時間が取れなかったこともあり、毎回書くのもどうかと思ったこともあり、初回以来書かなかったこのドラマ。やはりどうしても原作を読んでみたくなって原作本を買った。初版は2002年2月に笠倉出版社から、その後2010年11月に白泉社から刊行され、今回2022年3月25日に改稿文庫化されて角川から発行された、それを読んだ。ちなみに私が手にしたのは10月10日再販発行の文庫。アマゾンから手元に来て間がないので、さくさく読めるけれどまだ全部読み終わっていないが、この本は絶対先に結末を読むことはしないでおこうと思う。
 

 

第二話。第一話の最後に雨のカーブで(原作は雪)スリップしたらしいトラックにはねられた浩一。一瞬のことで何もできなかった満が横たわる浩一の傍らに立ち尽くしていると、口の端(原作は鼻)から血を垂らしながらも、目を開けて起き上がった。何もなかったようであるが、首も足も変な方向に曲がっている。よっこらせと自分で首を戻す浩一。思わず浩一のシャツをはだけて、直接心音を確かめる満。浩一はシャツの胸を開けられるときに恥ずかしそうにしたが、満にされるがままだ。心音も聞こえず、当然脈はなく、体は冷たく顔色も悪い。でも浩一は満に笑いかけ、いつものように「みっちゃん」と呼びかける。それだけでも私などはうるっとしてしまう。呼吸しなければ声は出せないので、浩一は呼吸はしているのだ、普通心臓が止まればほどなく呼吸もとまるのだが。付け根あたりから曲がった脚を、みっちゃん直してといって直させる。(逆向きに関節の曲がった遺体を見たことは1,2回あるが、何度も見たいものじゃない(-_-;))

 

浩一を「生きる死体」と認定した満は、トラックの運転手を置き去りに、浩一を連れて学校に行く。賢い満は先の先まで想像して、浩一が「動きしゃべる死体」として面白おかしく騒がれたり、はては検査漬けになって解剖されたりするのを避けたかったので、なるべく浩一がこれまで通り暮らせるよう、委員長を介しクラスメートに協力を仰ぐ。また、担任の小河先生と副担任の玉置先生にも事情を説明し、お願いする。下は左が生物の玉置先生、右の眼鏡が担任の小河先生。

 

ここで原作と違うところは、原作では担任の小河先生の現国の時間を借りて、急遽委員長がホームルームを行ってクラスメートに説明するということだ。この小河先生と玉置先生は、原作では恋人同士だった。それも、別れ話の進行中で、この後それに起因した事件が起こる。多分ドラマでは尺の都合でそれは出てこないかとも思うが、ここでわざわざちゃんと玉置先生を登場させたということは、どうかな?のちに玉置先生と浩一・満が重要な(私はそう思う)会話をするのだが、そのエピソードは出てくるかもしれない。それにしても小河先生役の中村優一くん、あの「体育館ベイビー」の主演だよね。高校生役の時あんなにキラキラしてたのに、このビジュアルはちょっと作りすぎでは?(既出の拙ブログご参照ください)

 

満は浩一のあざだらけの体をふき、ついた血を洗い、太ももの大きな傷を「お裁縫セット」で縫合した。痛くないので麻酔無し、もう血も出てこない。放課後念のために浩一を病院に連れて行こうと思うが、浩一を世間の好奇の目から隠したいので、自分の父親が院長を務める病院に連れていく。そして、弱みにつけこむわけでもないが、父と不倫関係にあると知っている内科の香住先生(小林涼子)に頼んで浩一を調べてもらう。満のお母さんは亡くなっているから青海院長はフリーなのだが、彼女が既婚者なのだ。

浩一やっぱり顔色が悪い。青あざも痛々しい。

 

満の話を信用しない彼女だが、やはり浩一の心音は聞こえない。レントゲンでは頸椎が途中で激しくずれていた。それが死因かな。(´;ω;`)彼女が腕から採血しようとしたときには思わずつっこみたくなった。心臓が動かなければ、末梢血が採れるわけないでしょー。そして彼女は満に言う。浩一の場合、時間を無視しているように見えると。心臓が止まれば呼吸も止まるし、当然死斑が出たり腐ったりしてくるはずだが、それがまだない。満も浩一が腐るのが心配だったが、まさかエンバーミング(防腐剤を血液の代わりに環流させる)するわけにもいかない、だって浩一は「生きて」いるのだから。太ももの傷を縫ったのが満だと知り、彼女は医者になりたいのと尋ねるが、満は「いいえ、医者は家族を幸せにできない確率が高いから。」と言って、彼女をはっとさせる。意地悪する気はなかったのだが。彼女は満に「彼のことが怖くないの?」とも訊くが、満は「べつに怖くないです」とはっきり言う。だって、これは浩一なのだ、浩一がどんな姿になっても、怖いことなんかあるわけがない。

 

普段そうやっていないことのようだが、満は浩一の手をとる浩一は満の手を握る。冷たい手。浩一を守らなきゃ。今夜は浩一を自分の家に連れていくことにした。

 

