7月12日午前3時50分頃、松山城がある城山の北東側斜面が幅約50メートル、高さ約100メートルにわたって崩れ、木造住宅1棟が巻き込まれて倒壊した。住人とみられる90歳代男性と80歳代女性、40歳代男性の3人が行方不明になり、翌日見つかったが、死亡が確認さた。松山市では、12日朝までの2日間で、平年の7月の1か月分に相当する213ミリの雨量を観測した。復旧工事の遅れがこの惨事を招いたと思う。松山城は国の史跡内にあるので文化庁の許可が必要で、許可が出たのは今年5月になってから。修復工事の準備で6月に山肌の樹木の一部を伐採した後、今月から工事を始め、擁壁の約3分の2を撤去した。9日夕に土砂の流出を防ぐためにブルーシートをかけていた。まるでお役所仕事を絵に描いたような行政の怠慢では無いか。
 このニュースを知るにつけ、「またか」との思いがよみがえった。何年か前の西予市野村町や大洲市での豪雨災害を思い起こしました。この時は、野村ダムの放流が被害に拍車をかけた。今回の松山城もそうだ。修復工事の遅れが災いしたとしか思えないからだ。「自然災害は突然にやってくるから防ぎようが無い」では済まされない。全力を挙げて復旧にとりかかる必死さが欠如しているとしか思えない。
 だから、波方地域の環境を守る会が住民運動を続けている「西浦地区建設残土処理施設建設反対」は、今回の松山城土砂崩落の事故からも妥当性がある。いかに災害が少ないと言われるこの今治地域であっても、絶対ということはないのだ。しかも、大規模な処理施設を民間の小規模業者に任せるなんてとんでもない。愛媛県は即刻計画中断を決意し、計画申請の撤回を表明してもらいたい。天下の名城松山城でさえ自然災害からは守れないのだ。