夏休みでも、ちゃんと課題はやらないといけない。真面目に教室でPCに向かう彼ら。なんだかタイプライターの上にブラウン管受像機をつなげたように見えてしまうが。(^^;)
そして、彼らは一緒に合奏したりもする。ノリオがピアノ、カズヒコがヴァイオリン、ナオトがチェロを弾いていると、カオルが来た。カオルにややなついているノリオはカオルとピアノを代わった。ヴァイオリンと合わせるとなかなかいい感じ。ノリオはナオトに「きっとカオルはユウの生まれ変わりだ」などと言う。(それは年齢的に無理💦)
 

 
でもナオトは、きっとカオルはユウ自身なのだと思っている。
カズヒコは、ユウのことを思い出していた。仲良くはしゃぎまわって一緒に遊んでいたのに、ある時ユウはカズヒコに恋の告白をした。カズヒコはそんな気持ちが全くなかったので、戸惑い悩んだが、結局何通も来た手紙を3通目からは読みもしなかった。
 

うっうっ、( ノД`)可哀そうなユウ。とまあ私ならそう思うのだが。

まだある。カズヒコが詩の朗読で賞をもらったとき、ユウはお祝いに花束をくれたのだが、それは白ユリだった。純潔の象徴だし綺麗ではあるが、カズヒコはそれはお葬式の花だと感じた。つまり、ユウはどうにも間が悪かった。気の毒に。

 

 
そしてカオルが来たことで、カズヒコの気持ちにも変化がおきた。夜うなされたカズヒコは心配するナオトに言う。ユウも、カオルのように僕を突き飛ばせばよかったんだ。でもユウはそうしなかった。なのにずかずかと僕の心に入り込んできた。

そしてある日、とうとうカズヒコはうなされながら息を止めてしまった。
驚いてカズヒコの鼻をつまんで、マウス・トゥ・マウスをするナオト。
よくとっさにできた、偉い、とも思うが、カズヒコにキスしたいと前から妄想でシミュレーションしていたのかな?ちなみに寝間着もお揃い。寝間着まで決められているの?数回の人工呼吸でカズヒコが自発呼吸をし始めたの、ほっとしてナオトは自分のベッドに倒れ込んだ。

 

 
ノリオは、眠れなくてナオトとカズヒコの部屋を訪ねようとしていたが、なんだか気安く入れない雰囲気に引き返す。部屋にあるちょっと変わった模型たちに名前をつけて、「ナオトはカズヒコが好きで、ユウもカズヒコが好き。何で?カズヒコは優しくもないのに。僕だけみそっかすだ。僕にやさしかったのはユウだけだ」といじけている。カオルと林で昆虫採集し蝶を捕まえたが、カオルが虫かごに酢酸エチルを入れていて、そこに入れられたアゲハが死んだので怒った。自習室に入ってきたアブを怖がり、でもそれをふんづけたカズヒコに食ってかかったこともある。ノリオは繊細でやさしいのだ。
一方カオルは夜中にどこかしらに電話(もちろん寮の固定電話よ)をかけていた。お母さんに話しかけていたようだ。その様子を見かけたナオトは、食堂の内線でつながっている電話を使い、内容を盗み聞きした。それによるとカオルは母の再婚相手とうまく折り合う自信がないので、寮にいるらしい。そしてカオルの母は画家らしかった。ナオトはカオルがユウだと確信する。ユウの母も画家だった。ナオトはこの夏休みが永遠に続けばいいと思っていた。ずっとカズヒコのそばにいたい。しかしカオルの出現がその時間を捻じ曲げた。
 
カオルの追いかけた蝶が林で本を読んでいたカズヒコのもとに飛んできた。「その蝶、捕まえて!」と言われたカズヒコが反射的に蝶の止まった本を閉じると、蝶は死んでバラバラになってしまった。「きれいな形のまま死なせてあげたかったのに」「きれいでもでなくても死は死だよ」「死んだものに対する同情はないの?ユウに対してもそうだったんだろう!」「僕はなぜユウが僕を好きだったのかわからない。僕は自分をあまり好きじゃないのに」「ああ僕だって好きじゃないよ、でもナオトもユウも君が好きだ、なのに君は誰も愛さず、心に鎧を着ている。それはなぜ?」「僕はきっと臆病なんだよ、自分をさらけ出してしまうのが怖いんだ」「ナオトの兄さんぶって君を保護しているような愛なら居心地いいんだ。でもそれ以上になると、傷つきたくないから、ヤマアラシのように棘を生えさせるんだ、ユウは傷だらけになりながら君に近づいた、君はそれが赦せなかった。もういいだろ、死んでしまったんだから赦しておやりよ」
 
