BANANA FISH が舞台化されるというニュースをネットで知ったとき、うわ、凄いなと思った。なぜなら、あの原作(私がちゃんと全部見たのはノイタミナアニメのほうだったが)は相当ダイナミックな物語で、エピソードの舞台となる場所も何か所にもわたり、いくつかの部分をカットするにしてもかなりの長時間の大作になると思ったからだ。激しい戦闘アクションも登場するし大炎上シーンもある。それをどうやって舞台上で表現するのだろうか。
 

それは、前後編に分けるということである程度整理されたようだ。そういえば映画でも前後編にわけられたものが時々ある。(たとえば最近では「64」とか「ソロモンの偽証」とか)連作ものもある(同じく「るろうに剣心」とか)。ただ、原作のファンならそれでもいいが、全く何も知らない人が見ると、楽しめるけどちょっとよくわからない、ということになりそうだ。しかも私のように前編が見られなかった人の場合・・・。(-_-;)・・・でも、BANANA FISHがどんな話か知らないで劇場に行ったり配信を見る人はほとんどいないかもしれない。ていうかいないだろう。^^;

シアターコンプレックスで後編千秋楽の配信を申し込んだが、いつのまにか公演は中止になっていた。多分コロナのせいだろう。メルマガ不要にしていたので知らなかったが、neopuriyさんのブログでそれを知り、シアターコンプレックスのHPに行って初日の再配信をすることがわかって、早速それに切り替えて見た。2時間42分4秒。家で配信で見るなら大丈夫な長さだ。

 

さて、前置きが長くなった。舞台を見てみようかなと思ったきっかけは、主演アッシュが水江建太君だったからなのだが。(^^;)(^^;)(ギイを求めていたらアッシュに当たっちゃったのだ。)あの登場人物たちを生身の人間(それも日本人)がどう再現していくのか興味深々だったけど、なかなかにみなさん原作およびアニメの雰囲気を現身に表現していた。

水江君は賢く冷静で時により冷酷になるストリートギャングのボスというよりも、比較的ナイーブ寄りなアッシュだった。彼の持ち味かもしれないし、今回の公演が後編で、前編で英二との関係がちゃんと構築された後だからというのもあるだろう。奥村英二役の岡宮来夢君、英二の無垢な温かさと懐の広さとまっすぐな瞳を表現できていた。戦闘能力は弱いが、案外心は強い。(^-^)

下はアッシュ(アスラン・ジェイド)リンクスと、英二。アッシュの瞳はジェイド(翡翠)色だ。

 

全体を通して、凄く光っていたのはシン・スウ・リンの椎名君か。役柄とセリフのせいもあろうが、声が良く通り、アクションの動きも良かった。ユエルン(ユーシス)も、らしかった。ゴルツィネの赤星さんは、「怪物ランド」の時から知ってるけど、ルックスからしてぴったり。ブランカの藤田君も見た目・声などよく合っているし、谷口君のフォックスのまあ恐ろしいこと。(-_-;)「どうしても触れたくない」の外川陽介の、あくまで陽キャの無頼で気さくないい奴ぶりはなかった。内田朝陽さんのマックス・ロボも、らしくてよかった。つまり、キャスティングは見事にはまり、2次元の世界をちゃんと3次元的に生身の人の世界として表現できていたと思う。

下は英二とチャイナタウンのストリートギャングのシン・スウ・リン。そして中国系マフィア李家のユエルン(月龍)と後ろにブランカ(セルゲイ、もとKGBで、ゴルツィネに雇われ少年アッシュに格闘のしかたや銃の扱い方などを仕込んだ人)。

 

 

コルシカ出身マフィアのディノ・ゴルツィネと、傭兵のフォックス。その下は、左からアッシュとゴルツィネ、赤毛はバナナ・フィッシュ(人を狂わせあやつりそのうち廃人にする恐ろしい毒薬)の研究をしている博士。(こやつは医者の風上にもおけない。)向かいは米軍の将軍。

 

アッシュの首をロープで絞めて、バナナフィッシュの資料と実物のありかを聞き出そうとするフォックス。怖ーい。

これは左から伊部さん(英二をNYに誘ったカメラマン)と、バナナ・フィッシュの謎を追うジャーナリストのマックス・ロボと、ニューヨーク市警のチャーリー。

 

 

これが舞台装置。3階建てで、向かって左端には階段。右端には見えないところに階段もあるのだろうが、前に丈夫な木箱のように見えるものを飛び石のように高さ違いで配し、たいていみな飛び降りている。

一階特に中央は、背景となる落書きだらけのシャッターや街の夜の風景の描き割り(多分)や、場面転換の時に舞台となる場所を文字サインで(多分薄い紗のスクリーンでも垂らしているのかな?)映し出す。向かって左の階段の内側部分は、屋内として、あるときはベッド、あるときは応接セットなどを置き、アッシュのマンションだったり市内の病院の1室だったり、ユエルンやゴルツィネの屋敷の応接室になったりする。右側もそうだ。

2階は精神病研究センターだったり李一族の屋敷だったり、アッシュの隠れ家やらフェリーのデッキやらクラブ・コッド(ゲイの娼館)の奥やら、いろいろ使われる。3階はあまり活用されなかったが、精神病研究センターの屋上のヘリポートとか、重要な役割を担う。考えてみたら舞台上の2階3階で演技やアクションをするって、高所恐怖症だったらできないことだ。きっとその床は奥行きが狭いのだろうし、手すりもない。おお怖。(>_<)それにしても全体に舞台が暗い。「引き」で見る屋内シーン(地下道含む)ばかりだからか。劇場に行っても、オペラグラスがなければ役者さんの表情がわかりにくいだろうが、配信だとわかりやすいのが利点。(^▽^)

 

 

アクションシーンもたくさんあった。(水江君の半そでシャツから出た白い腕の肘付近にアザが見えたように思えた。)あるときは素手やキックで、あるときはナイフや銃撃戦で、またアッシュはフォックスとは命がけの鉄棒でのチャンバラをした。英二もアッシュのグループの子らに銃の撃ち方を教えてもらって(写真)、ゴルツィネのパーティーに一緒にボーイとして潜り込んでアッシュを奪還した。(彼は誰も殺してないけどね)そして右側を降りてくる、伊部さん(上)とマックス・ロボ。

 

 

次は、引退していたのに呼び戻されたブランカと戦う教え子アッシュ。敵味方入り乱れるから難しいストーリー展開。(;´Д`A ``` ブランカは、雇い主をゴルツィネ→ユエルン→アッシュと変更した。アッシュと契約した報酬は、500ドル+食費等(^^;) 格安。もともとアッシュが心配でやって来たのだろうと思う。

 

 

セリフを覚え、演技をし、アクションもする。裏方も含め、大変な苦労だ。それなのに公演中止だなんて。( ノД`)シクシク…