今年の話ではなく、昨年11月の話なのだけど、生誕120周年記念木村伊兵衛回顧展が近くの美術館で開かれたので行ってきた。
美術展の類は以前は大好きだったのだが、なにせ足が痛くなって疲れるので、せっかくそういったものに行きやすいところに引っ越したわりには足を運ぶことが少ない。こういうものを鑑賞するにも体力が要るのだなあ。
 

 

チケットに使われたのは、彼の作品のなかでもおそらく大変有名だと思われる、可愛らしい「秋田おばこ」の写真。それと、浅草の仲見世にいる永井荷風。

土門拳(記念館には行ったことがある)とならび、木村伊兵衛の名を冠した賞は、写真家の憧れだと思う。私は写真家でもなんでもないので、単に「どちらが好き?」と問われれば木村伊兵衛。彼の撮影した、昭和30年代から40年代初頭にかけての秋田の農村風景から、人々のつつましくて力強くて、素朴な愛情を持った生活が感じられ、なんだか愛おしくなるのだ。

モデルの娘さん(ヨネさんといい、数年前アメリカで亡くなったらしい)は、日本人だけど、白黒写真でもわかるくらい色白で面立ちの整った可憐な娘さんだ。昔はこういった、磨いてない原石みたいな美しい子が(男も女も)田舎には結構いた。人口比からだけでいっても、都会には(センスのいい)綺麗な子はよりたくさんいるのだろうが、今は都会も田舎もなく均一にならされてきたきたように思う。

ここも雪国なもので、色白で肌の綺麗な人が多い。(大)昔のように、「色の白いは七難隠す」という基準にあてはめれば私も美女なのかもしれないが、顔の造作と、あと現代は全身のプロポーションが重要視されているから、そっちの基準ではダメダメだ。(^^;)(^^;)

そうか、着物体形と時々言われるが、日常的に着物を着る時代だったら私ももっと株が上がってたのかな?(*´∇`*)

 

木村伊兵衛と言う人はポートレイトもよく撮っていたようだ。展覧会には、昭和の時代の文人や女優らの写真もいくつもあった。もちろん白黒写真。ここには載せられないけど、原節子とかの時代の人たち。本当にみな、それぞれになんとも魅力的なニュアンスがあって美しかった。文人の写真にはその人となりがやはりにじみ出ていた。きりっと実直そうな武者小路実篤とか、もうちょっと軽くダンディな感じの里見弴とか志賀直哉とか。・・・・・この人たちがバイであったということは、某人のブログで知っていたので、なんとなく二ヤついてしまった。

[今のBLみたいなライトなもの(女子向けだからね)ではない、結構ヘヴィな様子だった。]

 

 

なんだか文章の品格が微妙になってきてしまったなあ(自業自得)。(-_-;)

これは浅草に立つ永井荷風先生。赤ん坊をおぶった女性が写っているが、近年本当におんぶされている子供を見なくなった。みな抱っこベルトで抱っこかベビーカーになったものねえ。スーツに帽子を被った紳士も見ないね。被ってるのは、若者もしくはおしゃれ帽子の中高年。今と違い、外国人観光客の姿も見えない。

おまけだけど、私は木村氏の弟子である田沼武能さんの、世界の子供たちの写真も好きだなあ。

 

さて、以前ミスタードーナツにペーター佐藤さんの素晴らしいイラストがパッケージデザインとして使われていた。以下は画像検索して拾ってきた彼の作品だが、彼も上の写真と同じヨネさんの秋田おばこのイラストを描いたことがある。(もちろんカラー画)それを載せたかったのだが、見つけられなかった。残念。

 

 

 

写真ってまさに時代を映す鏡みたいなものだわね。