【政局に翻弄された水田農業政策】 -力強い日本農業をつくるために-1/3 | 山田としお オフィシャルブログ Powered by Ameba

【政局に翻弄された水田農業政策】 -力強い日本農業をつくるために-1/3

 わが国農業の根幹である水田農業のあり方をどう描くのか、またまた難しくなっています。5年前の参議院選挙当時、与党だった自民党は、個別経営の認定農業者で4ha(北海道は10ha)、集落営農組織で20ha以上と対象農家を絞り込んだ品目横断的経営所得安定対策を実施に移していました。


 これに対して、民主党は、対象農家に差を設けず、全ての販売農家を対象に戸別所得補償を行うとする公約を掲げ、農村部の一人区で大勝しました。そして民主党は参議院で多数を得て、小泉郵政選挙で自民党が大勝していた衆議院との間でねじれを生んでしまいました。


 その後、参議院での民主党の問責決議により福田総理は辞任に追い込まれ、その後を継いだ麻生総理は、米国のサブプライムローンとリーマンショックによる世界的な金融危機に対処するために、解散時期を失い、4年間の任期切れ解散となってしまいました。その結果たるや、自民党は惨敗し、北海道、東北、関東、北陸の新潟等でことごとく議席を失いました。民主党は名実ともに政権を奪取しました。


 この選挙で、自民党は、規模や年齢や兼業にかかわらず、地域の実態に応じて、市町村長が担い手として認定した農家を経営所得安定対策の対象にしましたが、民主党の、全ての農家を対象に、品目もコメに限らず野菜も果樹も畜産も戸別所得補償の対象にするとした水ぶくれの政権公約に対抗できず敗れてしまいました。もっとも農業だけでなく、子ども手当や高速道路の無料化等の政権公約も掲げており、政権奪取後に実施に移しましたが財源の手当てや内容に問題が噴出し、コメの戸別所得補償を除いて、3年後の今になって見直しと廃止の公約違反になっています。


 民主党の政権奪取1年後の参議院選挙では、鳩山総理の普天間問題での失敗等が影響し、民主党は多数をとったものの過半数を維持できず、圧倒的多数を占める衆議院との間でねじれを生んでしまいました。その後、閣僚の問責決議も相次ぎ、鳩山政権は退陣し、菅総理、野田総理と今に至っています。