とうとう買ってしまった「Life 線上の僕ら」。
配信では彼らの40歳までの人生しか見られなかったので、漫画原作で泣いた私は、ディレクターズカット版DVDを購入した。(ブルーレイだとみられる機械が限定されるので今回はDVD)見ると、「ああここ違う」、とか、「ここはカットされてた」とか、小さな発見が少しずつあった。でもやはり編集の人は上手に物語をまとめたのだと思う。
:*原作者へのインタビューでは、人生の最後まで描くことについては編集のほうからは当初理解が得られなかったので、全話分のネームを先に仕上げて、そして説得したとのこと。私なんかはその最後で泣いたのであって、作者の意図は素晴らしかったと思う。
原作の中には二人の家族がほとんど出てこない。そのほうが描きやすいとは思う。しかし、映画版のように、家族が出てきてその人たちの考え方がわかったほうが、より主人公たちのキャラクターが理解しやすいし、よりリアルだ。友人たちも出てきて、高校時代に青春してる感じや、その後の彼らの人生の変化がより感じられる。アラスカ()で登場の外国の俳優さん(BLで人気)たちについてはまだ少し「?」だけど。台湾進出をはじめから狙ってた?
初めて夕希が晃を「晃」と呼んだとき、「もう一回言って」と頼む晃。これは原作にないし。
「行けるところまで行きたい」の事のあと、離れがたくて晃の家の近くまで送ってくる夕希。何度も手を振りあう二人が可愛い。そこを目撃したお姉さんに、「今の子、恋人?」と尋ねられて、(もちろん去っていったのが男の子であるのはわかってるはず)口ごもりながらも「うん、そう」といった晃をいきなりハグして、「あんたが自分に正直に生きてるってわかってうれしいのよ」というお姉さん。両親特にお母さんの考えに従って、常に常識の中で「普通に」生きようとしている弟を気にかけているのだ。まあお姉さんがそうじゃないので、長男の晃にしわ寄せがきているともいえるけど。
一方の夕希のお母さんは、奥山佳恵ちゃん。ああ、彼女がお母さん役をやる年齢になったのね。夕希がお母さんに晃が好きだと打ち明けるのは、社会人になって晃と暮らしているときだけど、こちらは驚きながらもスマホで調べて「オランダなら合法的に結婚できるみたいよ」などという。もちろんこれも原作にはないが、一方原作本編終了後の「JOY」では、実は生まれる前に二人は産院の待合室で出会っていたことがわかる。お母さんたちのおなかの中で。そのときの両お母さんの会話も、やがて生まれてくる二人の将来の性格を暗示して面白い。
そのJOYの中で描かれるふたりのシーソー遊び、映画で出てくる。いいなあ、夕希。晃は言う。「夕希は人生のスペシャリストだな」。そして私の好きな原作の1シーン:ようやく再会できた二人が、お互いの愛情を確かめ合ったあとで、夕希の頬にあてた晃の手に夕希がいとおしそうに自分の手を重ね、「昔から、晃はたくさん考えすぎるからわからなくなるんだよ。二人でいれば怖いものなんか何もないのに。」というところ、ありました!ここ、あったほうがいいよね?
二人の海辺への小旅行のときに、星を見ながら語るシーン。これは原作にないエピソード。これ、よかったな。プロローグに流れる夕希のナレーションと意味を合わせてあって。より運命的な絆を感じさせるし、スケールが大きくなりかつロマンチック。晩年の、晃との別れ(映画では完全にスルーだった^^;)や夕希もこの世を去ろうとするところのあたりはさらっとしていたけど、でも、二人でLifeを生き切ったなあと感慨深くなるエンディング、良かった。
全体に構成と脚本はよくまとまっていて、原作と違い濡れ場はなくても、切なくなる愛のシーンはあって、素晴らしいなと思った。キスはさりげなく何回も。特典で主演二人のインタビューを見たら、二人とも相手が女優さんじゃないから気をつかわなくてよくて、気楽にやっていたらしい。監督さんの指示も、脚本になくても夕希からのキスのあと「もう一回晃からも」とか。普通脚本になければそんなことしないらしい。でもそれを受け入れてくれるくらい、主演の二人は作品作りに真摯だったし、実際仲もよかったそうだ。楽駆くんは、一度BL作品に出て見たかったと言っていた。白洲くんが「キラースマイル」と呼ぶ夕希の輝く笑顔も、天然ではなく彼が考えて創意工夫で生み出したものらしい。いいなあ、夕希(again
)。
だいたい、順撮りじゃないのは仕方ないけど、初日に白線の上で出会うシーンと、のちに夕希が晃に突き放されて途切れた白線の上で泣くシーンを撮り終えるなんて相当厳しいよねー。でも真に迫っていた。「あんなに俺を愛したくせに」、って・・・・。( ノД`)シクシク…
今後も楽駆くんと白洲君に注目していこう。
注)漫画だとつい受けのほうを小さく描くと思うけど、白洲君も背が高いし、楽駆くんも同じかそれ以上くらいに背が高い。日本家屋の建具の上縁を超えてるくらいね。
チェリまほで受け役の赤楚君も背が高いのにわざと猫背にしたりして工夫してたね。
チェリまほの話だけど、町田君は、撮影に来る前にしっかり役作り考えてつくってくるタイプ、赤楚君はふだんの生活から役の安達になりきって撮影に臨むタイプだそうだ。もちろん監督さんと話し合って撮影していくのだが。
白洲君は監督さんによれば町田君的な感じで、楽駆くんは白洲君の芝居をしっかり見て受け止め演じるタイプ、そしてカメラが回ってなくてもずっと夕希でいるそうだ。
なんだか二組似ているなあとほほえましい。