真正保守の政党の誕生を期待する | 田母神俊雄オフィシャルブログ「志は高く、熱く燃える」Powered by Ameba

真正保守の政党の誕生を期待する

日本の政治の迷走が続いている。これを案じている人たちが新党を立ち上げる動きを活発化させ


たちあがれ日本

日本創新党

・新党改革改革クラブ


が立ち上がった。7月の参議院議員選挙を前にこれらの政党が今後どのような動きを展開するのか現段階では良く分からないが、日本再生のために是非とも頑張って欲しいものだと思う。

戦後いわゆる55年体制下で自由民主党は、自主憲法の制定と我が国の完全独立を目指していた。しかし、いつの頃からか自民党はこれを忘れ去り、政権の維持を第一の目標とすることになっていった。政権を維持するためには、自主憲法の制定も我が国の独立もあまり重視されないことになった。日本国民も経済がどんどん良くなっているのだから、自主憲法も完全独立もそんなに頑張ることはないではないかと思うようになった。しかし、戦後の我が国の経済発展のかげには、東西の冷戦構造という我が国にとっては極めて恵まれた国際情勢があったのである。


国を守るためには大きく分けて二つの方法がある。一つは、自ら十分な防衛力を整備して周辺諸国との軍事バランスを取ることである。これには一般的に大きな軍事支出を必要とする。二つ目は大きな覇権国に寄り付いて、より少ない軍事支出で安全を保障するやり方である。戦後の我が国は米ソの冷戦が続く中で、アメリカ側にいるだけで安全が保障されてきた。冷戦構造の中でアメリカは、ソ連を封じ込めるために、地政学的に日本を必要としていたのである。従って、我が国はアメリカ陣営の中で、軍事費に大きな支出をすることもなく国民生活の向上に最大限の努力を集中することが出来た。そして、アメリカもこれを許容してきた。おかげで我が国は、目覚しい経済発展を遂げ、国民は豊かな生活を享受できるようになったが、一方では国を守ることを忘れてしまった。その弊害が、いま我が国を苦しめている。国を守ることを忘れた我が国の政治が迷走を始めている。


自民党には、期待できないとして昨年の衆議院の選挙で日本国民は民主党に政権を預けてみたが、あれから半年以上たって、民主党はもっとだめで日本ブチ壊しに精魂を傾けていることが日本国民の前に明らかになった。



戦後、約20年前の冷戦崩壊までは我が国の経済は高度成長を続けてきた。このため国家予算も次第に大きくなり、防衛費も予算の論理で伸びてきた。自衛隊の戦力もGNP1%以内という制約にもかかわらず、ずっと強化され続けてきたのである。20年前の海上自衛隊や航空自衛隊の戦力は、中国海軍、空軍の戦力など圧倒していたのである。しかし冷戦崩壊、バブル崩壊以降経済が低迷を始めると防衛費は縮小傾向となり自衛隊の戦力は逐次低下している。航空自衛隊は13個あった戦闘機飛行隊が12個に減っているし、1個飛行隊当りの戦闘機の定数も減ってきている。一方で中国は20年以上連続で2桁以上の軍拡を続けている。20年前は歯牙にもかけていなかった中国海軍、空軍に今は戦力的に圧倒される事態になっている。中国に軍事的に圧倒される事態になると我が国周辺ではいろいろな不安定事態が生ずる。先般の沖ノ鳥島周辺の中国海軍の示威行動などはその典型である。我が国の国を守る意思もチェックされている。

もうこれからは、大国間で戦争が起きる可能性は低いと思う。しかし、軍事力が弱いと外交交渉で負けてしまう。軍事力は戦争をするためではなく、きちんとした外交交渉をするために、国益を守るために必要なのである。戦争をしないために軍事力が必要なのである。相手国に、軍事力で蹂躙されない軍事力があって初めてきちんと我が国の国益を主張できる。自分の国を自分で守れないと、相手の顔色ばかり窺っていつも右往左往するだけである。だから自分の国を自分で守ることが出来る「国家の独立」が政治の第一の目標なのである。


次に政治は国民を自立させるべきである。政治が一人ひとりの国民の生活を守ることは出来ない。国民が自分の生活が出来ないのは政治のせいだとか、誰かのせいだとか責任を他に転嫁するようになれば、そんな国は必ず崩壊する。私の親の世代までの日本国民には自立心があり道徳観も高かった。しかし戦後教育でそれが壊されてきた。いま私たちは古き良き日本を取り戻さなければならない。我が国は、アメリカの日本占領政策により実行された日本弱体化の方向性から抜け出ていない。これは戦争の延長上で実施されたもので現在の私たちがいつまでもこれに縛られていてはいけない。



我が国は古い歴史と優れた伝統を持つすばらしい国なのだ。

いまこそ日本国民に自身と誇りを持たせてくれる真正保守の政党の誕生を期待したい。