(「あーもう、腰!(-_-;)」と言いながら書いております。(^^;))
 
さて、今期冬ドラマで話題作はいろいろあるが、なんとなく評判が地味(?)ながらも割と惹かれて見ていたものにこれがある。脚本は安達奈緒子さん。火曜日夜には大石静さん(星降る夜に)・北川悦吏子さん(夕暮れに手をつなぐ)の連ちゃんがあり、やや時間をおいておかざきさとこさん(ブラザー・トラップ)と豊作(?)で、金曜日はこれと、今期は有名脚本家(←私が知ってる)によるオリジナル脚本が多かった気がする。おかざきさんは、吉田恵里香さん同様ドラマ「チェリまほ」の脚本を書いた人で、ブラザー・トラップのみ原作がある。
 

見てなかった人のためにかいつまんでストーリーを書くと:

鳥野直木(佐藤健)は中学の時に家庭の事情で親切な里親勝さん(春風亭昇太)夫妻の家で暮らし、同じくそこにいた相馬悠依(井上真央)とはお互いなんとなく気になる存在だった。

二人は長い時間を経て再会。直木は洋食店のシェフ、悠依は美容師。恋人同士になった二人だったが、悠依にプロポーズしようと思っていた矢先に直木が音信不通になり、悠依は最寄り警察に捜索願を出した。そこに勤める刑事の魚住譲(松山ケンイチ)は実家がお寺で、家族はたいてい「見える」人なのだが、譲だけこれまで見えなかった。しかしいきなり彼のもとに直木が現れ、協力を依頼する。譲以外には直木は見えない、ということは直木は既に死んでいて、しかも成仏できていないということだ。しかも直木は譲にたまになら憑依することもできた。【・・・が、憑依を繰り返されると譲は命を縮めてしまうのだそうだ。それは実家を継いだ譲の姉(平岩紙)が実家に伝わる文書を調べてあきらかになった。】

なかなか悠依は譲の話を信じられなかったが、結局3人で協力し合って、直木の死(殺人)に関わる真相を探ることになった。そして、第9話まで来て、悠依の命が直木を殺した犯人(レストランのオーナー英介=荒川良良)に危険にさらされたところで、なんとか譲と警察が突入して犯人を確保し、直木は譲の計らいでふたりきりになり悠依に別れを告げ、消えてしまった。それでもうお話は終わりかと思われた。

 

ところが、だ、今回の最終話では直木が20032023年3月17日(最終話放送日)朝に、悠依の家(直木が住んでいた家)に現れる。今度は悠依にもはっきり見えるし、実体として触れるし声も聞こえる。「どうして?」と悠依、「多分、おまけ的な?」「どれくらいの時間?」「多分1日くらい?」ハグする二人。腹減ったとまず一緒にご飯を食べ、俺幸せだ~という直木。これまでの、感情を表に出さず「怒ってるの?」「こういう顔だ」という直木とは違う雰囲気。

神様からの贈り物を有意義に使いたい。二人はまず譲に会いに行く。まだいる直木にいぶかしげな譲。しかも、悠依にも見えるという。(すみませんが私の写真の上の方にはよく並んだ光点があります。天井のダウンライトの映り込みです。m(__)m)

 

しかもこんなことだってできちゃう。(o^―^o)
ファミレス(?)で、向かいの席で仲良さげな二人を見て、「いいなあ、ずっと見ていたい」と言う譲。なんていい奴。でも仕事にいかなくちゃ。夜うちに来て、直木が腕を振るうから食事しようと誘う。
 
 
直木をつれてショッピングに行き服を選んでもらう悠依。それから悠依は直木の両親を家に招いて、その服を着て直木のレシピ(ほんとは作ったのは直木だろうな)で食事を振舞い、本当は両親も直木を愛していたと知る。父は直木が進路などで意向に沿わず、母は次男の難病の骨髄移植のドナーとしてしか直木を認めていない様子だったが。今は弟も両親と疎遠なので、直木が亡くなったことは伝えていないという。それを聞いた直木は弟の会社を訪ね、亡くなったことは出さずにお別れをした。何も知らずに、兄貴ありがとうという弟。一方譲は仕事でグレた若者たちの大ゲンカに出動し、命を大事にしろよと叫んでいた。
直木は譲の実家も訪ね、譲姉の子供たちが気に入って寺に住み着いていた、幽霊の先輩樋口(板倉俊之)に会うが、そこには彼がお客様電話相談係をしていたときの常連客が、幽霊仲間の噂をきいて会いに来ていた。(^^;)
このお姉さん、肝っ玉母さんで面白い。好きなだけうちにいていいわよと前に樋口に許可していた。憑依されるのにも幽霊との特殊な相性があるそうで、憑依されなければ命に別状はないらしい。
夜、直木と悠依と譲は直木の家で食事をし、そのあとゲームもし、楽しく過ごした。(直木は譲に悠依を託そうとしたが、譲はそういうのは厭だと断った。)遅くなってから悠依は直木と一緒に行きたいところがあると二人で出かけた。今から?と驚く譲。今行くから意味があると悠依。譲は、二人で出かけて、帰りがもし悠依一人になったら辛いだろうと案じたのだ。どこまでも優しいなあ、譲。ほろっ。(´;ω;`)
二人は夜明け前に思い出の浜辺に来た。転がっていた朽ち木に並んで腰かける。
(うーん、「ミッドナイト・スワン」とか「君のいた夏」とか、永の別れのときにはこういうロケーションが多いわ)(;^ω^)
夜が明けるところで、二人の顔にも朝日がさしてきた。お別れの時間が近いのだろうか。 

直木は、今まで照れ屋だから打ち明けられなかったことを口にする。悠依と再会した時、本当にうれしかった。(私も。)愛してる。(大好き。)愛してる。(愛してる。)愛してる。愛してる。愛してる。繰り返す直木。100万回でも、生きているうちに言っておけば良かったということだろうか。ちなみに100万回生きた猫という名作童話がモチーフになっている。
 

 
 
やっぱり一人で残っちゃったんだなあ。・・・( ノД`)・・・
でも、悠依に、直木が幽霊だったときに一つだけ覚えた、生きている人に自分の存在を知らせる技である、下手くそな口笛が聞こえた。悠依は直木と共にこれからも生きていくのだろう。100万回生きた猫は、白猫と出会い、愛の意味を知って、白猫が死んだら静かに死ぬらしい。(私は読んだことがないので💦)でも確か悠依は、何話めかで、「私は白猫が死んでも、猫には元気に生きて行ってほしい」と言っていた。直木にとっては悠依が、悠依にとっては直木が白猫だったが、悠依はこれからも元気に生きていくと思う。直木のレストランはもう続けられないが、その場所で子供向けの美容室をやるかもしれない。直木が英介とこども食堂をやっていたように、ボランティアカットなんかもやるかもしれないな。
 
この最終話を、不要だとか取ってつけた感じとか思っている人もいるみたいだけど、でも私はこれは絶対欲しい回だと思う。だってこのドラマの本質はサスペンスじゃなくてこの回だと思うから。主演の3人(といってもいいよね)の演技力や空気感がとっても心地よいドラマだった。