統合幕僚学校卒業式への出席拒否 | 田母神俊雄オフィシャルブログ「志は高く、熱く燃える」Powered by Ameba

統合幕僚学校卒業式への出席拒否

東京・目黒に統合幕僚学校 という、自衛隊高級幹部の教育を行う学校がある。


自衛隊幹部は、大学などを卒業して幹部候補生として入隊すると、20代前半で1年間の幹部候補生教育を受ける。その後、部隊等の勤務を経て30代の前半で選抜試験により、約4分の1の幹部は再度1年間(陸上自衛隊では2年間)の教育を受ける。指揮幕僚課程と呼ばれているが、これは昔の陸軍大学、海軍大学に相当する課程である。さらに40代前半で選抜により自衛隊最後の1年間の教育が実施される。


20代前半、30代前半、40代前半で3回の教育を行う、このような軍人教育はグローバルスタンダードになっている。この自衛隊最後の教育を行う学校が統合幕僚学校であり、国家安全保障全般について教育される。講師も自衛官のほか、与党、野党の政治家、官僚、財界人、大学教授など多彩に亘っている。私は平成14年から約2年間統合幕僚学校長の職にあったが、このときカリキュラムの中に「国家観・歴史観」という3時間の5コマほどの歴史教育を入れた。自衛隊幹部が、自虐史観に染まることを防止したいという思いがあった。しかし、私の更迭騒動で今は国家観・歴史観の講座はなくなってしまったと聞いている。




さて、この統合幕僚学校で来る3月5日に卒業式が行われる。歴代統幕学校長は、卒業式に招待されるので私も慣例により招待され、出席の返答をしておいた。ところがである。先週になって、統幕学校から出席を見合わせて欲しいという連絡が来た。私は、統幕学校に対し理由を説明してくれと要求した。すると統幕学校に対し、防衛省から連絡があり、


「田母神が出席するのであれば、防衛省関係者は一切卒業式に出席しない」


と言ってきたということである。


それは、誰が言っているのかと、私が更に質問をすると「それは言えない」という、統幕学校の回答であった。私は驚いてしまった。防衛省関係者が卒業式に出席しないのでは、統幕学校も困ってしまうだろう。しかし、自由民主主義国家にあるまじきこのような行為が許されていいのだろうか。これは、私の発言を封じようとする言論弾圧であるし、人権弾圧みたいな嫌がらせである。


数ヶ月前に、自衛隊出身で自民党の佐藤正久参議院議員が、陸自のある駐屯地の開庁記念祭で居並ぶ国会議員の中ではただ一人紹介してもらえなかったという話もある。佐藤議員が、北沢大臣のことをブログなどで批判していることと関係があるようだ。しかし、自民党政権の時代には、批判する者をこれほど差別的に扱うことはなかった。そのうち、「招待するな」という指示が出るかもしれない。自衛隊を私物化しないでいただきたい。



それから私は、いろいろなチャンネルを使って、防衛省内の様子を探ってみた。どうも、北沢防衛大臣などがこの陰湿な嫌がらせをやっているようだ。もちろん、そのお膳立ては、内局という背広組の組織がやっている。統幕学校卒業式の招待者などは、通常は大臣が関知することではなく、統幕学校長に任されている事であるから、誰かが大臣に御忠心申し上げなければ、大臣がそんなことに気がつくこともなかろう。しかし、こんなことまで大臣にお伺いを立てなければならないとなれば、さぞかし後輩たちは大変であろう。それも言えずに息を潜めている後輩たちが本当に気の毒である。


組織の中では、上司に気を遣う量と仕事そのものに頑張る量の合計はいつも一定である。TOTAL SUM IS CONSTANTである。いま、自衛隊の幹部諸君は、大臣に気を遣うことで能力を使い果たしてしまうであろう。北沢大臣は、自衛隊を弱体化させているだけで、日本国よりは中国などの諸外国に貢献しているとしか言いようがない。


私が卒業式への出席を見合わせ、何も行動しなければ、後輩の統幕学校長などに迷惑がかかることもないだろう。本事案を公表するかどうか、私も悩んだが、批判を覚悟で公表することにした。このような陰湿ないじめにただ黙っているだけでは、やがて日本は中国みたいな国になってしまう。防衛大臣という権力者が、その言動について批判されるのは自由民主主義国家においては当然のことである。「批判する者は、絶対に許さない」という考えはやがて独裁国家への道を開くことになる。どうも北沢さんという人は、狭量な考えの持ち主であるようだ。彼のもとでは、国家や国民のために頑張ろうという人はいなくなってしまうであろう。先日の中澤連隊長の挨拶も米軍からは絶賛されてと聞いている。それが、大臣のご機嫌ひとつで更迭される。連隊長の「国家、国民のために」という高い志は封印されてしまった。処分するなら大臣に御忠心するだけでサボっている者を処分してもらいたい。



しかし、幸いにも防衛省には長島政務官という立派な人がいる。長島政務官には国家国民のために、自衛隊の精強化のためにぜひ頑張ってもらいたいと思う。