一つは、金子さんが、近く退職すること。前々から知り合いの会社に移りたかったが、今の会社と折り合いをつけるのに時間がかかったそうだ。それは浩国にとって、頼りになる先輩を失うということだし、そうなれば次のチームリーダーは浩国になるだろうと。俺にはとても、と言うと、渡は仕事ができるから大丈夫だが、お前も転職を考えたほうがいいと思う、とも。

二つ目。浩国は、自分が無能だと何度も何度も暗に主任から言われ続けてきたのだが、それは浩国を会社に囲い込むためのいわば洗脳だという。別の会社に移っていかないように、居場所はここしかないと思い込ませるためだと。ほんとうにダメになる前に考えたほうがいいぞ。

 

そのショックからか疲労のためか、早くも浩国はテーブルに突っ伏してしまっている。

終電だからと立ち上がった女子もいる時間なので、金子さんは浩国を家に帰すのに、住所を知らないので同居人の甲斐に聞こうとした。これかな、と浩国の携帯から電話する。ちょうど甲斐は夜の街をランニングしていた。お店の場所はそこから近かったので、今から迎えに行きますと甲斐。すると、終電と言った女子は、興味津々の顔で座りなおした。(^^;)わかるけどね。

 

 

ほかの同僚たちが噂する。昔の知り合いと同居って、意外。渡さんって、最近少し声をかけやすくなったけど、やっぱり近寄らないでオーラ全開ですよね。そうかみんな知らないのか、と金子さん。入社したころの浩国は、積極的で仕事の提案などもしていて明るかったのだと。みんなへえ~と驚く。そして潰れていた浩国が、いきなりがばっと起き上がって「金子さーん!」と抱き着こうとすると、まさに丁度店に入ってきたところの甲斐が引き離した。( ̄▽ ̄;)

 

 

「『うちの』ヒロが、ご迷惑かけてすみません」おおー、マウントとってる~!(;´Д`)

完全に金子さんをライバル視してる。💦ほら、ヒロ、タクシー待ってるぞ。

 

金子さん、「俺、なんかした?」いえいえ、そうじゃないんですよ~。(^^;) 終電女子はもうすっかりお尻に根が生えて、すみませーんと焼酎をボトルで注文した。(;^ω^)

 

浩国をおぶってきた甲斐。力持ち。(^▽^)でも玄関先でばたっと二人とも倒れた。

「俺、金子さんがいないと無理だ。」「じゃあ辞めろよ」「辞めない」

甲斐、ごめんな、俺昔と違ってかっこ悪くて幻滅したろ。自分じゃ何一つ決められなくて周りに迷惑かけて。こんなとこ見られたくなかった。涙ぐむ浩国。

 

 

 

甲斐も語り始めた。俺、家庭環境がアレだったから、みんな結構声かけてくれたんだよ。でも、「可哀そうな子」って言われてる感じで嫌だった。でも、浩国は違った。

「お前友達いないの?じゃあ、俺の話聞いてくれよ」「そんなの自分の友達に言えばいいだろ」

「お前わかってないなあ、友達にはむしろ言えないものなんだよ、頼むよ。お前しかいないんだから」(・・・ほんとかなあ?(・_・;)浩国、よくわかってるなあ)それでよく公園で二人は会うようになった。

 

 

俺にとって、人から必要とされたのも、人を信用できたのも初めてだった。だからヒロはかっこいい。

そんなの昔の話だろ、今の俺にはお前を助けてやることができない。

でもヒロは、俺に(親父さんが退院するまで)晩飯作ってくれと言ってくれただろ。昔と同じだ、変わってないよ。風呂に入って寝なよ、着替え取ってくるから。

甲斐が去ると浩国は、「助けられてんのは俺のほうじゃねえか」と呟いた。

 

翌朝、甲斐が台所に立っていると、浩国が起きてきた。ベランダを見ると、そこには金魚のために買った水槽に、苗が植えられていた。(プチトマトかな?)

 

 

水耕栽培って言うんだって。これ何?ひどい顔が治る野菜。実がなるまで1か月くらいかかるって。

 

朝飯もうすぐできるよ、顔洗ってきて。うん。

 

 

この二人、よく合っていると思うなあ。まじめで優しい浩国と、寂しいのを隠してるけどしっかりものの甲斐。このまま仲良くずっと二人で暮らしていけないかな。