11月は、「人生に詰んだ元アイドルは赤の他人のおっさんと住む選択をした」「法廷遊戯」「正欲」「駒田蒸留所へようこそ」「ゲゲゲの謎 鬼太郎誕生」の5本。
駒田蒸留所については別ブログで書いたので略。
「人生に・・・」略して「#つんドル」は、何となく気になって見たが、見終わってやっぱりほんのりほっこりした。
 

大勢のガールズグループにいた元アイドル安希子は、卒業して出版社のライターになったが、もとアイドルという経歴は仕事上でも社会生活上でも何もメリットがなく、そのうち適応障害ぽくなって通勤電車に乗れなくなり、具合悪い時に助けてくれようとしている人であっても、それが男性なら怖くて頼れなくなった。当然退職して貯金残高が10万円になったとき、親友から「ささぽん」の家でルームシェアしないかともちかけられた。

ささぽん(井浦新)は、広めの一軒家に一人で住む中年男性。格安のお家賃で住まわせてくれ、前の間借り人も若い女性だったという。いい人だから絶対安心、と言われて同居してみたら、ささぽんの距離感が絶妙に良かった。父でも兄でも彼氏でもないけれど、なんだか役割に囚われないそこはかとない親近感と、温かい信頼感があって。それに対して水煙草バーで知り合った猪塚健太君、なんで彼は彼女がいるのに安希子と近しく付き合うかなあ?。紳士的で特に手は出さないけど、気をもたせるのも罪だよね。(そして個人的に猪塚君はもっと売れてもいいと思う)

安希子はまるでささぽんの家を避難所にしたように、元気になって新しい家に引っ越していく。

井浦新の新しい魅力を見つけた作品だった。

 

これは原作知らずだが、主演の3人がみないい俳優なので、期待して見た。期待にたがわずいい作品だった。しかし・・・・。世のなか不条理なことだらけだなあと改めてつくづく思った。そして法律には盲点がある。警察の捜査にも。そこをうまくついたわけだけど。繊細で正直な人がバカをみるようなことを避けるための法のはずなんだけどね。これをなんとかするには、公平な司法だけでなく、やっぱり人を思いやるような立法が必要なんだと思う。それにしても杉咲花はオソロシイ俳優さんだなあ。ちょっとしか出ない大人の脇役さんたちのキャストも、贅沢だった。ちなみに上の写真はフライヤーではなく、入場特典の名刺大ホログラムカード(シールかな?)
 
それでいえば、これも「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」の入場特典のハガキ。この人間は水木さんという記者で、(漫画家の水木しげるさんではない。腕が2本あるでしょ)水木しげる生誕100周年記念映画。
 
まだ戦後そんなに経っていないころ、巨大な製薬会社の取材のため、とあるへんぴな村を訪れた水木は、その村の奇妙な創業者一族の秘密をかぎつける。村人も絶大な財力と権力をもつ一族も、何か隠している。おりしも会社の代替わりが行われる時で、跡目相続の争いがおこったが、水木は風変わりな男が排他的な村にやってきて捕らわれたのに遭遇した。その男こそ、行方不明になった妻を探しに来た鬼太郎の父だった。上のフライヤーでは着物を着た片目だけ出しているのがそれ。世の中には見なくていいものが多すぎ、片目で見るくらいがちょうどいいのだという彼は、ひょうひょうとして愛妻家で男気もあって、なかなか素敵な男性だった。幽霊族の生き残りの彼は、人間には特に関わらなくてもいいと思っていたが、彼の妻は、人間を愛しやさしく接する人だった。水木と鬼太郎の父は、協力し合って、製薬会社一族の恐るべき陰謀を暴き妻を取り戻し脱出しようとするが・・・・。これはお薦めです、もう一回見に行ってもいいなあ。子供向きではない、大人の鑑賞に堪えるアニメ。結局一番恐ろしいのは人間なんだわね。(;^ω^)
 
 
 
主人公は吾郎ちゃんなのかな、新垣結衣なのかな?新垣結衣には珍しい、ちょっと汚れ役。可愛いのにほとんど笑顔なしで。主演の人たち5人、みんな日常生活に鬱屈した思いを抱えている。吾郎ちゃんの場合は、カチコチの「自分がこうだと思ったらこう、これが正解」みたいな人で、不登校の息子とその息子にちっとも歩み寄ってくれない夫に愛想をつかしかけている妻との間に溝ができてしまっている。
ほかの人たちは、自分が一般ピープルとは違う嗜好を持っていることを言い出せず、理解もしてもらえないため、殻に閉じこもっている。
そのうち学校卒業後地方に残った新垣結衣と、同級生でいったん東京に出たが両親の事故死で戻ってきた磯村勇斗が再会し、お互いの秘密に気づき(それは共通していた)、なにかと都合がいいので仮面夫婦になって東京で二人で暮らし始めた。お互いに心をなだめあって、穏やかな二人の暮らしは続いていきそうだったが、夫(仮)がSNSで知り合った同じ趣味の人たちに会いに行き、楽しいひと時を過ごした後、そのうちの一人が逮捕された。そのために夫も逮捕され、無実なのに取り調べを受け、周囲から白い目でみられた。
自分も警察(検事のオフィス?)に呼ばれ、取り調べをする吾郎ちゃんに対峙する妻(仮)の新垣結衣。吾郎ちゃんは世間様代表としての考え方しかできず、まるでかみ合わない。そして尋問の最後に、「なにかご主人に伝言は?」と訊かれ、彼女は「(私は)いなくならないよ、と(伝えてください)」。そのときの吾郎ちゃんと彼女の表情の対比を見てください。彼は家族にいなくなられた、一方彼女はずっと夫のことを待っていようとしている。
朝井リョウの静かに売れ続けている小説が原作とのこと。読んで対比するのもいいけど、なかなか時間が・・・。(-_-;)
 
追加。高天、アカイリンゴ、ジャックフロストに出ていた鈴木康介くんも正欲に出ていた。彼は前者3本と同じく、やはり人の世話をやく親切な人の役。ぴったりだった。