今月見たもの。

今日30日だから、明日以降は7月分だし、今夜は歌のレッスンがあるので今月はもう締めね。

 

1日 20歳のソウル

7日 太陽とボレロ

17日 メタモルフォーゼの縁側

18日 死刑にいたる病

21日 妖怪シェアハウス

26日 ベイビー・ブローカー

29日 バスカヴィル家の犬

まあ今月も行ったなあ。(^^;)(^^;)我ながら呆れる。

 

「死刑にいたる病」までは個別に感想を書いたので、以後のを。

 

 

今作は、テレビドラマで出ていた「闇落ち」した妖怪の原因&その後と、新たな「シン・妖怪」と昔ながらの旧妖怪の抗争(?)について描かれていた。煩わしかったり相手から傷つけられたりするリアルな恋愛に愛想をつかし、バーチャルな恋愛アプリにはまる若者が続出した現代世界。草食どころか絶食ながらも、理想の彼氏・彼女を見つけた若者は夢見心地だ。澪(小芝風花)の友達のロック歌手の娘なんか、バーチャルな彼氏と結婚式を挙げようとする。(・・・私には共感できないが。)

そんなのおかしい、といきまくお岩さん(松本まりか)もやっぱりミイラ取りがミイラになって、アプリで薦められた、元夫の伊右衛門とは正反対の文左衛門に夢中になる。(えー、だって相手がそれじゃハグすらできないじゃん(-_-;)、と不満な私)澪も「だめんず」ばかりに当たってきたが、そのアプリでは理想の王子様みたいな男子がヒットし、ほんわかと癒される。そして、あるとき若き天才物理学者(望月歩)の取材に出かけると、その相手は自分のアプリの恋人と瓜二つだった。それで澪はたちまち夢中になる。ところが彼はシン・妖怪の頭目的な子で、世の中にはシン・妖怪による奇妙な集団が生まれていた。その構成員である若者たちは髪に花冠をかぶり歌い踊り、まるで2019作のホラー系洋画、ミッドサマーを思い出させる。つまりカルトっぽいのだ。しかし、いつもは飲んだくれている生臭和尚が立ち上がる。彼は実は寺の名前通り閻魔様だったのだ。Σ(゚Д゚)さて、旧妖怪を駆逐しようとするシン・妖怪との抗争はいかに?・・・まあ完全なエンタテインメント作品だが、私は途中ちょっと眠りかけた。(;'∀')

 

 

 

これは見ごたえがあった。是枝裕和監督が脚本と編集も手掛けた。

釜山のとある教会には赤ちゃんポストがあるが、どうもここから捨てられた赤ちゃんを盗んで売りさばいている、いや養子縁組を有償で無届でやっている連中がいるらしいとにらんだ警察が、夜中ポストを監視している。張りこんでいるのは女性二人で、上司のほうがペ・ドゥナ、ポスタービジュアルではショートヘアのほう。昔彼女が出た「空気人形」という作品を見たことがある。とてもかわいかったし、今も日本で言えば波瑠のようなルックス。でも彼女はブローカーを捕まえるため、むしろターゲットが人身売買をすることを望んでいることにジレンマを感じるようになる。

ブローカーは、クリーニング店を営むソン・ガンホと、教会で夜警(?)をしているカン・ドンウォン。ある雨の夜、一人の若い女が赤ん坊をポストにいれずにその前の床に寝かせて立ち去った。張りこんでいた警官ふたりは、片方は赤ん坊を抱きあげポストへ、もう片方は女を追う。(このまま一晩床においたら赤ん坊は死んでしまうかもしれないのに、なんてことだ。)建物の中では赤ん坊の映った防犯カメラを止め、男二人が赤ん坊の面倒をみる。「(自分らはお金を稼ぎ、子供は金持ちにひきとられ)一緒に幸せになろうな」なんて話しかける。(・_・;)

