3月15日(金)に自死遺族等の権利保護研究会の講演会にて、アメリカの学校における自死対策についてお話しする機会をいただきました。私は、星のしずく主催の前川さんのご紹介で、約2年前から研究会のオンライン会議に参加しております。全国自死遺族連合会代表の田中さんからスピーチのご依頼を受けた時は、自分に務まるだろうかと悩みましたが、日本への帰国を予定していたこともあり、思い切ってお受けすることに決めました。もちろん、亡き娘も背中を力いっぱい押してくれました。

 

アメリカは自死に対する偏見・差別が日本よりずっと少なく感じられます。自死遺族になった時に娘が通っていたハイスクールから受けた支援は、ガイドラインに基づきつつも、誠実さや共感といった「心」のこもったとても温かいものでした。その経験をもとに、講演では時系列に沿ってお話しました。

 

同じく自死遺族当事者であるバトンさんのお話は、参加者に衝撃を与えました。息子さんが通っておられた中学校の対応はずさんなものであり、私も憤りと落胆で愕然としました。さらには、学校だけでなく、教育委員会や自治体の逃げ・隠蔽体質も明らかになりました。稲川さんは、このような体質を変えるために、遺族当事者が可能なかぎり声を上げることの重要性を力説されました。

 

最終スピーチは、司法書士の斉藤先生が行いました。15年間自死遺族に寄り添い歩んでこられた「現場者」としての経験から、日本の自死対策の問題点を強く指摘されました。その問題点とは、国の予算は政府指定法人や行政など間接的な「支援者」へはスムーズに配分される一方で現場へは届かないこと、政府指定法人などによる華々しい情報発信は遺族の精神状態を逆に悪化させているなどの点です。また、「どのような死に方であれ、一人の人間として尊厳を持って扱われる社会を実現」するべきであるとのメッセージは多くの共感を呼びました。

 

講演会終了後、研究会のメンバーや全国からお集まりくださったご遺族の方々と共に懇談会へ参加しました。私たち自死遺族支援のため、そして自死予防のために尽力される「現場者」の皆さまへの感謝の想いは尽きることがありません。また、今回、初めてお会いした遺族の方々との出会いに、様々な感情が湧き上がり、感動して泣いてしまいました。天国のわが子や愛する家族がつなげてくれたご縁に心から感謝致します。