新学期、新入学おめでとうございます。
でも実は、幼稚園生活になじめるかなとか、小学校では結構いろんなことがあるんだよな、なんて先のことを心配してつい力が入ってしまうのは親のほう。
要するに、自分の経験を思い出すんですよね。楽しいことばっかり思い出す親御さんもいれば、いろいろ苦労したことばかり思い出してしまう親御さんもいて、苦労したことばかり思い出してしまう親御さんだと、「大丈夫かしら?」って心配が強くなってしまったりするわけです。
心配で、子どもじゃなくて親の肩のほうに力が入っちゃったりということがあるんじゃないかと思います。
でも親の肩に力が入っていると、子どもってそれを敏感に感じとって、子どもまで不安になってしまったりするんですよね。
「わくわくするね。楽しんでね」なんて言って顔では笑っていながら、内心は「忘れ物はないかしら? 校長先生の長いお話をお行儀良く聞いていられるかしら? お友だちと仲良くできるかしら?」という不安が強いと、それが毛穴から漏れ出てしまうんです。
まあ、内心を操るっていうのは難しいんですけれど、自分の幼稚園時代の思い出や小学校時代の思い出のなかでもできるだけ楽しいことばっかりを思い出すように心がけていると、毛穴から漏れ出すにおいも、楽しいものになるんじゃないかと思います。

ただし実際には、子どもたちはしばらく、新しい環境に驚き、喜び、戸惑って……という毎日をすごすことになります。
本人は気づかなくても、精神的な負担は大きいはずです。
だからこそ、家に帰ってきたらぼーっとする時間が絶対に必要です。
今年の2月に出た『中学へ旅立つ君へ』という新中学生向けの本の中でもぼーっとする時間の大切さをたくさん書いているのですが、ぼーっとする時間に、人間は自分でも気付かないうちに心と頭を整理しているんですね。
だから、「早く宿題しなさい」「明日の準備は?」と急かして、この大切な余白の時間を奪わないでください。
人間は言語化することで頭と心を整理することもありますから、どんなささいなことでも、子どもが何かを語り出したら、「うんうん」と相槌を打ちながら、目を見て話を聞いてあげてください。
「今日、こんなことがあって、驚いたんだよ」なんて話をしてくれたら、「今日、そんなことがあって、驚いたんだね」と、オウム返しをしてあげるとなお効果的です。
いちいち評価とか反論とかしないでいいんです。
そうすると、子どもは、自分の感情をしっかりわかってもらえたと感じて、安心します。
安心すると、心のエネルギーがチャージされて、喜びや驚きや戸惑いの日々にちゃんと対応できる状態を保てます。

慣れない環境では失敗もあるでしょう。でも学校は失敗するところです。
子どもがもし落ち込んでいるような場合でも、無理に励ましたりしないで、「がっかりしたんだね」と、子どもの気持ちをそのまま受け止めてあげてください。
そういうときこそ、口先だけの言葉じゃなくて、ゼリーとかアイスクリームとか、子どもの好きな物をいっしょに食べて、楽しい時間を過ごしてください。
そのほうがよっぽど励ましになりますから。
外の世界で何があっても、おうちに帰ってくれば大丈夫という安心感があれば、外の世界でも失敗を怖れずに挑戦がしやすくなります。
学校に行くようになり、子どもの世界が広がれば、いろんなひとたちが子どもを育ててくれるようになります。おうちは子どもにとって安心できる港であればいい。
そんな気持ちで、親御さんこそ肩の力を抜いて、新しい学年を迎えてほしいと思います。

※2026年4月2日のFMラジオJFN系列「OH! HAPPY MORNING」でお話しした内容です。