しかし、翌朝昨夜の女が教会にやってくる。やはり取り戻しにきたのだった。たまにこういうことがあるらしい。いろいろあって言い逃れできなくなったブローカーたちは、結局、育てられないならいい親に渡したほうが子供のためと説得し、連絡のあった里親候補とのマッチングのため、クリーニング屋のおんぼろワゴンで母親も赤ん坊もともに乗って旅に出かける。つまり、これはロードムービーだった。母親は自身も親の愛情にめぐまれなかったようで、いなかから出て来て裏道系の男と恋仲になり、子供を産んだはいいが男は死に(彼女が殺した?)子供は男の妻が引き取るといって追手が探しに来るが、渡したくなくて逃げているようだ。

一方カン・ドンウォンは孤児院出身で、旅に出たついでに施設に立ち寄ると、そこから子供がまた一人道連れになる。彼らの行く先々には、警察の彼女らの車が付いてくる。ソン・ガンホは、離婚して娘と妻はソウルに住んでいるが、娘には、再婚した母が妊娠したからもう会いに来ないでといわれてしまう。みなそれぞれに事情を抱えているのだ。赤ん坊は、母親は、ブローカーたちは、あるいは警官たちは、無事に目的を達成できるのか。

最後のシーンを見ると本当にホッとする。ちゃんと救いが用意されていてよかった。それに、是枝監督は、前に保育士をしている映画好きの友人がそう評していたが、子供を魅力的に撮るのが抜群にうまいと思う。孤児院からついてきたいたずらっ子のヘジンがとても可愛いく、映画に和みを加えてくれる。前にフランスでドヌーブやジュリエット・ビノシュと「真実」という映画を撮った監督だが、韓国でも優れた映画を撮れている。日本語は世界に通用しにくいかもしれないが、日本人監督は世界の監督として十分通用するのだなあ。1回だけではわからないところが多そうだからまた見たい作品。

 

 

原作は、魔犬が犠牲者をかみ殺す殺人事件だったような気がするが、もう覚えていない、コナン・ドイルのシャーロック・ホームズシリーズの名作。

探偵(ホームズ相当)の誉獅子雄と助手(ワトソン相当)の若宮。若宮に、かつて息子の家庭教師をしたことのある蓮壁家の当主(西村まさ彦)からの依頼テレビ電話がくる。内容は、娘の紅(新木優子)が最近誘拐され、蓮壁家にしては安いその身代金を用意したが、金を取らずに彼女は帰された、その誘拐事件を捜査してほしいというもの。しかし、その電話の最中、当主は苦しみだして死亡する。その死因は、驚くべきことに狂犬病だった。現代日本で狂犬病?それに、いつも事件のたびに絡みのある警察の刑事(佐々木蔵之介)が蓮壁家の屋敷のある霞島出身で、ぜひとも調べてほしいようだ。

霞島の高台にある古い洋館の屋敷には、ほかに車いすの夫人(稲森いずみ)や古参の執事(椎名桔平)、また地震を研究している准教授(小泉孝太郎)など、怪しい人物が何人もいた。リフォーム業者(広末涼子)も出入りしている。美大生の紅も、お嬢様のはずなのに、実はキャバクラでバイトをしているらしい。霞島には魔犬伝説があり、犯人はその伝説も巧みに利用して、当主の次は長男(村上虹郎)も殺害した。誉らは、誘拐事件とふたつの殺人事件の20年前に、未解決の乳児誘拐事件があったことを知った。その事件を担当していたのは、当時霞島の警察署長をしていた、佐々木蔵之介の父であったが、事件はたった2週間で捜査打ち切りとなっていた。そのわけは・・・。

サスペンスだし、うまくまとまっていてスリリングな展開で楽しめはしたけど、私の感想は、「エゴだな~」というもの。(ノリ悪い?(^^;))昔の誘拐もその結果も、時を経ての復讐劇も、エゴだなあ。某人の甥のユーチューバーの「だって人を殺しちゃだめでしょ」がまともすぎて刺さった。

人を人とも思ってない(傍若無人という)ふるまいは、いくらお金や権力があっても、ダメでしょ。その一方で、ラストの募金活動をしている若者たちには希望がみえるよね。

いったい何を書いてるの?と思ったかたは、どうぞ本編をご覧くださいませ。「死刑にいたる病」と違って、安心して見られます。(^^;)