再びJA改革について | 山田としお オフィシャルブログ Powered by Ameba

再びJA改革について

【台風被害と米価低落が心配】


 暑い夏です。しかし、台風で各地に被害が出ています。特に天候と大地に依存する農業は、大きな被害を受けています。そうした事態にも耐えて、農業者や関係者は、くじけずに励んでいます。


 加えて、今年の米は豊作となる見通しで、米農家にとっては重ねての心配があります。昨年までは、民主党の米価変動補てん交付金により、米価が低落しても、生産調整に取り組んだ農家には、米価が下がった分の補てんがありました。もっとも、政権交代後の初年度だった22年産米価は大きく下落し、補てん金額は1,500億円にも及びました。ものすごく大きな金額です。業者間で「どうせ国が補てんしてくれるのだろう、引き取ってあげるから価格を下げていいじゃないか」ということが一部にあったのは事実だと思います。それが商売というものなのでしょう。


 もっとも、平成23年3月11日の東日本大震災、そして原発事故で、23年産米は作付できなかった地域が生じ、また、放射性物質の基準値を超えた米の出荷制限等により、需給が引き締まり、米価は上昇し、下落の補てんは1年だけで済みました。こうしたことがなければ、補てんが続き、到底この仕組みは2年も3年も維持できなかったと思います。


 政権復帰した自民党は、この米価変動補てん交付金を廃止しました。また10アール当たり1万5千円の定額支払いの仕組みも7,500円に半減させました。そのかわり多面的機能支払交付金として農地維持支払を新たに作り、これまでの農地・水・保全管理支払相当分を増額するなど、恒常的な制度として法定化しましたが、米価下落補てんの金額には到底及びません。そして今、自民党は、米価下落という事態に直面しています。皮肉なことです。


 民主党はよかったですね。米価変動補てん交付金でよい評判だけを残しているからです。しかし、こうした仕組みを、政権が代わったからとはいえ、また当時の小沢一郎幹事長の腕力があったからとはいえ、よくも農水省の役人も、財務省の役人も認めたのでしょうか。もっとも、この財源は、小沢幹事長による土地改良予算の3分の1への削減や、農業共済の事務費負担金の大幅削減、強い農業づくり交付金の削減で賄われ、農林水産予算の総額は、全体で減額しているのです。土地改良の政治団体は予定していた参議院選挙の候補を降ろし、予算が大きく減ったことで全国各地のため池の漏水も放置せざるを得ず、カントリーエレベーター等の老朽化が進んでも新設できないでいました。これが「政治」なのでしょうか。


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