綾戸ちえさんの歌うテネシーワルツが私は大好きです。


この歌を聴いていると、


ニューヨークのメアリーのお店を思い出します。



陽気な酒飲み男達の喝采の中、


メアリーさんは店でも時々踊って見せたりしました。



でもみんなメアリーには一目置いています。


だって、ボスの大事な女ですから。



指一本でも触れたなら大変なこと!



店には何人かの女の子がいました。


その中で一番気を許していたのが、キャシー。



今世の私の妹です。


面白いですね。


妹もおぼろげながら、メアリーの店を覚えてるそうです。


バーボンが好きで歌の上手な子でした。



綾戸ちえさんのコンサートをデュアルと一緒に聴いていたときです。


急に悲しくなってきて、涙があふれ出しました。


メアリーの大事なボスの最期の場面を見たのです。



店の二階の部屋で、一緒にくつろいでいた時、


銃声の音と共に、ボスが床に倒れました。


窓の外から撃たれたのです。



抗争相手のマフィアグループにずっと狙われていたのです。


メアリーの叫び声と、床に流れ出す真っ赤な血。


徐々に冷たくなっていくボスの身体。



綾戸さんのテネシーワルツを聴きながら、


隣の席にデュアルが確かにいてくれることがどんなに嬉しかったか!



思いを残した死に方をすると、


そのトラウマは後世に影響を与えると言います。



結婚してからしばらくの間、


お天気がいいにもかかわらず、


デュアルは窓のカーテンを閉めたがるのです。



最愛のメアリーを残して、仕事半ばで死んでいったボス。


窓の外から背中を撃たれて死ぬなんて、


マフィアのボスにとっては痛恨の最期だったに違いありません。