ドラマシャワーで「永遠の昨日」が放映され、気に入って原作を読んだら、榎田尤利(えだゆうり)さんの文章が好きになって、もっと読みたくなった。そういえば、凪良ゆうさんも、「美しい彼」の原作を読んで、文章が好きになったのだった。お二人の共通点といえば、なんといってもBL作品を多作されているということだが、ユーモアのある文章を、冗長にならず適切な表現を使って歯切れよく書いていることだと思う。そう、私は歯切れのいい文章が好きなんだろうな。
榎田さんはBL以外を描くときは榎田ユウリのペンネームを使っているが、それも多作だ。今回は、amazonで角川が上の三作品を、白ピンク黒の三色セットとしてプッシュしているので、読んでみた。
白はもちろん「永遠の昨日」、ピンクは「犬ほど素敵な商売はない」、黒は「threesome」。永遠の昨日だけ去年先に買って読んでいて、あとの2冊は最近買ったもの。改めてみると、threesomeに帯がないんだけど・・・。初めからなかったような気がする、中古じゃないのにおかしいな。ま、いいか。
 
ご存じ永遠の昨日は、高校生のクラスメート同士の純愛(多分初恋)を描いたもの。不幸にして浩一が交通事故で即死してしまい、残された満はいつまでも浩一の思い出とともに生きている。20年経っても、浩一を越える「一番」は現れないようだ。これが小説だけだったらこんなに読んでキュンとはしなかっただろう。小林監督によるドラマ化を見て、白シャツと黒い学生服と昔懐かしい感じの校舎と、雨と日光・・・それらが私の胸にかなり実体をもって迫ってきた。おかげで小説を読んで、必ずしも役者の二人を思い浮かべたわけでなくても、受け取る感動が倍加したと思う。
 
それからピンクの「犬ほど・・・」では、文字通り主人公の倖生が、仕事として犬を演じるというか、犬として買われた時間だけ飼われるのである。犬に限らないが、倖生の登録したエージェンシーでは、ペットの代わりに人間を派遣してその分の報酬をもらう仕組みになっている。少しだけ白人の血が混じっている倖生はルックスだけはいいが、生育環境がよくなかったのでこれまではホストのようなことしかやれる仕事がなかった。しかし派遣先で「飼い主」轡田にボルゾイ(犬種)のようだと言われ、反抗しながらも辛抱強くしつけられていくうちに、轡田に恋してしまった。そこから轡田の前の恋人(男)とその今の彼氏が登場し、いろいろと波乱がおきるのだが、ハッピーエンドとなるのでご心配なく。(かなり違うけど)マイ・フェア・レディ的なときめきがある作品。(^^;)
 
threesome。なんだか表紙イラストからしてあまり私の趣味ではないのだが、(つまり絵ではなくヤのつく世界はあまり好きではない(・_・;))これが案外腐女子の中ではヤのつく世界が人気なのだそうだ。普段、普通の女子では接点を持ちにくい世界だから、興味があるのだという説がある。「囀る鳥は羽ばたかない」シリーズなんてベストセラーだし。私はこれは長編アニメ1本をFODで見た切りだけど。でも、作者のヨネダコウさんは心情の変化を丁寧に描く人だと思って好きだ。と、脱線が過ぎたが、これはやはり組長の辻と、舎弟のワンコ菊池と、そのおじで「親父」の顧問弁護士財津の三人の関係を描いたもの。辻にとってはあとの二人はセフレぽいが、ああいった世界では数少ない信頼できる仲間であり、二人にとっては辻は愛するお姫様らしい。それに半グレの特殊詐欺グループや、以前親父の組に入ったばかりのときに面倒見てくれた櫛田などが絡んでくる。私には辻がなぜこんなにモテるのかわからないけれど。(^^;)特に読んで得られるものはないけれど((-_-;))ベッドシーンの描写についてはこの作品はほかの2冊の比ではない。(;´Д`)
 
さて、このブログをお読みになったかたはどの作品を選ばれるのだろうか。また、これは必読という作品があったら、ほかの作者のでよいから教えていただきたい。