世界はどこへ向かうのか | 山田としお オフィシャルブログ Powered by Ameba

世界はどこへ向かうのか

 その一方で、どうしてこういう事態になるのか。国連や、IMFや、WTO等々の長い歴史の中で作り上げてきた各機関は機能できているのか、存在が問われます。世界各地で抗議のデモ等が報道されていますが、各国は、そして各機関は、息をひそめて見回している状態です。

 ところで、こうした米国の変化はどうして起こったのか、突然のことではないのかもしれません。それは、リーマンショックを経ての米国の経済・社会の変化がもたらしたものでないのかとする報道が、現地の取材も踏まえた形で行われています。すなわち、かつての米国の繁栄を築いていた鉄鋼や自動車等の企業がことごとく衰退し、雇用を失った白人労働者が今、街々にあふれ、それらの人々の主張が、トランプ大統領を誕生させたというものです。職を奪ったのは、移民であり、隣国の賃金の安いメキシコや、為替操作を行っている中国等からの輸入拡大だ、という怒りです。

 もう一つは、正月3日の夜のNHKBS番組の「欲望の資本主義」「富の配分の在り方が今変わる」が報じる、資本主義が本来持っている本質にかかわる指摘です。ノーベル経済学賞を受賞している当代一流の学者や哲学者が分析し語っていましたが、アダムスミス以降、ケインズを経て、今の資本主義の発展がもたらした貧富の拡大を原因として挙げています。すなわち、世界の上位36人の富裕者の資産と地球上の30億人の所得が同一だという驚くべき実態を生み、そして今の資本主義はそれを解決できないというものです。

 

 

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