富士山ひょうたさんの漫画「純情」1~3巻の実写。
例によって、さきにFODで見ていて、最近になってkindleでDLして原作漫画を読んだ。だから3巻分だったとは知らなかった。 漫画での見た目はこんな風。
富士山さんの漫画は、コマ割りが大きいみたいだ。だから1ページにおけるコマ数が少ない。いきおいページもすすむ。で、人物のアップが多めなので、髪の毛の描きこみや服へのスクリーントーンの貼りこみとかが増えるようだ。
実写のキャストは左(受け)の戸崎圭祐に栩原楽人くん、右(攻め)の倉田将成(しょうせい)に高橋優太くん。高橋くんっていったら、「虹色の硝子」の鈴木君や「テニミュ」の乾くん役だった。ちょっと今回はキャラが違う感じ。おとなしい性格の戸崎に対し、ぶっきらぼうで説明不足な倉田。実写では描かれていなかったが、家族との間に葛藤もあるようだ。
戸崎圭祐は、フリーライター。(自分がゲイだという自覚は結構前からあったらしい)彼はインタビューして記事を書くため、新進IT企業の一社員に取材するところだ。名刺交換するとき、その名前にはっとする。「倉田・・・しょうせいさんですか?」だってそれは、高校の時に片思いの初恋をした相手の名前だったのだ。「よく読めましたね、たいてい『まさなり』って読まれるんですよ。」と倉田。
インタビューが終わり、同じ高校だと知って飲みに行きくつろいだところで倉田は言う。戸崎、お前、俺の事覚えてるだろ、なのにしらばっくれようとしたろう。いつも俺の事見てたよな。・・・あ、ばれてた?お前はいつも走ってた。・・・お前はいつも本を読んでた。お前、俺のこと好きだったろ?・・・うん、多分、俺の初恋だったんだ。・・・俺だったら、初恋の相手に会ったら誘うけどな。「え?」・・・俺、今、女いないよ。
そういうわけで、なんと強引な倉田のおかげで、二人はホテルで関係をもってしまったのだった。甘い言葉も雰囲気もなく、戸崎に「またな」と倉田。・・・・「またな」って?・・・
高校1年のとき、放課後部活で陸上をやっていた倉田を、戸崎はよく眺めていた。漫画では学校2階にある図書館の窓際に座って、グラウンドを見下ろしていた。実写では海沿いのバス停近くに立って、浜辺で練習する倉田をまぶしそうに見ていた。倉田はなんとなく視線を感じ、漫画では走って図書館まで来て視線の主を探してみたりした。それで相手が戸崎だと知っていたのだ。原作漫画ではこのころ倉田は一学年上の女子の先輩とつきあっていた。だが、学年途中で転校しなければならなくなったとき、倉田は職員室でたまたま一緒になった戸崎には打ち明けたが、彼女にはしばらくの間言わなかった。実写ではそのことにはふれていない。
倉田は時々戸崎の家に訪ねてくるようになった。相変わらず甘い雰囲気はない。でも戸崎は家に彼の歯ブラシとかを置くようになった。そこに訪ねてくる宮田先輩。先輩は雑誌の出版社に勤め、戸崎によく仕事を世話してくれる。実は学生時代、自分の大学の卒業生である先輩の会社でバイトしていた戸崎は、宮田先輩と恋人同士になった。それは半年くらいで終わったのだが、なんとなく宮田は倉田を挑発する。倉田は戸崎に、「昔の恋人から仕事をもらうなんて俺には理解できない」という。はっきり好きだと言ってはくれない倉田だけど、かなりのやきもち焼きと見た。(^^;) だって、噛んで戸崎の首に痕つけちゃったりするんだよね。(;´Д`)
そこに絆創膏貼る戸崎、可愛い。(宮田先輩は目ざとく見つけちゃったけどね)
週末に二人の時間を作るために平日は二人とも頑張って働き、その週末に実写ではよく倉田の運転で(オープンカーなんだけど、レンタカー?)ドライブにいったりしてデートを重ねる。原作漫画では、基本どちらかの家で夜一緒に過ごしてるんだけど、休日二人で映画に出かけたりもする。そこにまた宮田先輩が出くわして、「外で会うくらいなんだから、倉田君も本気で圭祐を好きなのかもな。圭祐には幸せになってほしいからな」なんて思っている。(まあきっとこの二人は宮田さんに別の恋人ができて別れたんだろうなと私は推測。(-_-;))
