岸辺露伴ルーヴルへ行く
露伴は、なぜか、駆け出しの漫画家だったころに住んでいた日本旅館(祖母が下宿屋に変えた)で出会った不思議な女性・奈々瀬(木村文乃)のことを思い出した。ミステリアスで美しい彼女は、孤独そうで何かを恐れているようでもあり、青年露伴(長尾謙杜)は放っておけなかった。君の描く女性は可愛くないと編集者に言われた露伴は彼女を内緒でスケッチしていたが、それがばれたら叱られた。なのに、彼女は露伴の絵を見たいと言い、「世界で最も黒い絵」について語ったのだった。がしかし、彼女はいつのまにか姿を消し、旅館にいろいろあった書画骨董を処分してもらっていた故買屋(もとい骨董屋と言うべきか)も失踪し、いわくありげな絵も外国人(フランス語をしゃべっていた)に引き取られた。
露伴は担当編集者の泉(飯豊まりえ)とともにオークション会場へ向かい、フランス人画家ルグランの描いた真っ黒な絵を競り落とすが、その絵を露伴と争って落札しようとしていた男らが露伴の家に侵入して、絵を奪おうとした。そのうち片方は悲惨な死を遂げたらしい。画家によってその絵の裏に書かれていた言葉は、「私はルーヴルでその絵を見た/後悔」だったので、次の取材先はルーヴルに決まった。
というわけで、舞台はパリへ。いまや世界的に日本の漫画文化は受け入れられていて、露伴は見知らぬ若者にサインを求められたりしているし、ルーヴルでは探し物(日本人画家が描いた黒い絵)の依頼にも応じてもらっている。エトワール凱旋門を後ろに二階建てオープンバスに乗った露伴と泉。冬で寒そうだけど。露伴に隣の白人おばちゃんがフランス語で「シャンゼリゼってどこ?」と訊き、「そこだよ、そこ!」と思わず心の中で突っ込みを入れた。(^^;)露伴も流暢なフランス語で「ここですよ」と教えていて、泉は(彼女も絵の裏のフランス語を読んでいたが)先生って凄いと感心していた。
そしてルーヴルの学芸員らしい美波(彼女も日仏ハーフ)が二人を案内した。よく館内で撮影させてくれたなあと思ったが、でも考えてみればダヴィンチ・コードで撮影に使った時なんかよりも大がかりではないように思う。そして、天井画やシャンデリアで飾られた回廊、モナ・リザやサモトラケのニケなど、いかにもルーヴル的な収蔵品は映ったが、ごく一部だった。
私は数度パリに行ったけど、ルーヴルに入ったのは2回だけ。一回目は30年以上前で、団体ツアーに含まれていた日程で、午前中日本語ガイドつきの案内で見どころをかいつまんで巡り、午後の自由行動の時にそこに残って、自分で薄いパンフを手に歩き回った。かなり疲れたっけ。二回目は9年前に個人旅行(一人旅)で行ったとき、現地でツアーを提供している会社のやはり日本語(日本人)ガイドつきツアーに参加した。こちらのほうがたっぷりゆっくり見られた。そして、前に行ったときはできなかった館内レストランでの食事ができた。(^_^)v「アンジェリーナ」でランチして、デザートに(甘いものはそれほど得意ではないのだが)名物だからモンブランをいただいた。私にとっては大きすぎたが頑張った。(^^;)隣で食事していたアメリカからの中年夫婦が話しかけてきて、ここに来るのは20年ぶりだと言うと、お前はいったい何歳なんだと驚かれ、( ̄▽ ̄;)またそれ(モンブラン)は何だと訊くので、これはこの店の名物なのだと言うと、ふたりで一つ注文していた。
脱線してしまった。さて、探している日本人画家が江戸時代に描いた黒い絵は、地下倉庫にあったらしい。消防士(なにかあったときのために常駐しているという)らと臨時日本人キュレーター(安藤政信というところが既に怪しくない?)と美波、露伴、泉はそこに向かう。そこには何も大事なものはおいていないはずだったが、なぜかフェルメールのものらしい絵があった。本物なら大発見だが、安藤(役名忘れた)は偽物だと言い、露伴は本物だと言う。さて、・・・うーんネタバレになってしまう。
