求められる、我が国の実態を踏まえた自己改革案のとりまとめ | 山田としお オフィシャルブログ Powered by Ameba

求められる、我が国の実態を踏まえた自己改革案のとりまとめ

  ともかく必要なのは、自らの改革案を提案することだと思います。確かに、現状の卸売市場流通に問題がないわけではありません。セリ取引は畜産物では大宗を占めていますが、青果等では極めて限られ、相対取引が中心になっており、また市場外取引も大半を占めるようになっています。どういう取引が望ましいのか、関係者で詰めた議論がなされなければならないのです。

 

でないと、規制改革推進会議から、さらなる乱暴な提案がなされかねないのです。場合によっては、もうそうした案が規制改革推進会議に来ているのかもしれないのだが、圧倒的な競争の導入と、場合によっては、海外も含む企業から、すでに要請が来ているのかもしれないのです。

 

というのは、現在米国等では、大規模流通企業や資本による高度な情報通信技術を活用した注文と、多様な流通拠点を活用した配送システムによる供給の仕組みが出来上がっており、競い合っているといいます。すでに日本でも一部でそうした動きがみられるわけですが、それを主流にする形で仕組みが作られた場合、これまでの個別生産者から、JAの共同出荷を基本にした分荷や市場出荷、そして卸売市場での価格形成、多くの小売店等への配送という仕組みが大きく変わり、中央・地方の卸売市場や、多くの仲卸等の関係者の仕事の仕方も、セリや相対等の価格形成の在り方も大きく変わることになります。特定の産地が丸ごと特定の大規模供給システムに、それも外資の企業に取り込まれてしまうということにもなりかねないのです。

 

その場合の価格はどう決まるのか、生産物はきちんと行き先は決まるのか、しばしば過剰で廃棄することになるのではないのか、生産者サイドのコストや所得は実現できるのか、心配は尽きません。要は、これまでの「生産して、市場に持っていけば、何らかの形で値段が付いた、付けてもらった」という形ではなくなるということなのかもしれないのです。

 

 有力な出荷団体であり、各種の施設の整備も、融資においても、組合員農家の結びつきと産地形成に努めてきているJAは、まさにこの問題に深くかかわり、方向を誤らないよう、詰めた議論をしっかり行おうではありませんか。頑張りましょう。