納得できない、朝日新聞のコラム欄 | 山田としお オフィシャルブログ Powered by Ameba

納得できない、朝日新聞のコラム欄

 8月26日の朝日新聞の「経済気象台」のコラム欄は、「農業はだれのものか」と題して、「毎年膨大な補助金を支給し、高い関税の壁を設け、価格を維持し、国内農業をひたすら保護してきた。その半面、国民全体の便益を高めるためという視点を欠落させてきた」とし、農業改革とTPP推進に反対するJAグループを攻撃しています。そして、「TPPに早急に参加し、日本農業の大胆な構造改革により、既得権益を打破すべきであり、農業は農家のためでなく国民のための視点が不可欠である」といいます。私は、この記事への怒りで、怒髪天を衝く思いでした。


 全くもって、逆転した発想です。戦中戦後の食料危機に際し、コメ等が強制供出された事例を持ち出すまでもなく、農業への補助は、農業生産の回復と国民食料の確保が目的であり、まさに国民のための措置でした。他国に比べ、国土に制約され、雨の多い気象に左右されるわが国の農業生産の実態を踏まえて、農地の基盤整備や作物の振興策が講じられてきているのです。朝日のコラム欄で掲げる、企業の参入促進や農協改革で、我が国の農業の諸制約が一朝一夕に解決するものではありません。企業が参入しても、誰が作業するのでしょうか、誰が働くのでしょうか。農業者ではないのでしょうか、そうでなくて、外国人労働者を使うというのでしょうか。小さなコラムであっても、朝日新聞はどうなっているのでしょうか。


【友人の貴重な提言】


 ところで、私の友人は、JAグループとJA全中のことをどの程度知っているのか不明ですが、中央会廃止論は間違いであることを主張していました。彼は、JA攻撃はTPP問題とも関連があると気づいており、そのうえで、中央組織は、今後TPPが合意した場合の影響緩和政策の検討や、地方への政策浸透の上でも不可欠だといいます。こうした中央組織を失った場合、5~6年後には新しい中央組織が必ず必要になるということでした。


 短兵急な判断は、大きな禍根を残すということです。