「欲望の資本主義」がもたらしている世界の国々の混乱 | 山田としお オフィシャルブログ Powered by Ameba

「欲望の資本主義」がもたらしている世界の国々の混乱

 4日からのJAグループの仕事始めに備えるべく、3日の夜遅くに故郷から上京しましたが、ちょうどNHKBSで「欲望の資本主義2017」(富のルールが今変わる)を放映していました。約2時間、引きずり込まれ、食い入るように見ました。
 現下のグローバリゼーションに触れ、米国のトランプ次期大統領のTPPからの離脱宣言やイギリスのEUからの離脱、そして中国・ロシア・ヨーロッパそして日本の経済状況について、資本主義経済を論理化したケインズに遡り、ノーベル経済学賞を受賞した米国のスティグリッツ教授、フランスの思想家でもあるエマニュエル・トッド氏を中心に、当代の学者や実業家や金融担当者を登場させ、資本主義の将来の行方を披歴させていました。
 要は、成長戦略、市場原理主義、新自由主義の論理や経済財政運営は、リーマンショック以降の経済停滞の解決につながっていない、むしろ、米国に保護主義を掲げたトランプ候補を当選させ、米国のプアホワイトと言われる製造業労働者の所得減や失業を生んでいる、米国もそうだが、ヨーロッパでも、そして日本でも国民の所得階層の二極化が生じている、というものであります。驚きですが、「世界の65人の最も裕福な資産家の資産合計と、世界の30億人の資産総額とが均衡している」というものでありました。
 日本でも、年収が200万円以下の階層は全給与所得者の24%を占め、年々その割合は増加しているし、一方で1,000万円以上の階層は4%と、年々増えている。また、預貯金の無い世帯は31%に増加し、一方で株や預貯金など金融資産を持つ世帯の平均保有額は1,819万円へと増えているといいます。世界各国に比べて均一性の高い我が国でも貧困化と富裕化へと二分化しています。 
 この現象の具体化が、イギリスのEU離脱、米国のトランプ大統領を生んだ背景、ヨーロッパ各国の移民・難民問題や民族主義勢力の台頭、強まる中国の覇権主義、ロシアの経済問題と国境問題、韓国の経済低迷と政治の混迷、中東の民族・宗教問題と争乱等々であります

 

 こうした指摘や心配が、わが国日本でも生じています。
 すなわち、ここ3年余にわたる、アベノミクスの「成長戦略」の象徴として、「既得権益にしがみつき成長が遅れている」農業と農協が攻撃の対象にされていることです。官邸が市場原理を標榜する委員を選び、役人の人事も行う中で、規制改革推進会議が、かくも攻撃的な農協批判や全農批判、農協の信用事業分離等を打ち出した背景は、まさに世界各国の資本主義が競争して成長戦略を目指さなければ立っておれない「もがき」の中で生じてきていることだと考えればよく理解できます。

 

 

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