第一作をGEOから借りて見てみた。
 

2007年作、一番先に出てくるクレジットがバンダイビジュアル、トライネット、ビデオプランニング。配給元だろう。これが2作目からは、日本出版販売、ビデオプランニング、ポニーキャニオンとなる。制作、プロデューサー、脚本はかなり共通した人たちなので、その辺のタイミングでキャストと監督をリニューアルしたのかも。一作目が横山一洋監督、その後が横井健司監督、脚本はずっと金杉弘子さん。ほかのBL作品にも金杉さんの脚本が多い。

 

第一作「そして春風にささやいて」は、ロケ場所も第二作以降と違っている。制服は同じだが、全体に若くて明るく今風である。

まず葉山託生君は、柳下大(とも)君。浜尾君よりあどけなくて険もなく、そんなに暗い感じはしない。脚本に彼がキッと突っ張る箇所もあまりないしね。その隣はギイ。あら若々しい。

加藤慶祐くんは渡辺大輔くんと違い、高校生に十分見える。(^-^;イケメンで背も高いし、いいとこのお坊ちゃん感はしっかりあるが、しかし普通だなあと思う。(すみませんm(__)m)ほかの友人には、1年でタクミと同室だった片倉利久、わがまま王子様で取り巻きを連れた高林泉(役を変えて次作以降も出る斎藤ヤスカくん)、その高林を好きな吉沢道夫、ギイと前から仲が良かった赤池章三(ずっと滝口幸広くん)らが出る。ストーリーは、2年になってタクミとギイが同室になり、タクミが人と極力触れあおうとしないから敬遠されたりいじめられたりするので何かとギイはタクミを庇い、かつそのためにギイを好きな高林らから狙われたりするのも(カレー皿つぶてとか(-_-;))体を張って護る。**音楽室にともに閉じ込められたときにギイはタクミに告白。そのあたりはもちろん原作にそうあるのだろうから次の作品群とも矛盾しない。本作で開錠してくれたのは赤池だとわかったが。赤池は、なぜかあちこちのポイントにいつの間にか現れているので、出演者座談会ではストーカーじゃないかと言われていた。(^^;)

 

タクミがなぜ人との接触を避けるのか、第2~第4作でははっきりせず、第5作で明かされた。でもこの作品では理由が明かされる。すなわち続編をつくる予定は、このときはなかったのかもしれない。

 

 

タクミは幼い時から習っていたバイオリンを3年前にやめたが、その前には世界的バイオリニスト井上佐智と同じ舞台にあがったこともあり、井上には憧れている。その井上がなぜか山の中の祠堂学院高校にスケジュールをこじあけて演奏に来た。(ギイの友人で、ギイが呼んだらしい)それをきっかけにまたギイからもらったおさがりのバイオリン(なんと子供の時ギイが半年だけ使ったストラディバリウスだという(*_*;)で練習するようになった。この表情が滝クリみたいで可愛い。ギイは数年前佐智に呼ばれて聞きに行った発表会でバイオリンを弾いていたタクミを見ており、ずっと前からタクミに憧れていたらしい。

 

ギイはタクミに告白したが、タクミの返事はまだだった。一方バスケ部キャプテンの野崎が強引にタクミに迫り、ギイと張り合う。悪い子じゃないみたいだけど、タクミの気持ちを考えず強引すぎる。結局ギイと野崎が持久走で対決(決闘だよね)することになり、早朝ジョギングを始めたギイ。雨の日も走るギイにタクミは「僕のためにそんなにしてくれなくていいのに」と言いつつ、バックハグ。「接触恐怖症は?」と驚くギイに「このままでいさせて」とタクミ。ギイへの愛を自覚したのだ。

 

当日は赤池とタクミが見守る中、タクミの応援でギイが勝ち、野崎を追い払った。そこでやっとタクミはギイが好きだと告白し、夕日の丘でキスする。

その次の場面がいきなりこれなんだけど・・・。唐突感が否めないが、このような状況下で、タクミからなぜ人との接触を恐れるようになったかが語られる。でもタクミへの愛ゆえにおおらかに受け止めるギイ。しかしタクミがちょっと幼くて、いたいけな子供が、いいのか?という気になってしまう。それでいてちょっと色っぽい。唇がぷっくりしていて可愛い。ギイにも「曇り」がなくていい感じ(渡辺君がどうとかいっているわけではない。つまり、若いんだなあ)。シリーズ次作と違ってラブシーンにも光がいっぱい。

 

 

画が本当に綺麗だ。これはセクシーというよりファッション誌のグラビアみたいだ。

 

                

 赤池のルックス私好きだけど。黒く短いヘアスタイルが似合うし町田啓太君に似たところもあるし。そしてやっぱり第2~5作よりも本作品では見た目が若い。彼はBL花盛りの祠堂学院高校においても、ストレートらしい。そして風紀委員。自己評価の低いタクミの言葉に、「ギイはお前を宝物のように思っているんだからそんなこと言うな」という。赤池の存在って、このシリーズではとても貴重で、救いになっている。

 

ところでこのネームタイトルだが、ほかの人たちと違ってギイのだけ苗字が先にきている。しかも、ギイってGuyかGuiだと思うんだけどな。英語でもGuyとかGuidoとかだと思うんだけど。意味は、森とか林に由来するらしい。ニックネームにはギトンとかもある。イタリア語だとヴィトー(ヴィート)。ゴッドファーザー(シシリアンマフィア)の名前が確かヴィトー・コルレオーネだった。GYEEは音を表したのか。

そして最後にタクミが兄の墓参りに行く。あとのシリーズでは第5作でタクミの過去話と兄の墓参りシーンがあるので、やはり本作は続編を考えずに制作したのだろう。

本作は全体に爽やかで明るいつくりだった。

のちのシリーズのほうが見ごたえがあるんだけど・・・・。(^^;)(^^;)(^^;)

 
注)ギイはNY生まれでフランスとのクォーターで大企業の御曹司(長男で妹がいる)という設定。(リアルだったら難儀な立場だなあ)お父さんは関東人なのでギイも納豆が食べられるとか。(^-^;
**ver.4・・・原作を読んだら、これはけっこう脚色されていることがわかった。音楽室ではなく音楽堂に、高林の取り巻きらによって閉じ込められたのだった。祠堂学院は人里離れた山の中腹にあるので、ふもとに比べてかなり寒く、春4月でも夜は冷え込む。そんな時に暖房のない音楽堂(敷地の外れに建っている古い建物)で制服だけの恰好で夜明かしすると凍えてしまう可能性がある。 ただのいたずらでは済まない事態になるかもしれなかったが、ギイの機転で何とか乗り切った。このときも赤池の助けがあったのでそこは同じだけど。ver.4: 2021.11.14