第三話。実は、満が浩一を怖いと思ったことが一度だけある。その回想回だ。

あの弁当で距離が縮まってから、夏に浩一に誘われて、二人はキャンプに行った。満はインドア派だが、浩一ととてもキャンプに行きたい気持ちと、行きたくない気持ちの間で揺れていた。なぜなら、満はもうこのころには自分の浩一に対する思いが恋なんだと気づいていたから。二人きりで同じテントの中で寝るなんて、とても耐えられないという気もしていた。もしもうっかり気持ちを打ち明けたら、どうなる?きっと浩一は「ごめんな、みっちゃん、俺もそうじゃなくて」というだろう。そしたら恋だけでなく親友まで失くしてしまう。だけど行きたい気持ちも本当なので、断れずに同行した。下は満に飲みかけの水を差しだす浩一。満はのまない。

 

 

案の定、浩一のテンションは高いが、満は低気圧なみに低い。おまけに、浩一が気合を入れて準備してきたせっかくのバーベキューが、大雨でお流れになった。テントの中で寝転びながら、一人で線香花火をやる浩一を見ていた満がもう寝るよと背中を向けると、いきなり浩一がキレた。いつもにこやかなのになんと珍しい。Σ(゚Д゚)声を荒らげて、「いっつもそうだ、俺だけ!俺ばっか!」「みっちゃんはただ付き合ってくれるだけで、嫌っていわないだけでさ!行きたくないならはっきり言えよ!」「ズルいんだよお前は!友達なんかいらない、ひとりがいい、こっちくんなって澄ましてるくせに、たまに俺だけは別、浩一だけはいい、みたいな・・・ああいうの、やめろよ!」(略)この脚本、なかなか原作のセリフを尊重してくれているようだ。

でも、浩一の怒りのテンションはすぐしぼんだ。満がぽろっと涙をこぼした顔を見たから。満だってそれは自分でも意外だった。怒鳴られて怖かったわけではない。浩一に嫌われたと思った、そのことがこの上なく怖かったのだ。思わず満は裸足のままで大雨の中を テントから走り出た。そのままキャンプ場内の暗がりへ向かって走ったが、ドラマでは明るい照明のあるあずまやにたどり着いていた。足ケガしなくてよかったな、と思ってしまった私。(^^;)

浩一はライトを持って走ってきて、すぐ追いついた。「みっちゃん、ごめん」と満の後ろで謝る浩一。満は、「お前、でかいんだから、怒鳴ると威圧感が半端ないんだよ、ビビるだろっ!」と涙声で言う。いっとくけど、キャンプ来るの嫌だったわけじゃないし、実際、お前は特別だし。この全く非日常な状況が満を素直にさせた。

「俺もみっちゃんが特別」と言われ振り向いた満。「みっちゃんが一番好きだ。誰より好きだ」

「だからつい、考えちまう。みっちゃんも俺が一番ならいいのになって」「一番だよ。」

満は自分自身も驚き、浩一はもっと驚いた。「一番だ。浩一が」「え、うそ」

「みっちゃん、俺が一番なの?」「そう」(略)「なら俺たち、両想いなんじゃね?」

満は即答できなくて、「そうなる・・・か?」と答えた。「なるよ」浩一はそっと満の肩を押さえ、二人は、ぎこちなく、初めてのキスをした。

 

軽く触れるだけのようなキスを見て、「あ、これもう一回いくな」と予感したら、やはりもう一回同じようなキスをしていた。(^^;)力が抜けたのかすぐ後ろのテーブルに腰を下ろした満、その横に浩一も並んで腰を下ろした。そして、顔をみて笑い出した二人。なんて尊い。(*^^*)

 

 

さて、第4話は、時間的には第二話の続きである。初めてのお泊りといっているが、原作では、すでにどちらのうちにもお泊りしていたらしい。だが、初めてキスを交わしてからあの事故の日まで半年(原作では)くらいのあいだに、キス以上の進展はなかったと。それは、満が恥ずかしくてその先に進みたいとは言えなかったことと、浩一がとても満を大切にしていて、それ以上を求めなかったかららしい。だから二人きりの時には長いキスを交わすことはあったが、そのあと切羽詰まった浩一がトイレにかけこんだりしていたとのこと。(゚Д゚;)(;^_^A

だけど満は浩一を元気づけたいし守りたいし愛しいし、冷たい浩一の唇を温めたくて、がっつりキスするらしい。

 

で、浩一も心臓が動いてないのになんだか温かくなって、「反応」するらしい。もはや「なぜ」なんて考えるのはやめた方がいいだろう。ものすごく可愛くなるみっちゃん。予告編では「みっちゃん、耳たぶ嚙んでいい?」というすごく胸キュンな浩一のセリフが聞かれたが、(脚本家さん、グッジョブ!)原作では断りなしに噛んでますからね。(^_^;)でも言葉にしたほうがわかりやすいわね。

 

 

家庭環境からずっと甘えることを知らずに来た満。そのせいか、本当は優しいのに人に親切にするときに不機嫌そうになる。自分が愛され優しくされた経験がないと、他人にそうして上げることができない、というかどうしてあげたらいいのか気が付かない。やっと浩一のおかげで、愛し愛されることがどういうことか分かってきたのに、運命は残酷だ。

あと1日後、第4話が放映される。