「この漫画が凄い!」で選ばれた漫画のアニメ映画化。お話は、なんだかおとぎ話か昔話のようなのだが、詩情のある大人の童話という趣だ。(もちろん、というと何だが原作は読んでいない。(-"-;))
近世?くらいのころの、中東ぽい土地に、昔から中の悪い二つの国があり、何度も戦争をした。やがて二つの国は協定を結び、友好の証として、(何年おきかは忘れたが)A国からは一番美しい娘を、B国からは最も賢い若者を贈り合うこととなった。それでしばらくの間戦はなかったのだが、A国が通商用のルートを閉鎖しているためB国は貧しく、またB国には塔のような形の高いとんがり山からの水の恵みがあるが、A国は豊かではあるが砂漠と岩ばかりで、あと50年で動力にも使っている水が枯渇すると言われている。どちらの国も問題を抱えているため、それぞれの中には再び戦を起こしたい勢力もあるのだ。
そしてある年卑劣なことに、A国はB国に花嫁として猫を、B国はA国に花婿として犬を送った。そうとは知らない王家から適当に隣国からの花嫁・花婿を押し付けられたのは、庶民の建築士のナランバヤルと、辺境の姫(第93王女)サーラだった。この二人が(お互いの身元を知らずに)出会い、事情があって(だって犬・猫が届いたなんてうっかりしゃべったら、戦争が始まっちゃうかもしれないもの)二人で新婚夫婦のフリをしたことから二国間の状況が転回していった。最後はめでたしめでたしでほっこりしたのだが、それまでがなかなか一筋縄ではいかなくて、でも素敵だった。ナランバヤル(賀来賢人)は素朴だが人とすぐうちとけるし賢くて勇気があるし、おっとりぽっちゃりのサーラ(浜辺美波)は自分が美女ではないと思っているが、肌や髪の毛がつやつやで、育ちの良さと気立ての良さがにじみ出ているし覚悟もある。後で時間があったら見直したいくらいだ。追加:ヱヴァン・コールの音楽が素敵だった(⌒∇⌒)
「イニシェリン島の精霊」
ベネチアやアカデミーなどたくさんの映画祭でノミネートされている。なかなか考えさせられた。痛快というような感想とはかけ離れた、でも心に残る作品。アイルランドの西岸の沖にある小島イニシェリン島。しかもすぐ向こうの本土では内戦がおきている1923年。島だとみんなが知り合いで、なんでも筒抜けでプライバシーはないに等しい。特にこれと言った産業も娯楽もない。そんなところで、昨日までは親友だと思っていた相手コルム(ブレンダン・グリーソン)に、もうお前とは付き合わない、俺ももう歳だし、無駄な時間を過ごす余裕はないと一方的に宣言された男パードリック(コリン・ファレル)。ちなみにどちらも中高年で独身。そこで観客は、なんて理不尽なとパ-ドリックに同情するが、しかし彼は気のいい男ではあるがあまり思慮深くはなく、読書もしないし趣味もない。コルムは彼とつき合っても何も得るものがなかったのだ。バイオリンを弾くコルムは自分の人生が残り少ないと感じ、それなら好きな音楽で納得のいく曲を作りあげたいと思った。そうはっきり言われたんだからもうほうっておけばいいと思うが、パードリックは自分の事しか考えられず、昨日までは仲良し(だと自分では思っていた)だったのに、とコルムに付きまとう。苛立ったコルムは、お前が俺に話しかけたら俺は自分の指を一本ずつ切り落とす、というのだった。キャー(゚Д゚;)彼も相当狂気なのでは?だけど、パードリックのしつこさに観客は愛想をつかし始める。彼をいさめてくれる、同居していた冷静で知的な妹が島に見切りをつけて出て行ってから、歯止めが利かなくなっていく。内戦も俗物な神父も暴力警官もメタファーなのだろうか。この精霊とは、人の死を予告するといわれているらしい。監督は「スリー・ビルボード」のマーティン・マクドナー。
陰鬱だけど美しい島の風景がしみた。
「レジェンド&バタフライ」
上映時間を見たら長かったのでトイレを心配したが、大丈夫だった。(^^;)同じ理由でアバターは見ない。( ̄▽ ̄;)でも、編集でもう少し短くしてもいいんじゃないかなとも思った。
今までにはなかった観点で描いた信長の人生。正室濃姫(帰蝶)と信長の間の気持ちの交流、すれ違いや和解などが作者の想像(創造)により描かれていた。脚本が今大河ドラマ「どうする家康」を書いている古沢良太で、監督が「るろうに剣心」の監督脚本の大友啓史。
見ていたら、なんだか家康(まだ元康・松本潤)が正室の瀬名(有村架純)と恋い慕いあっている様子や、緋村剣心(佐藤健)が妻(雪代巴・これも有村架純)と想い合っている様子が想起された。これもそういうことなのかな?いや、別に悪くないけど。てっきり、信長は吉乃がお気に入りだったのかと思ってた。本当のところはわからないけど、「ずっと好いておった」とか、二人きりで名前も立場も捨てて、異国の船に乗っていき子供ももうける未来の夢想とか、いじらしいなと感じた。それと、宮沢氷魚の演じた新しい明智像。本当のところはやはりわからないけれど、これも悪くなかった。斎藤工のふくらました家康のビジュアルも面白かった。(^^;)キムタクと綾瀬はるかは熱演。脇で中谷美紀と伊藤英明が締めていた。
「エゴイスト」は、別枠で。(^^;)(;^ω^)
画像は、後ほど。→追加しました。