みたい映画がまた目白押し。とりあえず時間的に(レイトの中でも早めに帰れるものを)チョイスしたこの作品。三浦大輔氏が舞台用に制作・(脚本・演出)し、主要キャストはそのままで映画化したとのこと。そのことは後から知ったのだが、やはりそのためだろう、見ていて安心感(?)安定感(?)があった。
タイトルを見てすぐ連想するのは、大沢誉志幸さんが昔はなったヒット曲。カップヌードルのテレビCMに使われたと思う。実際エンディングに流れたのはその曲だった。昔とは違うバージョンになっていて、歌っているのは誰かなと疑問に思ったが、エンドロールで確認したら、やはりご本人だった。
主人公はキスマイの藤ヶ谷太輔くん演じる裕一。北海道から出てきて、東京でフリーターしながら彼女里美(前田敦子)と暮らしているようだ。予備知識がなかったので、二人の付き合いは長そうだな、結婚しているのかな、ただの同棲かなと思っていたが、彼女がオフィスに出勤し自分はその日休みだったのに、出かけたら別の女と会っているし、帰ってきた彼女には「トイレの電球が切れてる」というだけで、自分で買ってきて交換するということもしないし、母親からの電話にも出ないので彼女の方に連絡がくるようだし、はっきりいってクズ男らしい。藤ヶ谷君ならきちんとした社会人が合いそうだけどな。・・・というところであとにまたその話が出るのだが。(;'∀')
携帯画面を里美に見られないよう用心深く隠すところから逆に不審に思われて、彼女に女のことを問い詰められる裕一。里美は携帯の暗証番号を盗み見して、浮気相手とのラインを見てしまったらしい。そんなことをする自分も嫌だと里美。きちんと話し合おうと言う里美に裕一は、俺出てった方がいいよな、ここも里美の名義だし、といって、ささっと荷物をバックパックにまとめて自転車で逃げだす。うわー、もう、信じられない。だって後で知ったが彼女とはもう5年も付き合っていて、内縁と言ってもいいくらいの間柄なのだ。今まで結婚とか就職とかいうワードは出てこなかったのだろうか。もしなかったとしたら彼女にも問題があるかな。(甘やかしすぎでしょ)・・・と言いつつ、自分でも思い当たる節があってちょっと心が痛むのだけど。(-_-;)
で、深夜に自転車で逃げだした裕一が頼った先は、同郷の伸二(中尾明慶)。気のいい彼はちゃんと就職してサラリーマンしているようだが、きちんと片付いた彼の部屋に転がり込み、居候する。それでもやっぱり家事はしないし、きれたティッシュも買ってこないし、朝出かけるときは俺を起こさないよう静かに出ていけなどという厚顔さ。全く呆れる。1週間後ついに伸二に意見されると、またさっと荷物をまとめて出ていくのだ。また深夜に。
そうやって居酒屋の先輩従業員(毎熊克哉)宅にまた居候し、そこではちょっと心を入れ替えてマメに家事を担うが、またいづらくなって出る。また深夜、映画製作の現場で働いている後輩(野村周平)を頼るが、後輩の仕事終わりにファミレスで話していると、後輩が裕一のことを尊敬しているというかカッコイイ人と思っているので居候させてとは言いづらくなって外にでると、誰かが彼の自転車を盗んでいった。追いかけても振り切られ、降り出した雨に濡れて姉(香里奈)のもとに行く。やっと身内に頼るということは、ふだん仲良くないんだなとわかる。実際、両親は離婚し、その原因を作ったのは父の浮気で、父はその後再婚したらしい。裕一が母に無心をすると、結局そのお金は姉から母へ、母から裕一へと流れていたとわかった。姉にだらしなさを責められた(当然だよね(-_-;))裕一は、やはり居候できず、渡されたお札を投げて飛び出す。そのまま長距離バスで仙台へ、仙台からフェリーで苫小牧へ。(吉田拓郎の「落陽」で、♪苫小牧発~仙台行きフェリー~♬というフレーズからその航路があるのは知っていた)
