TPP問題で政策の間違いを繰り返してはならない | 山田としお オフィシャルブログ Powered by Ameba

TPP問題で政策の間違いを繰り返してはならない

 私が今思い出すのは、15年前の平成9年のJA全中常務時代に、農業団体を代表して、経済産業省の産業構造審議会の委員をしていた時のことです。その時、米国からの強い要請もあって、「大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律(いわゆる大店法)」の廃止と、それに代わる大店立地法等の「まちづくり3法」の議論が行われていました。結局、これらの論議を受けて、平成12年に、これまでの大規模店舗の設置に際して商工業者等との商業調整を義務付けていた大店法が廃止され、同時にまちづくり3法により、中心市街地を活性化する一方で、交通渋滞の解消等から自治体の判断で都市計画のゾーニングを見直して、土地利用規制を緩和し、大規模店舗の郊外等への設置が大々的に行われることとなりました。


 当時、審議会では商工関係者は大反対、消費者団体の代表や私も商業調整の廃止を反対したにもかかわらず、学者やマスコミ関係者や官僚OB等は賛成し、中心市街地の活性化と引き換えに方向が決まりました。


 しかし、心配したとおり、法改正後、全国各地の水田や畑の真ん中に大規模スーパーマーケットが出現したのでした。そして、中心市街地は道路も拡幅され、見違えるようにきれいにもなりましたが、シャッター街になってしまいました。この反省の上に、まちづくり3法は平成18年に改正され、中心市街地の活性化策の強化や、超大規模施設の設置制限等がなされましたが、現状は変わらないし、逆にこの郊外の大規模店舗が閉鎖され、他に移転されるという混乱を巻き起こす事態ともなっています。


 このことは、また、国道等の道路際の無制限な農地の転用による店舗設置と、今目立つ、くしの歯が抜けたような店舗の閉鎖や空き地化につながっています。


 政策を間違ったため、地域をそして商店街を壊してしまったのです。郊外立地したため、農地が一時的に高騰し、農業者の農業への意識も変えたし、美しい田園の風景も壊してしまいました。まさに、当時、マスコミや学者が、時代の変化だと言って、大店法の廃止を煽りました。時代の変化と言えばそれまでですが、現在のこの事態をしっかり見通して政策が打てていたのかどうか、大きな疑問があります。


 私が懸念するのは、かつてのこの構図が、今のTPPにそっくりだということです。政策は間違ってはいけないのです。取り返しが効かないからです。


 新しい総裁が誕生しました。近いうちに総選挙もおこなわれるでしょう。その結果によっては、与党になります。政策を間違ってはいけないのです。


 TPP参加は、国の将来を誤りかねません。きちんと戦略を練り、アジアを中心とする連携の強化を基本に、日本が中心になって、アジアの実態や思いや論理を米国に主張し、形と内容が悪いTPPを変えさせることが必要なのです。もちろんそれが出来ないのであれば、決してTPPを受け入れない取り組みを行うべきなのです。


 頑張ります。