ビタミンB不足とアミロイドβ

 

ビタミンB群の不足とアミロイドβには、次のような関係があります。

  • 葉酸が不足すると、肝臓で作られた悪玉アミノ酸であるホモシステインが増えます。ホモシステインは動脈硬化を進行させるほか、アルツハイマー病の原因となるアミロイドβの作用を強めます。
  • ビタミンB12が不足すると、認知症の症状が生じることが知られています。重度のビタミンB12欠乏症では神経の損傷が起きることがあり、認知症を引き起こすことがあります。
アミロイドβはアルツハイマー型認知症の原因となるタンパク質で、脳に異常に溜まることが発症の引き金となります。アミロイドβの蓄積は認知症を発症する十数年前から起こると言われており、運動不足や糖質の摂り過ぎなども蓄積の原因となります
 

https://www.nibiohn.go.jp/eiken/linkdediet/news/FMPro%3F-db=NEWS.fp5&-Format=detail.htm&kibanID=76167&-lay=lay&-Find.html

 

 

アルツハイマーに関与するとされるアミロイドβによる悪影響が、ビタミンB12の存在によって大幅に緩和されたという。米デラウエア大学による動物実験から。

アルツハイマーの発症と進行に与える要因の調査を行っていたタニス教授らの研究グループは、線虫を用いて何年にも渡り遺伝子研究を行っていた。

アルツハイマーに関係するとされる毒性たんぱく質であるアミロイドβが発現すると、線虫は成虫になってから36時間以内に麻痺状態となる。しかし今回、線虫の餌となる様々な大腸菌の中でも、ビタミンB12を豊富に産生するタイプの菌株を与えられた者は、アミロイドβのレベルに関わらず麻痺の進行が大幅に抑制されることが明らかになった。

実験に用いられた線虫の一種、C.エレガンスは、体長わずか約1ミリメートルの細長い透明な虫で、土壌に生息し、微生物を食べる。1970年代以降、この虫は生体システムの単純さが重宝され、細胞生物学や病気を研究するためのモデル生物としてさかんに用いられてきた。

C.エレガンスもアルツハイマーにかかった人間と同じように、アミロイドβによって脳細胞に毒性作用を引き起こし、エネルギーの低下、細胞の「発電所」であるミトコンドリアの断片化、および過剰なフリーラジカルによる酸化ストレスを引き起こし、麻痺状態となる。

タニス教授は「ビタミンB12が不足している線虫にビタミンB12を与えたところ、麻痺ははるかにゆっくりと起こったため、すぐにB12が有益であることがわかりました。B12を持つ線虫は、細胞内のエネルギーレベルが高く、酸化ストレスも低くなっていました」と述べている。

研究グループは、ビタミンB12が機能するためにはメチオニンシンターゼと呼ばれる酵素が不可欠であると判断した。また、ビタミンB12を食事に加えることによる恩恵は、線虫がビタミンB12の欠乏状態であったときにのみみられたという。ビタミンB12が充足した線虫に、より多くのB12を与えてもメリットはなかった。さらに、ビタミンB12は線虫のアミロイドβレベルに影響しないことが示された。

「現在、アルツハイマー病の効果的な治療法はありません」とタニス教授。「変えることができない特定の要因はあります-年をとるという事実や、アルツハイマー病の遺伝的素因は変えることができないのです。しかし、コントロールできることの一つは、食べ物です。人々が病気の発症に影響を与えるために食事を変えることができれば、それは素晴らしいことです。私の研究室はそれを探求し続けることにワクワクしているのです」。