小言が消えたら気の用心“”

自分では何の努力もサポートもした覚えがないのに、「最近アイツ小言を言わなくなったなぁ。育児にもだいぶ慣れてきたのかなぁ」なんて思っているパパがいたら要注意! お宅のママ、“小言を言わなくなった”のではなくて、“小言を言う気力すらなくなってしまった”のかもしれません! ストレスが軽度なうちは、人は愚痴や文句という形でSOSを発することができます。しかし、それを放っておくと、言葉でのSOSを発しなくなります。そうなると、姿勢、しぐさ、表情などを読み取るしかありません。

 

見逃しがちなハイテンション

 まず、姿勢をチェック。心に不安のある人は肩が前に入り込み、胸を閉じるような姿勢になりがちです。次に、しぐさや動きのテンポ。無気力でふさぎ込んでいたり、落ち着きがなくイライラしていたりするようなら、まだ気づきやすいでしょう。見落としがちなのが「やけにハイテンション」という状態です。一見元気そうに見えるのですが、実際は心の中にたまった不安を打ち消すために虚勢を張っているのかもしれません。そして、口癖。心の中が否定的だと、否定的な言葉を使いがちになります。「そうじゃなくて…」「でも…」を連発されると、こちらもムキになってケンカに発展することにもなりがちですが、そこはガマンです。最後に表情。喜怒哀楽の感情が表に出ているならまだ安心。何をしているときにも無表情でたんたんとしているようなら要注意。さらにつらくなると、意に反して笑みを浮かべてしまうことがあります。これを心理学用語で「反動形成」といいます。こうなってしまうとちょっとヤバイ状態です。

 

アドバイス不要。聞き役に徹する

 さあ、思い当たることはありませんでしたか? いずれのSOSに気づいたときも、基本はママの話を“上手に”聞いてあげることが大切です。“上手に”話を聞く上で大切なことは、まずアドバイスをしないこと。心がいっぱいいっぱいになっているときには、いかなる正論もプレッシャーになってしまうからです。そして、「要するに…」「結論は何?」などと話を急いでもいけません。話が前後しても、脈絡がなくても、好きなように話すことで、心は落ち着きを取り戻します。そのかわりに、相手の話のペースに合わせ、たくさんうなずき、相づちを打ちましょう。多少「それは違うでしょ…」と思うことも、この際「うん、うん」とうなずいていればいいのです。そして、話が途切れたら「なるほど、○○○と考えているんだね」「○○○と感じているんだね」とママの言葉をそのままオウム返ししてあげましょう。そうすることで、「しっかり聞いてもらえた」と感じることができます。

 

愚痴や小言も元気な証し!

 ママが何も意思表示しなくなったらそれがいちばんの危険信号。愚痴や弱音や小言を言ってくれたり、八つ当たりしてくれたりするうちは、「元気にやっててくれてありがとう」と感謝してしまうのができるパパのスタンスです。というわけで、私は毎日感謝しっぱなしです(笑)。


※「赤ちゃんとママ」2010年3月号に掲載したコラムです。