テレビでスポーツ中継を見ていて、いつも思うことがある。

最初のほうで、まず実況が解説に言う。「〇〇さん、よろしくお願いします」

すると、解説も実況に「よろしくお願いします」と言う。

中継の最後では、実況は解説に、「〇〇さん、ありがとうございました」と締めくくる。

もちろん、解説も実況に対して、「ありがとうございました」とこたえる。

中継の途中では、実況が解説に話を振ると、解説は「そうですねえ」と前置きしてコメントをする。

いつも、この繰り返しである。

試合を楽しみたいこちらとしては、別に実況と解説のあいさつや相槌を聞きたいわけではない。

たまには違ったことを言ってみたらどうかと言いたくなる。

たとえば、実況と解説が口喧嘩を始めたら面白いと思うのだが。

英米では、I don't think so.と言って反論するのは普通のことである。

日本でも、実況の言うことに反論する解説がいてもいいのではないか。

あるいは、解説の解説に反論する実況がいてもいいのではないか。

しかし、和を重んじる日本では、そうはいかんのよなあ。

つまんない。

筒井康隆によれば、世の中には本文と注が喧嘩をする本があるそうだ。

ぜひとも、実況と解説で壮絶なバトルを繰り広げて頂きたいものである。