命の百円玉有難かった。金欠の時に、カバンの中から、百円玉が見つかった。金欠、空腹、寝られない。三拍子揃った苦難は、百円玉一枚に救われた。金に困った時の百円玉は、金に有り余った時の一万円札にも代え難い。私は、迷わず、自販機のコーヒーを買いに自販機に走った。大人は、金に困らないというのが、私の子供の頃の考え方だったが、そうではない。百円玉に一喜一憂する大人に私は、成り下がった。