「ユウは僕に忘れさせないために崖から落ちた。こんな身勝手な押し付けがましい死はないよ。ユウは僕の内側に土足で入り込んできて、そのまま居座っているんだ」「裸足で、裸で、だよ!裸の自分を君に差し出したのに、拒まれて死んだんだよ。そして君は、ユウの死を背負いきれなくて苛立っているんだ。死んだ人間を再び殺すことはできない、君はユウが遺した思いから逃れることはできないんだよ」カズヒコは、カオルの肩をゆすり、「カオルの中から消えてくれ、ユウ!」というが、「ユウの気持ちが僕はよくわかる、でも僕はユウじゃない、カオルだよ。ユウはもう死んでしまって、いくら逢いたくてももう会えないんだよ!」思わず机につっぷしたカズヒコに、カオルは「君は寂しくないの?たった一人で」と。その様子は壁に隠れてナオトが見ていた。「なぜ殺さない?そいつはユウだ」とつぶやく。
 
それからほど近い早朝、急にカオルが帰省した。お母さんが急逝されたと訃報が入ったという。でも昨夜その電話はカオルがとったというが、遅くまで起きていたノリオはそんな音は聞いていない。カズヒコもカオルを追って列車に乗ったとナオト。カオルを追い出したいから嘘ついたのかというノリオにナオトは、追い出したいのは誰も自分を愛してくれないといっていじけているお前だと言ってしまう。
 
 
かたやカズヒコは、カオルのお母さんのアトリエを訪ねていた。一人で沈んでいたカオルに、お母さんの思い出を聞かせて、と頼む。カオルには母しかいなかったが、カズヒコの家族はと問うと、彼の両親は発電所の事故の後遺症(ええ?1986年のチェルノブイリを連想💦)で二人とも死んでしまい顔も覚えていないという。「じゃあきみはたった一人で生きてきたんだね。」「でも悲しいと思ったことがない、思い出がないから。だからカオルの大切な家族の話がききたい、一緒に悲しい思いをしたい。」・・・それで、カズヒコは情緒的にあまり発達していなかったのかな。ていうか、以前のユウとカズヒコは仲が良かったからこれまで既に自分の家族の話とかしてるもんじゃないかと思うけどな。
「今夜はずっと僕と一緒にいてくれるの?」とカオル。「もちろんだよ、一晩ずっと話をしよう。泣いて、母さんのことを早く思い出にしてしまうんだ。」カオルはカズヒコの胸で泣いた。
そのとき、今度はナオトがうなされていた。
 
 

「だめだ、そいつはカオルじゃない、ユウだ」といって目覚めたらまだ隣のベッドにカズヒコはいない。起きてノリオの部屋に行ってみると、部屋にノリオはいなかった。

翌朝早くカズヒコとカオルが一緒に寮に帰ってきたら、正面玄関の階段にナオトがうなだれて座り込んでいた。

昨日酷いことをノリオに言ってしまってから、ノリオの姿がどこにも見えないのだと。3人で周囲を探し回ると、ノリオは岩の下にうずくまっていた。ケガをした野うさぎを見つけ、悲しくなって夜じゅう抱いてここにいたという。「カオル、お母さんがなくなったんでしょ」とノリオがきくとカオルは「うん、でももう一人じゃないから寂しくないよ」と言った。僕だけ除け者だと思って一人ぼっちで寂しかったとノリオ。でも、温かい飲み物をさしだして、ノリオは一人じゃないよというカズヒコに「カズヒコ、なんだか優しくなったみたい」。
そして夜、池の桟橋で、ノリオが持っていた花火にみんなで興じた。こういうの(花火)、お約束なのかなあ。でも池に浮いていた手紙を、カオルは見つけて拾い上げた。(またナオトがそれを目撃。(^^;))
それは池に飛びこむ前にユウがカズヒコにあてて書いていた手紙だった。(きれいな文体でなかなか泣かせる内容なんだけど)それをカオルがひとり読んで泣いていると、ナオトが来た。君は、ユウだ。君はカズヒコに拒絶されて死に、カオルとして生まれ変わった。そしてカズヒコの愛を手に入れることに成功した。何年も前に死んだ母親のアトリエにカズヒコを誘い出して。
ナオトにそう迫られたカオルは、外に走り出た。
で、やっぱりあの二時間ドラマではないが、二人が行きついたのはあの崖だった。「君がいなくなって、カズヒコが僕だけを見て僕だけに頼ってくれたのは嬉しかった。が、僕は気づいてしまった。君がいなくなってカズヒコの心は君に以前にもましてとらわれてしまっていた。」「来ないで!」「カオル、飛び降りろ!見届けてやる、君の死を」
そしてカズヒコもまた、廊下に落ちていた手紙を見つけ、はっとしてあの崖に急いだ。また、窓から入ってきた風に模型たちが全部倒れたのを見たノリオも、嫌な予感がして、走って池をめざした。
崖の上にいた二人を見つけ、「何をしてるんだ」と問うたカズヒコにナオトは、「こんなところに君が現れるとはね、僕にはツキもない。カオルに訊けよ。いや、ユウに」といい、去った。
どうしたんだと訊くカズヒコにカオルは、「ナオトは心の病だ、僕はあやうく殺されかけた。ナオトは君が好きなんだ、知ってた?」「いや」・・・鈍すぎるよねえ、カズヒコ。(-_-;)「彼苦しんでるんだ、そばにいてあげてよ、君にしか助けることはできないんだから」。なんて優しいの、カオル、いやユウ。(´;ω;`)「僕は君が好きだよ、カオル。」「どのくらい?」「僕は今まで人を好きになったことがなかった。カプセルの中の安全地帯にいた。僕はユウを拒み、ユウは死んだ。でも僕は君をみつめてユウを知り、ユウを通して君に近づいていった。そして君が好きになった。カプセルは壊れたよ。」「だからさ、どのくらい僕を好きなの?」といって二人は
ファースト(多分)キスを。
 
