凪良ゆうさんの2014年発表作品。〇〇に入るのは、表紙写真を見れば一目瞭然だけど、どーてーペンギン🐧(拙ブログ「ケイ×ヤク」参照ください)ならぬ「童貞」。(^^;)
凪良さんはいつもシリアス作品を書いていたらしいが、どうしてもラブコメが書きたくなって、編集の人に粘って粘って書くことにきまった作品だそうだ。内容は、なんと「チェリまほ🍒」同様、「30歳になっても童貞でいると魔法が使えるようになる」という都市伝説をモチーフにしている。うーん、私はそんな伝説、チェリまほのドラマを見るまで知らなかった。いったいいつからささやかれるようになったのだろう?私が30になるころはなかったんじゃないかな。
しかし、面倒なのでこの都市伝説については調べない。誰か知ってたら教えてください。(^^;)
なぜこの小説の存在を知ったかというと、アマゾンでリコメンドされたSF関連雑誌のページを見ていたら、レビュー欄に、”凪良ゆうの「それはお前が童貞だからです」はSF作品だ”というコメントがあったから。それで興味をひかれアマゾンから中古の幻冬舎ルチル文庫で購入した。余談だけど、購入先のバリューブックスは、私が時々手元の本を売って、売り上げを出身大学に寄付する古本募金を仲介してくれている会社である。(寄付ったって一度にどっさり売るわけではないのでお恥ずかしいほどの少額だが)
イラストのイシノアヤさんは、凪良さんが是非にと希望してきまったかただそうだ。イシノさんのBL漫画、読んだことがない。(名前もしらなかった)ああ、BLの世界も本当に広大だなあ。
さて、あらすじ。化粧品会社の広報室勤務の二ノ宮雅人は、ある身体上の秘密のために、その美しい容姿と社員の7割が女性(だからモテる)という環境にも関わらず、童貞だった。そしてちょうど30歳を迎えた日から、なぜか危険な目にあうと瞬間移動してしまうという超能力が発現するようになったが本人には自覚がない。そんな二ノ宮のもとに、過去に彼に性体験に対するトラウマをもたらした人物その人である世取錠(せどりじょう)が現れた。
二ノ宮と世取は高校生時代つきあっていたのだが、ある日二人で一線を越えようとしたとき、二ノ宮の身体的秘密を当然世取は知ることになった。世取には全く悪気はなかったが、なにせこの男は神経が繊細にできていないので、デリケートな二ノ宮の気持ちをズタズタにしてしまい、それがもとで二ノ宮は12年も童貞のまま、そして世取はほかの男と付き合ってもずっと心の底で二ノ宮を思い続けていたのだった。
その二人が再会したのは、SFというよりミステリー仕立てなのだが、二ノ宮の会社の同期で友人である藤木が失踪しており、彼を探してほしいという家族からの依頼を、探偵である世取が受けたから。藤木のみでなく同社研究室勤務の永友も失踪しており、その永友はヤクザの早坂組に追われているらしい。世取は二ノ宮に、藤木に最近変わったことがなかったか尋ねたが、藤木も最近超能力が使えるようになったと二ノ宮に打ち明けていたのだ。それは二ノ宮のような自分がテレポートする力ではなく、モノを動かす力(サイコキネシス)だった。つまり藤木も30歳で童貞だったのだ。それだけではない。実は総務の経々(たった)課長にもテレパシー使いという能力があった。彼の場合37歳だから、二ノ宮に比べるとベテラン超能力者なので、その能力をもっと使いこなせていた。・・・しかしなんちゅう設定なんだ。(;^ω^)魔法使いだらけ。
そんなこんなで、二ノ宮・世取・経々・部下の新垣らは、藤木と永友を探し救出する作戦を遂行するが、もちろんそこに、二ノ宮とよりを戻したい世取、子供の時から経々を愛し続けてきた新垣、永友に片思いしている藤木などのBがLする恋愛が絡む。(・_・;)(^^;)
そしてなにせ凪良さんの書きたかったラブコメだから、面白いしテンポがいいし、時々声を上げて笑ってしまった。(*´∇`*)この世取というキャラクター(攻め)が、なかなかいい男なんだよねえ。無頼でデリカシーに欠けていて、しょっちゅう二ノ宮を怒らせているけれど、体力はあるし、見た目も同い年に見えないくらい貫禄があるし、あっちも上手みたいだし(品がなくて失礼^^;)危険な時にはしっかり二ノ宮を庇うし。強面なんだけど、二ノ宮にだけは弱くて、時々ケリなど食らっている。(;^_^A
ようやく事件が解決して仲直りした二ノ宮と世取は、世取が受けた傷が治ってから、一泊二日で温泉旅館にハネムーン(みたいなもん)に出かける。そこでもなぜかまた偶然に、経々と新垣のペアに遭遇。どうやらあちらのペアも、こちらのペアと目的は同じらしい。(^^;)(^^;)
そのときのエピソードが書かれているのは、同じ本に収録されている「湯けむり探偵温泉事件簿 初夜のから騒ぎ」すなわち、ここでまた、事件に巻き込まれるのだった。果たして二ノ宮と経々は、無事に童貞を卒業できるのか?
そして、作者によるあとがき。本のタイトルは、世取が文中で二ノ宮に言った言葉をそのままとったものだが、おかげで、担当さんも営業さんもルチルの社長さんも書店さんも読者も、このすんごいタイトルを何度も言わないといけなくなって申し訳ないって。(;´Д`A ```
そういえば、私、「ちぇりまほthe movie」のムビチケを買おうといつものシネコンの窓口に行ったとき、ふだんは自販機でチケット買ってるので、ちょっと焦って「ちぇりまほthe movie」という名前が出ずに、「『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』のムビチケください」と言ってしまったのだった。(-_-;)
凪良さんの作品は、「流浪の月」を皮切りに、「美しい彼」シリーズ4巻と「それはおまえが・・・」で6作品読んだ。文体が簡潔でビビッドで、私の好みにあっている。さて今度は何を読もうかな。