実写でははっきりと写さないけど、漫画では二人のベッドシーンは結構なページを割いて描かれている。コマが大きいから・・・・。(;^ω^)(監督はあの「愛の言霊」の金田敬監督である。)
それでも、宮田先輩だけでなく漫画では別の先輩もからむのだけど、はっきりしててまっすぐな倉田と、フリーライターであちこちから仕事をもらう戸崎の間にはあれこれ齟齬も生じる。ツンデレ・デレは少なめ(三洲新か?)な倉田でも、実は心に秘めた思いがあった。
これは実写バージョン。高校生の時、あのバス亭。今日は倉田、走ってないなと思った戸崎の隣に、倉田が立つ。「俺、部活辞めたんだ」「え?」「転校するんだ」「そう、なの?」
そしてバスの中で、手から読みかけの本を落とした戸崎にそれを拾ってやる倉田。でももう戸崎の降りるバス停に着いてしまった。慌てて降りる戸崎。バスは発車するが、言いたいことも言えずにお互いに相手をじっと見送る二人。(何を言いたいのかもはっきりわかっていなかったかもしれないが)
そして倉田は、バスの床に戸崎の本から落ちたらしい紙のしおりを見つけて拾い上げる。その裏にはペンで「君ヲ想フ」と書いてあった。私としては、その、よく出版社が本のおまけに作ってくれている感じのしおりに、「ダリア文庫」と印刷してあったのにウケた。だって、この原作、BL専門のダリアコミックスだもの。(^^;)
下は、熱を出した倉田を自宅で徹夜仕事しながら看病していた戸崎が、朝になって回復した倉田の隣で眠ってしまったところ。この前に、倉田が寝ていると思って、「好きだよ、しょうせい。」と言ったのを、倉田は聞き逃さなかった。それで照れ屋の倉田も眠った圭祐にこんなやさしい愛情表現をしている。(起きてるときにやんなさいよ😠ってね。)で、まだ名字で呼び合ってる二人なんだよね。
また宮田先輩がらみで、圭祐はちっともわるくないのに、嫉妬で当たり散らした倉田に、(たとえ恋人同士でも、合意のないあれはレイプです(-_-;))圭祐はとうとう「距離を置こう」と宣言。
ハートブレイクな戸崎に「あいつはやめておけ」という宮田先輩。でも、倉田が好きなんですという戸崎。
一方倉田も傷心のまま仕事していたが、職場の先輩(原作ではない設定)から、戸崎の仕事の載った雑誌を渡される。彼女は昔倉田とつきあっていたが、彼女の家で倉田は寝て(眠って)ばかりいたそうだ。彼女は戸崎が倉田の恋人だとは知らないのだが、戸崎の詩を気に入ったから今度はこんなのをPR誌に載せようというのだ。倉田はその誌面で戸崎から倉田への恋文と思って間違いのないような詩を読んで。心を揺さぶられる。「逢いたくて、逢いたくて、逢いたくて・・・」
倉田は戸崎に電話をして、「あの海で待ってるから。ずっと待ってるから。」と告げた。あの頃と同じように走っている子らがいる。かなり長いこと待っていると、戸崎がバスから降りてきた。
お前に言わなきゃいけないことがあった。好きだ、圭祐。
帰りのバスの中で、将成は圭祐に、紙のしおりを見せる。・・・それ、俺の?・・・ああ、捨てられなかった。・・・結局将成も圭祐が好きだったのだ。はっきり気づかなかったけど。やっとまた巡り逢えたのだ。それは純な愛情だった。(ところで高橋優太くん、時々ちょっと舌足らずだよね?)
原作ではバスもしおりも出てこないが、二人の交際を反対する倉田の家族にはっきり話して、戸崎とは別れないと宣言する倉田。戸崎はもっと前に家族に自分がゲイであることを打ち明けて、姉の応援も得て認めてもらっていた。そして二人は一緒に暮らすべく引っ越しするのだ。
さて、この実写には、原作者が出演しているらしい。とすれば、きっとこの人しかいないと思ったので写真をアップ。実写の割とはじめのほうで戸崎にインタビューされていて、実写化にあたり、主人公の二人の気持ちが近づいていくところは、原作に忠実につくってもらったので、そこを見てくださいと話されていた。きっと富士山ひょうたさん。
金田監督はやはりドロっとねちっとした画面は撮らないみたい。(^^;)
原作は3巻もあるから読み応えたっぷり。
どちらの純情も、いいですよ。