 
 
「カズヒコ?僕は、ユウだよ。君に思い知らせてやりたかった。君を好きにさせて、今度は僕が冷たくしたかった。」「僕を赦してはくれなかったんだね」「君が赦される方法は、ただ一つ。僕と一緒に死ぬことさ。」一緒に死のうよ、子供の時間は一番素晴らしいんだから。一緒に死んで、生まれ変わろうよ、子供にさ。そして子供のまままた死んで、また子供に生まれ変わろうよ。「いいよ、一緒に死ぬよ。」とカズヒコ。
雷鳴がとどろき、胸騒ぎがしたのか、ナオトが道を引き返してきた。
「僕は君が言う通りユウさ。そして君が言った通り、ここから落ちて死んであげるよ、だけど一人じゃいやだ、カズヒコを連れて行くよ」そういって二人で崖から飛び降りた!
「違う。僕が望んでいたのは、こんな結末じゃない」と言ってナオトも後を追う。
ノリオは、「カズヒコ、カオル、死んじゃやだ」と言い、降り出した激しい雨の中、桟橋からボートをこぎ出した。ノリオ、凄く凛々しいな。そして水の中で三人がもがいている映像も入るが、それも美しい。
 
 
そして、カズヒコがベッドで目をさました。朝になっている。まだ雨が降り続いている。
 

 
「夢をみていた。ユウの夢。ユウは、僕を赦してくれた。僕は生まれ変わったような気がする。」とカズヒコ。
「君しか助けることはできなかった」、とナオト。
「ユウは?カオルは?」「消えてしまった。今度こそ本当に死んでしまったよ」
三人は、カオルに捧げる花束を持って、池に行きボートに乗った。カズヒコが子供の時、虫取りにいって友人たちとはぐれ一人になった時のことをぽつぽつ語った。世界に自分がたったひとりで、美しい夕焼けを見ても語り合える相手もなく、泣くことしかできなかった・・・。ちょうどこんな夕焼けだった。「カオル、ごめん」とつぶやくナオトに寄り添うノリオ。
 
 
が、・・・また鉄道で(電柱が見えないからディーゼルか)一人駅に降り立った少年がいた。
 
 
かれは学校に来て、カズヒコに出会い、「きみは、ユウ?カオル?」と尋ねられる。
「どちらでもない、でも君のことはよく知ってる」
正面玄関にくるとノリオの蹴ったボールが転がってきたので返してやる。笑顔になるノリオ。
こうして彼は、何度も何度もあの姿でここに現れるのだろうか。
 
 
キャストは、悠/薫 宮島衣里、 和彦 大寶智子、 直人 中野みゆき、 則夫 水原里絵。
この則夫役は、どこかで見た顔だなあと思ったら、今の深津絵里だった。声は、悠:宮島衣里、薫:高山みなみ、和彦:佐々木望、直人:村田博美、則夫:水原里絵
スタッフを拾い書きすると、制作に岡田裕(にっかつ)、脚本岸田理生、音楽中村由利子、監督金子修介。
 
 

 
ファンタジーだが思春期の少年たちの成長も描かれており、詩情もあり画像も美しかった。何度も子供の姿で蘇る、となればやはり萩尾望都のテイストがある。でもトーマの心臓というよりポーの一族かしら?(^^;)
独特の世界観で良かったが、、、、実際1999年を通り越した今の世の中なら、少女じゃなくて少年たちをキャストにしたリメイク作品が作れるかもしれない。見てみたいな。彼女たちも中性的できれいだったけど、肩幅とかが狭いのにお尻が大きい感じが・・・m(__)m
それなら声の吹き替えも不要じゃないかな。