TPP日米事前協議合意の大きな懸念 | 山田としお オフィシャルブログ Powered by Ameba

TPP日米事前協議合意の大きな懸念

 TPP交渉に関する米国との事前協議が合意しました。その内容たるや、自動車については、一方的に妥協してしまっています。わが国の自働車が、圧倒的に競争力があり、対米貿易黒字の5割を占めるという状況においては、日本側は米国に対して強く出られなかったということでしょう。しかし、日米共同声明で、「日本には一定の農産品について、米国には一定の工業製品についてセンシティビティがあり、両国はこれを認識する」とし、この文言で、「オバマ大統領に聖域なき関税撤廃を前提にしないことを約束させることができた」「政権公約に違反しないことを明らかにできた」「TPP交渉参加の判断を私に任せてほしい」と、総理が高揚して記者会見を行ったことの結果が、このことなのか、大きな懸念を抱かざるをえません。


 今回の事前協議の合意の中でも、日米双方が改めて、日本は農産品について、米国は工業品についてセンシティビティがあることを再確認してはいますが、米国の弱点である自動車について日本側がかくも一方的に譲歩してしまったのでは、本交渉において、果たして日本側の「守り抜くべき国益」が実現できるのか疑問です。まさに、共同声明の要である米国側の自動車のセンシティビティが取引材料にならないからです。本交渉に入ってから、米国の徹底した、一方的な要求に攻められるだけではないのか。


 ましてや、非関税措置について、今回改めて、保険、知的財産権、政府調達、透明性・貿易円滑化、投資、規格・基準、衛生植物検疫などについて両国で継続協議し、協定や法改正などで具体的な成果を出すことも約束させられました。これらの内容や情報は全く明らかにされていませんが、これらが日本の国柄を壊しかねないこととして、大きな問題になることが懸念されるのです。


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