とにかくあの日本人画家の描いた「最も黒い絵」は、見る者に呪いをかけるらしい。そこにいた者たちが次々に奇行を始めるのだった。しかしここでも泉は結構稀有な人だとわかる。(詳細は書きませんが。)
そして、いったんその絵とルグランとの謎が解かれたあと、さらに、その絵のいわれについての謎が解かれる。それから露伴との関係が明らかになる。世界が現代のパリからいきなり日本の江戸時代に変わるのだが、ぜひそこは映画を鑑賞してください。(o^―^o)
ところでストーリーとは直接関係ないが、私は建築物も好きなので、露伴の家と設定されている加地邸(葉山にあるらしい)や、祖母(白石加代子)の日本旅館の内部が見られてうれしかった。オークション会場となったのは、横浜グランドホテルの旧館のほうらしい。まだ立ち入られる場所については、機会をつくって訪ねてみたい。
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GWなので、以前書いた「BOYS LOVE」「BOYS LOVE stage」「ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気」のほかに、「サヨナラまでの30分」「おみおくりの作法」「男女逆転 吉原遊郭」を見た。
「サヨナラ・・・」は、新田真剣佑(ここではマッケンと呼ぶ)と北村匠海が、死んだマッケンの吹き込んだ曲のカセットテープをウォークマンでプレイしている間の30分間だけ入れ替われるというファンタジー。バンドの中心メンバーだったマッケンがいなくなったことでバンドは活動停止し、メンバーらの青春がなんだか宙ぶらりんになっていたが、そこに現れた北村匠海のおかげで再始動する。人とうまく交われない匠海の人生も変わっていく、というもの。割と面白かった。北村君はDISH/のメンバーだし、歌えるし弾ける人だ。葉山奨之などほかのメンバーもよかったが、出演していた清原翔くんがこの作品では元気な姿だったので、とにかく闘病中の彼が元気に自由に動けるようになることを願った。(今の状況はわからないけど)
「おみおくりの作法」は、昨年見た「アイ・アム・まきもと」の元になる作品で、劇場公開時見逃したものだった。いろんな人の評で元作のほうがよかったというコメントを見ていたが、私は「まきもと」もかなり良かったと思う。元作はイギリスが舞台だったが、相当主演の人のキャラクターが違うのだ。元作のほうでは無口で物静かで、というより必要最小限しかしゃべらないくらいのお役人。生活もつつましく(いやつつましすぎないか?)背景、お天気も暗い。一方、まきもとのほうは、いつもの阿部サダヲの役に比べたら全然口数が少ないがもうすこししゃべるし、風景も東北の日本海側ながらもうちょっと明るいし、同じように公営団地に住んでいるがもう少し・・・。無縁(?)仏が生前フォークランド紛争に従軍したエピソードは、ここが日本なので炭鉱の事故に書き換えられているなど、仕方のない改変もあるが、総じてよくできていると今更ながら思った。でももちろん優れた元作あってのリメイクではある。
「男女逆転 吉原遊郭」は、亡くなった兄のかたき討ちのために、男装して男遊郭に潜り込んだ女子の話だが、彼女は結局兄の敵である男花魁を好きになってしまうのだった。完全にフィクション設定だと思って見たけど、拙ブログ「百と卍」で書いたように、江戸時代には陰間茶屋なんてものがあったらしいが、本当に逆転遊郭はあったのかなあ。ただこの作品の場合花魁の相手はまず女性だった。出演しているお客役の女優さんが、どうも「富士見二丁目交響楽団」や「愛の言霊 世界の果てまで」に出ていた人と同じみたいなんだけど。主演の男花魁が、タクミくんシリーズ一作目の「そして春風にささやいて」で初代託生を演じた柳下大(あのときは可愛かったよねえ、今は大人です)、ライバルの遊女(男)に、またもや小谷嘉一。(^^;)しかも金髪。時代考証無視?でも結構皆さん綺麗だった。あ、色っぽいシーンは特にないので期待しないでください。(;^ω^)