ごきげんよう、わかめです。


 飽きないうちにやれるだけやっときます。


 今回は、個性的なオカマや可愛いヒロインが大活躍、しんのすけと瓜二つの王子が鍵になる超王道展開の1994年「ブリブリ王国の秘宝」です。監督は本郷みつる氏。


 最初の丸い絵に程よく角が付いて、とても絵が可愛い。矢島さんの演技は前回よりは聞き馴染みのあるものに近付いているといった感じだ。そんなこの映画のブログを書いていこうと思う。それでは、あレッツラゴー飛び出すハート


 物語の始まり、ブリブリ王国の王宮が映し出され、謎の男、オカマたちに王子が誘拐されてしまう。一方春日部では、みさえと商店街で買い物をしていたしんのすけが福引で、ブリブリ王国6泊5日の旅行券を手に入れる。小さな飛行機でブリブリ王国へ旅立つ野原家だったが……。


 というあらすじだ。


 それでは好きなところをつらつらと述べていこう。


ひろしとみさえ

 なんといっても、途中ひろしとみさえの喧嘩やイチャイチャの描写が多い。私はやはり、飛行機から不時着した野原家の雰囲気が悪くなりかけたときに唐突に始まるミュージカルがたまらなく好きだ。あのシーンのために見ていると言っても過言ではない。歌詞を無理やり音楽に詰め込んでいる感、ダンスの観客を意識している感でわかる芸の細かさが特に気に入っている。作詞は後の劇しん監督の1人、原恵一氏らしい。なぜあそこにミュージカルが挿入されたかは分からないが。そういう意味分からないところで歌い始めるシュールさが良いよね。


 ここでひろしとみさえの2人の感情の動きをまとめてみた。


しんのすけが旅行券を当てて大はしゃぎ。キス魔になるみさえ

飛行機でみさえがパーサーに色目を使い、ひろしが拗ねる

ミュージカル

しんのすけ「父ちゃんの秘密をかーちゃんにバラしちゃおうかな」

みさえが本気にしてひろしに掴み掛かる

2人の間にナニかがある(意味深)

2人がアツアツになる

ひろし「大体お前が福引を当てるから(ボソ)」

みさえ「まだそんなこと言って……」

電車でしんのすけが攫われる

ひろし「お前が福引きなんてしなければ」

みさえ「なによ! (泣)」

ひろし、みさえの涙を見て「……ごめんな」

ひろし「愛してるぜみさえ」

みさえ「私もよ……」

(しばらく出番なし)

ミスターアナコンダ達からしんのすけを庇ったみさえをさらにひろしが庇う

ブリブリ王国の美女やイケメンを楽しみにする、ひろしとみさえ

全てが終わり帰ってきて、思い出の写真を見て幸せなキス


 こうしてまとめてみると、愛を伝え合うまでの過程で一悶着を乗り越え一層絆が深まっていることが分かる。あまりそういった見方はされていないようだが、野原夫妻の映画でもあると言えるのではないだろうか。


オカマのニーナとサリ

 もはやラスボスのミスターアナコンダや、最終的に裏ボスとなったミスターハブよりも存在感が強いこの2人のオカマ。

 野原家や双葉幼稚園を覗き見するという不気味な登場をする。福引でしんのすけに接触したのち、飛行機では野原家を追い詰めた。そして野原家が乗った電車に乗り込み、ミスターハブと共にしんのすけを誘拐してしまう。

 ここまでは悪の組織にいるため悪いことを悪くやってのけているが、コミカルなやり取りや、自由人さは節々に現れている。どこか憎めない面白さがあって、終盤にこちらに寝返った時の安心感は計り知れない。特に最後の、「どうする?」「命の方が大事よ」「異議なしっ」が好きだ。元気のない時に見たら、生きる勇気に繋がりそうだ。

 さらにこの2人の声優さんは、サリが初代ぶりぶりざえもんでお馴染みの塩沢兼人氏。とにかく色っぽくて艶のある声が特徴。クレしんではほとんどオカマ役だ。声帯が塩沢氏で、サリの見た目なら、青髭が無ければ女に間違われることもありそうだ。

 そしてそして、ニーナはというと、ちびまる子ちゃんの方のひろし役で有名な屋良有作氏だ。彼もちょいちょいクレしんに出演しているのだが、私の大好きなアッパレ戦国大合戦で井尻又兵衛としても出演している。ニーナはサリよりもっと陽気なオカマだ。しかし怒ると男声が出てきてしまうようである。


ルル・ル・ルル

 彼女は今作のヒロイン。しんのすけにそっくりな王子、スンノケシを捜索しているところで野原家と出逢う。ブリブリ王国の軍人で、少佐だ。

 黒髪ショートカットのクールビューティーで、声優は初代ななこお姉さんの紗ゆり氏。美しく渋さもあるお声で、大人の女性と言った雰囲気です。

 そして、彼女の1番の魅力、それは歴代ヒロインの中でも上位に君臨するフィジカルの強さだ。重り付きでオカマ2人を撃退し、ミスターハブとも渡り合えるほどの力を持っている。普段の格好もいいが、やはり最後のチャイナ服はエッチすぎるよな。


その他もろもろ

 まず、この映画には鬼ごっこのシーンは無い。おそらく最初らへんの本郷映画までは意識的にはそういったシーンを入れてないのだろう。だが、この映画には鬼ごっこに相当するシーンはあると考えている。それは、ミスターアナコンダとミスターハブが壺から魔人を呼び出す時のダンスだ。なかなかぬるぬる動くし、こちらは鬼ごっこと違い真似しようと思えば出来る動きだ。(1番出来ないものもある)そうして印象的な動きを入れることによって客の注意を画面に引き寄せ、クライマックスが始まる。ようにしたのではないかと考えます。

 次にスンノケシ王子という手段について述べる。彼はしんのすけに瓜二つの少年であり、言わずもがな名前はしんのすけのアナグラムだ。どうしてここまで容姿が似たのか、しんのすけがどうして合鍵たりえるのか、どうして見つかってしまったのかといった野暮なことは一切明かされない。あるのはしんのすけにただそっくりという事実だけである。

 長い間やっている物語の中で主人公のそっくりさんというのは定番なところはあるが、それを2発目でやったのは大きい。


 そしてこの映画の感想だが、今からすれば結構オーソドックスな展開で、話の大筋自体はそんなに驚くものではない。しかし、いかんせん、絵が魅力的だ。ダンスのシーンもそうだし、アクションシーンもそうだし。それに、何より敵味方拘らず大人達の表情の変化が細かく描かれていて、心の動きが見えやすいのだ。アクション仮面VSハイグレ魔王もそうだったように、やはり、おとなむけだ。ここまでの物語の進行には直接関係ないが、脚色すれば一気に奥行きが出る演出は果たしてどこまで伝わるのか。そればかりが気になってしまう。だが、それが分かるようになってからみると、画面から目が離せなくなり、物語に引き込まれるのである。ちなみに物語の進行を邪魔するものではないので、物語自体はかなり纏まっている。


 この映画も私の中ではシンプルなほうなので、実はちゃんと見るのは結構苦手なのだ。しかし、絵が可愛かったり、表情で語ったり、ミュージカルが待ち受けていたりして、そういった細工を楽しみながら見るのには素晴らしい映画だ。