当地の新劇場で上演された「画狂人北斎」を鑑賞しました。
コロナにかかって「ジャージー・ボーイズ」は見られなかったから、これが初めての新劇場。
前の週には横浜流星くんの「巌流島」があり、そっちもそそられたけど、毎週末はキツイ。経済的にと言うより、週末は体を休めたいので・・・。映画館と違って緊張するもの。巌流島のほうは、後でちょっと触れますね。
演出が宮本亜門さんで、主演は西岡徳馬さんなのですが、「馬場りょ」(馬場良馬さん)が出るのですよ。こっちを選んだ理由はそれが大きいかな。(^^;)特別なファンではないけれど、託生くんシリーズのギイタクが二代目「大まお」のときに三洲新をやっていた人なもので、つい、肩を持つといおうかね。
当日は歩いて行ける距離で一人ででかけましたが、予想はしていたけど周囲の満員の観客はほぼ中高年。(^^;)きっと巌流島だともっと若かったんだろうな。お芝居の内容の予備知識はなし。きっと途中休憩があるかなと思ったら、なしでずっとやるというアナウンス。お年寄りたち、大丈夫か?
舞台には、真ん中に大きい箱(部屋)があり、その左(下手)にも小さめの部屋、後で現れたのは右上(上手)に移動式の階段で行く小部屋。真ん中の和室で老境の北斎と娘(もう中年)のお栄(別号応為:いつも北斎におーいと呼ばれてたから)が絵を描いています。北斎は絵さえ描ければいい人のようで、お栄(雛形あきこ)も父の世話をしながら独り身で自分も画家です。このお栄さんの絵って、なかなか素晴らしいんですよ。夜の美人画とか花とか。才能も興味も父譲りなのかな。でも北斎は身内のことも顧みず妻が亡くなったときも絵を描いてる人なので、息子(お栄とは母違い)の時太郎がそれを恨みに思っていて、ばくちで荒んだ生活をしながら、時々無心にやってきて暴力的に金品か絵を奪っていきます。
この時太郎を演じているのが馬場りょ。そのときの彼は、まるでパイレーツ・オブ・カリビアンの時のジョニデみたいないで立ちです。北斎は、嵐が迫っているのに、波の絵を描きたいと出かけていく危ない老人です。それをモチーフにしたのが神奈川沖の浪裏。あのものすごく写実的(シャッタースピードを変えた写真みたい)な波しぶきに加え、綿密に計算した構図の視線が集中するところに配した富士山の遠望。傑作です。
その部屋は、突然現代の美術学校?に変わり、講師と学生の対話になります。講師は見どころのある学生リンタに、平たく言えば売れ筋の絵を描いてみるように勧めている様子。でも彼は乗り気ではありません。左側の箱はリンタのアパートになります。向こう側にドアがあり、その箱はワンルームのアパートっぽく、講師はそこにも訪ねてきますが、リンタはそっけない対応。よくはわからないけど、お姉さんのことがひっかかっている?様子。
また真ん中の部屋が江戸期の和室になり、お栄しかいない家に柳亭種彦(文筆家)が訪ねてきます。種彦とお栄はいい仲のようです。このころ江戸では思想的な取り締まりがきつかったらしく、廃業に追い込まれたり逮捕される芸術家や思想家が多く、北斎も危ないから江戸を離れたほうがいいと忠告します。結局種彦は北斎からもらった?預かった?十字架のお守りを発見されて捕まり、拷問されてもどこから手に入れたか白状せずに殺され、北斎は小布施に招かれて江戸を出ますが、その招いてくれたのが高井鴻山。かれの家で北斎の与えられた部屋が、右上の部屋でした。そこは小さくて中の様子は出てきません。灯りがあるなとわかるくらいで、鴻山も階段で尋ね、北斎も引き戸をあけて出てくるのみ。鴻山は、馬場りょの二役で、時太郎とはうって変わって、ちゃんとしたカツラをつけ着物をきちんと着た物腰の柔らかい豪商です。
一方現代では、リンタと姉のアヤ((雛形あきこ二役)が真ん中の箱~浜辺~で語り合っています。リンタの才能を認めいつも励ましてくれた姉。でも、あれは何?いつもと違う、と波を見た姉、まさか、と思ったら、津波だったようです。・・・そして姉は帰らぬ人に。そのことがずっとひっかかっているリンタでした。
そして、かつて版画を作っていた北斎は、日本画を描きはじめ、小布施では腑分け(解剖)のスケッチをし、岩松院の天井に傑作鳳凰図を描き、リンタは自分の描きたいものは東京では描けない、と、故郷に戻っていきます。そして北斎も江戸にもどり、時太郎は、自分の女房の妊娠を機に、まともになると決心します。種彦の死を聞いた北斎は、お上を気にせず自分の描きたいものを自由に描きまくるぞと、晴れ晴れとして絵を描きながら、お栄のいる部屋で絶命します。
・・・・あまりすっきりまとめられてませんが、これはあらすじなので。m(__)m
それで、ストーリーや場面写真の載ったパンフが欲しいなと思ってパンフを買ったのですが、あーあやっぱり、でした。(-_-;)即ち、こういうパンフには二種類あって、ストーリーや裏話や場面写真などが載っている読むパンフと、おもに出演者の写真が載っているキャンペーンアルバムみたいなパンフとだと思っていますが、後者のほうでした。正直これを2000円で買いたくはなかったな。(-_-;)
でも、それの中の写真は素敵だったので、いくつか載せます。上の西岡さんの写真もパンフの中のです。
馬場りょの演じた二役は、まったく別のキャラクターでしたが、メリハリはっきりで、良かったです。最後の全員そろっての挨拶でも、中腰からさらに深くお辞儀し、品のいい旦那の姿でした。ひなも個性的なお栄を頑張って演じていました。もちろん西岡さんは貫禄ある座長でした。
まあ、周囲のお年寄りが携帯の音をちゃんと消してなかったり、ひそひそでも私語をしたり、案の定途中でトイレに立ったりと、お芝居に集中できないことがありましたけどね・・・。(-_-;)
最後に巌流島情報。知り合いが、同僚が急にいけなくなったからとチケットを譲ってもらって見に行ったそうです。私はテレビで流星くんが殺陣のお稽古をすごく頑張っているのを見て凄いなと思ってたんですけどね。知り合いの感想では、あれはお芝居を見るというより、流星くんを素敵に見せるためのファンむけのものだと思ったとのこと。そして終わりの方では、小次郎と武蔵(流星くん)がバックハグをしたりして(どっちが後ろだ?(・_・;))なんだかBL展開のような様子もあったそうで。思わず一緒に行った息子君(小6)の方を見たけど、多分わかってなかったんじゃないかな、と。( ̄▽ ̄;)
お後がよろしいようで。