しっかりしろ自民党 | 田母神俊雄オフィシャルブログ「志は高く、熱く燃える」Powered by Ameba

しっかりしろ自民党

我が国は、アメリカとの戦争に敗れ占領下において占領憲法、すなわち現日本国憲法を強制された。国際法では、占領国が非占領国に対し、憲法のような恒久法を強制してはいけないことになっている。日本国憲法制定当時、心ある日本国民は憲法が占領軍によって強制されたことに対して、涙を流して悔しがったという。また、我が国は、1952年4月28日アメリカの占領支配から脱し独立国となったが、独立当時は、自分の国を自分で守る能力も不十分でアメリカに守ってもらうことが必要であった。そこで、これから日本を立て直さなければならないという思いで1955年保守合同によって自由民主党が誕生することになった。自由民主党は、1955年の立党時に、保守の政党として自主憲法の制定と日本国の完全独立を目指していた。占領憲法を廃止し、日本国民の手で自前の憲法を作る、また日本は独立したとはいえ、自分の国を自分で守れない半人前の独立国家であるから、自分の国を自分で守れる完全なる独立国家にしなければならないと考えていた。立党時の自由民主党綱領にもそれは明確に書き込まれたのである。


しかし、戦後の驚異的な経済発展の陰で、次第にこれら二つのことは忘れられていった。これだけ国が豊かになっているのだから憲法もそのままでいいし、アメリカに守ってもらうのも悪いことではないと考えるようになっていった。それは、戦後の我が国の経済発展は、米ソの冷戦構造により、我が国がアメリカ側に属しているだけで国の安全が保障されるという、我が国にとっては大変恵まれた環境があったからなのである。アメリカは、ソ連を封じ込めるために地政学的に日本を必要としていたのである。


そして、遂に自民党議員の大半は憲法改正も国家の完全独立も忘れてしまった。自民党は五十五年体制化で、左の社会党の攻撃を受けると、少し左によって問題を解決するというやり方を繰り返すようになった。社会党に妥協して国家観や歴史観が崩れても、経済発展のためには目の前で政治問題を起こさないことが大切だと考えるようになった。



旧社会党などは、まるで中国の政党ではないかと思われるような国家観、歴史観を持つ政党である。日本国を貶めることが使命であると考えているかのようである。これに対し、妥協を繰り返していては我が国が傾いてしまう。本来、国家観とか歴史観は決して他国に譲ってはいけないものである。それぞれの国に正義があるのだから、我が国の国家観、歴史観は中国や韓国と違っていて当然である。これを譲り始めると、やがて国を守ることが困難になる。だから、国会議員になるものは国家観、歴史観がしっかりし我が国に対する揺るぎない自信を持っていなければならない。いま中国などが、「日本が侵略国家だ!」「日本軍は残虐であった!」などと嘘、捏造を言ってくるのは情報戦争が仕掛けられているのである。我が国の国会議員のどれほどが、これを情報戦争だと認識しているだろうか。国家観、歴史観の情報戦争に負ければ、外交交渉で譲歩を強いられ、日本国民が生み出した富を奪われてしまう。


この情報戦争を戦うという認識が、歴代自民党政権にはなかった。改革改革とか言うのも日本的な経済、金融、雇用などのシステムが時代遅れのシステムだという情報戦争が仕掛けられているのだ。いま、我が国の政治は情報戦争に敗北して、猛烈な勢いで我が国のぶち壊しに奔走しているのである。我が国の政治家は改革症候群という病を患っているようだ。

バブル崩壊後の20年間で、世界のGDPは2倍になっているという。アメリカや中国など多くの国では、GDPが伸びている。我が国だけが伸びていないのだ。1980年代にジャパン・アズ・ナンバーワンと言われた世界最強、安心システムが壊され続けている。その結果、我が国は従来年功序列、終身雇用などによってまじめにやってさえいれば食えないことはないという安心感に覆われていたが、いつリストラされるかもわからないという不安心社会になってしまった。我が国は一体いい国に向かっているのだろうか。


我が国の政治家は、もっと我が国の歴史、伝統、文化などについて自信を持たなければならない。それが政治家の強さを作る。国益を踏まえた発言が出来るようになる。いま野党に転落した自民党は、かつての野党であった民主党と同じようなことばかり言っている。これでは政権への復帰は遠のくばかりである。国民の保守層はいっぱいいる。自民党は立党時の精神に立ち返れば政権に復帰できる可能性があると思う。しっかりしてもらいたいものだ。