10月28日、「ウィズ~オズの魔法使い~」の東京千秋楽を見てきました。
増田有華の渾身のステージ、満喫しました。
以下はそのリポート。

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前評判で「すごくよかった」「感動した」という人が多くて
期待していた半面、じつは自分には不安があった。

それは、あまりにも配役の人たちがすごすぎたから。

舞台がスタートして、はじめのドロシー(増田有華)がハリケーンで飛ばされる場面で、
その不安が現実になった。

冒頭のエムおばさんの歌。素晴らしい。
こんな人たちに囲まれて…。ゆったん、大丈夫か?力不足じゃないか? と。

もうひとつ、ドロシーという少女役と、
増田有華の雰囲気がマッチしていないのも気になった。
序盤、彼女は大人っぽすぎて、正直、ちょっと違和感を覚えた。

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ただ、それらの不安や違和感は、徐々に解消されていく。
途中からは、全く気にならなくなった。

序盤の「HOME」の伸び伸びとした歌声、
そして、かかし、ブリキ男、ライオン。それぞれと出会いと冒険の旅。
グイグイと舞台に引き込まれていく。

各キャストの演技、歌がことごとく素晴らしく、増田有華もそれに負けていない。

「オズの魔法使い」は元々が童話だし、ストーリーも複雑でなく単純。
だから、演技や歌の表現力次第で、素晴らしいものにも駄作にもなりうる。

でも、今回はしっかりと会場全体が舞台に引き込まれていくのを感じた。

前半は、ライオンをみんなが勇気づける場面で、少しだけ泣いてしまった。

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後半は、怒涛の感動の嵐。

森公美子さんの歌も素晴らしかったし、
ウィズ役の陣内孝則さんも、まさに適役といった感じ。
(陣内さんはロッカーズの頃からホント変わらない。偉大なる大風呂敷感w)

とにかく、ホロっとさせるところ、笑わせるところ、そのバランスが素晴らしい。

さらに、クライマックスに向けていろいろな出来事が濃縮されていく。
展開が徐々に早くなって、スピード感が上がっていくのも心地いい。

で、クライマックスの前。
グリンダ役の小柳ゆきさんが歌う「Believe」。
参りましたよ。彼女には。

透き通る歌声、包み込むような高音の伸び。圧倒的な声量。

非の打ち所がないソロ。
1曲の歌で、ここまで人をうっとりさせるなんて。

じつは、ここでもう一回我に返っている自分がいた。
「やばい」って。
こんな素晴らしい歌の後では、どう頑張っても増田有華の歌は
劣ってしまうんじゃないか…って。

でも、そんな心配は必要なかった。

最後の「HOME」。

ドロシーの想い、そして、未来への希望や願いが
しっかりと彼女の歌に込められていて。
技術的には小柳さんに劣るかもしれないけど、
それをカバーする表現力があった。想いが歌声に溢れていた。

ハンカチ1枚分。しっかり泣きました。絞れるくらいに。

素晴らしかった。

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フィナーレは、観客全体がスタンディングオベーション。
自分の見ていた3階まで、すべての観客が拍手でお出迎え。

総立ちといっても、周りが立ってたから立った。って感じじゃなくて、
すべての観客が、祝福の拍手を贈っている感じ。
なんかね・・・。最高の時間だった。

最後に、東京千秋楽ということで、増田有華が挨拶。
「このミュージカルを通して、日本を少しでも勇気づけれたらと思っていた。
でも、たくさんの人の笑顔に、逆に勇気づけられた。
これからも周りの人を笑顔にしていきたい」

といった感じの言葉。

最後の方は自分が泣いちゃっていたので、ちゃんと覚えていないけど(笑)

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「ウィズ」のパンフレットによれば、
48グループのポテンシャルに魅力を感じた宮本亜門さんが秋元康氏に
「48グループからドロシー役をオーディションで選びたい」と言ったところ、
秋元氏は氏は承諾した上で、こんなことを亜門さんに話したという。

「AKBとファンとのつながりは、彼女たちが頑張る姿を見て、
ファンが自分たちも頑張ろうと思うところから生まれていると思う。
あれだけ忙しい彼女たちが、いつも笑顔で必死に生きる姿を見ると、自分も頑張ろうと思える。
つまり、彼女たちの姿が、ファンの実生活へのモチベーションになっている


この言葉、いままで何度も聞いてきたけれども、
今回のドロシーを見て、改めてその意味を実感した。

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自分の感想としては、
実際のところ、増田有華よりも素晴らしいミュージカル女優は
今現在、日本に100人以上はいると思う。

でも、そのメンバーに彼女は加わった。
それ自体が、素晴らしいことだと思う。

まだまだこれからの部分もあった。
でも、これから少しずつ上を目指していけばいい。

それを応援していけるのは、1ファンとしてうれしいし、誇りに思う。

見に行ってよかった…。


「ウィズ」、至福の時間でした。
彼女の「HOME」は、一生忘れないと思う。
ゆったん、そして素晴らしいキャストの方々、ありがとう。