苫小牧ではリウマチのために手足が不自由な母(原田美枝子)がクリーニング店に勤めながら一人で暮らしていた。健気で優しい母に手作りの料理を振舞われ、ほろっとした裕一はここに帰ってくるというが、母が感情を爆発させて、お父さんにも姉さんにも裕一にも捨てられたと叫ぶと、また飛び出す。ああ~もう、何なのあんたは!別に今それを決めなくても、誰も追い出したりはしない。だけど、きちんと話し合うこととか、自分を反省して謝ることとか、今困っているのだから姿勢を低くしてお願いすることとか、そういうことから全く逃げている。映画のキャッチコピーに「反感と共感の120分」とあるが、裕一は悪いやつではないし、だから友人も彼女もいるのだけれど、相当イラッとするやつだ。そして最後に師走の雪の夜にバス停(雪国では屋根付きベンチ付きのバス停が所々にある)に座っていると、(バスなんてもう来ない時間だと思うが)なんと、通りかかったのは何年も会っていなかった父だった。(@_@)
父はトヨエツ(豊川悦司)。今こんな感じの役をやれる人と言ったら、まず彼だろうな。
父は再婚した女と別れ、慰謝料を払わされたため知人らから借金をし、それを踏み倒したので逃げているという。父のアパートに転がり込み、誰とも連絡を取り合わなければなんてことないと、裕一も携帯を切る。実はその間里美から何度も電話があったのだが・・・。
パチンコ三昧の父は、お前はまだまだだな、いよいよ切羽詰まったら、映画の主人公になったつもりで「面白くなってきやがったぜ」と言うのさ、と。
そのセリフ、この後の流れで裕一は言わなくても済むのかなと思うのだが、・・・・・結局言うことになってしまうのだな。(-_-;)(;^ω^)自業自得なんだけど。それに伸二は本当にいい奴なんだけど。
昨年末終了したドラマ「エルピス」では、イケメンで小綺麗なお坊ちゃん役の眞栄田郷敦が、あるときに鼻水を垂らしながら泣く演技に感動したのだが、この映画では藤ヶ谷君が鼻水垂らしながら泣いていた。そこまで自分を見つめられたのなら、あとはもうどん底から這い上がるまでだと思う。やっと大人になれたのだよね、頑張れ、裕一!
そしてもうひとつ。正月新番組として始まったばかりの「ハマる男に蹴りたい女」。
こっちは役柄が逆なのだった。ビール会社で新商品の高級ビールを発売するためのプロジェクトリーダー(?)だった設楽(藤ヶ谷)は、強引なやり方や、歯に衣着せぬ物言いなどから反感を買い、プロジェクト半ばで役を下ろされ事実上の更迭が決定する。命令に従うことを潔しとしない彼は、高をくくっていたのか、辞表を提出。タワマンに帰宅すると、きっとわかってくれると思ったバリキャリだという妻は、離婚届と指輪を残していなくなっていた。それから就活をするも不採用が続き、すっかり鼻っ柱をへし折られたところに、幼馴染(西田尚美)から住み込みで家事をするという仕事の話が持ち込まれた。不承不承出かけた家で出会ったのは関水渚。(この子もなかなかいい女優さんだと思う。)彼はすっかりわすれているが、どうやらこの女性と彼の間には仕事上の因縁があるらしい。彼は恨みを買っているっぽい。
彼がいなくても、新商品のビールはちゃんと発売されていて、自分はいったい何だったのかとお風呂で涙をこぼす設楽。ここ(住み込みで働く)のお家、女3人の住むシェアハウス+女中部屋(?)があり、お風呂も立派で広い。
ほかには会社の社員として西垣匠や、設楽の母である実業家として大地真央や、関水渚の彼氏(?)として京本大我などが出演する。今月始まる連ドラは数多いが、ちょっとこの先が気になるドラマ。