キングスマン・シリーズ(キングスマン、キングスマン・ゴールデンサークル)は、コリン・ファース主演で見たことがある。お色気やお遊びもある肩のこらないスパイものとして楽しんで見た。(改めてキャストを見たら、エルトン・ジョンの伝記映画でそっくりなエルトン役をした歌のうまいタロン・エジャートンがあの若い新米スパイ役だった。)
しかし、今回の、キングスマンの創始のころを描いた作品は、それとは趣を異にする。格調高く真面目だ。(でもやはり設定がぶっとんではいるが(^-^;)なんたってレイフ・ファインズが主人公だ。彼はハリポタのヴォルデモートとして知られているけれど、私にとっては彼が記憶に刻まれたのは「ナイロビの蜂」だった。(シンドラーのリストとかはまだ見ていないので・・・(^^;)ヒューマンドラマは好きだけど、戦争物が苦手なので。)この作品にも第一次世界大戦が出てくるが。
まずはじめに、赤十字の使者として彼(オックスフォード公)が奥方と幼い息子を連れて、前線基地に親友を訪ねるところから始まるが、いやこれは危なっかしいなあと思ったら、やっぱり銃撃戦が始まってしまい奥さんは亡くなり、彼は足を撃たれて負傷した。息子は、執事兼ボディガード兼格闘技系教育係(?)の黒人ショーラにかくまわれて無事だったが。このショーラ(ジャイモン・フンスー)は「アミスタッド」で演技を賞賛された俳優で、でも例によって私にとっては「ブラッド・ダイアモンド」でレオ様と共演したダイヤ採掘労働者の彼なのだ。
時は過ぎ、息子も大きくなった。彼コンラッドは、まだ若いと父がずっと兵役に行かないよう抑えていたが、なにせ若いから早く志願して前線に行きたいと思っている。
その戦争のかげには、まるでサイボーグ009における死の商人「ブラックゴースト」みたいに、
敵も味方もなく戦争を拡大しようとする黒幕がいた。その黒幕が、怪僧ラスプーチンや女スパイのマタ・ハリやヒトラーなどに命じて、世の中をかき回していたのである。(でもなあ、ハイテク監視機構が発達した今じゃ、こういうのもうまくいかないんじゃないかなあ?それとも人の本質って時代が変わっても変わらないから、うまくいくのかな?・・・アメリカの大統領が色仕掛けに弱いのは同じかな?(;^ω^))
オックスフォード公は、CIAやMI6のような公的スパイ組織ではなく、個人的に「使用人のネットワーク」というものを立ち上げ、大統領官邸や王宮や軍の司令部などに送り込んだメイドや執事らに様子を探らせ、その情報を把握して黒幕を探す。しかし、私的な諜報機関だというのが凄い。どれだけの資金力や顔の広さや信頼できる部下を持っていることか。
しかし、敵の黒幕も、やっぱりラスプーチンなどの有名どころだけでなく、様々な役どころであちこちに部下を送り込んでいるのだ。
コンラッド役のハリス・ディキンソンは、お育ちと人柄がよく正義感の強い良い坊ちゃんという風情ですごく合っていた。私でも息子(いや勤め先のお坊ちゃまのほうが合ってるか)として愛おしくなるくらい。でも彼は父の願い(他者を殺したり殺されたりさせたくない)に逆らって前線に出発し、大切な情報を手に入れるが、・・・・・・あまり詳しくは触れないでおこう。
スパイものだからアクションやバトルシーンも多く手に汗握る面白さだが、特に黒幕のアジトに乗り込んでいくところのアクションが凄かった。
戦争も描いているから、塹壕から援護射撃を受けながら走り出ていくところや、負傷した仲間を背負って駆けぬけるも、結局仲間に弾が当たってしまうなど、恐ろしく暗くモノクロな凄絶なシーンもあった。本当に戦争ほどの悪はなく、なんとかして避けなくちゃと思う。
彼らの活躍もあって、(一応そういうことにしておいて(;^ω^))第一次大戦は終結した。その後オックスフォード公は、例のセビル・ロウ(背広の語源)の高級紳士服店を本部にして、キングスマン(女性もいる)の組織を立ち上げるのだった。この女性がなかなかしっかりもので美しく強くて素敵だった。女は強し。( ̄▽ ̄;)