「牛乳=骨にいい、といまだに思い込んでいる方は多いですが、それは間違いです。骨の健康にはカルシウムだけを多く摂っても意味がなく、それ以上にマグネシウム(ミネラル)が大切なんです。牛乳100mlには約110mgのカルシウムが含まれているのに対して、マグネシウムの含有量はわずか10mg程度しかない。

それに、牛乳は動物性たんぱく質も多く、体内で酸性物質が生じやすくなります。そのため大量に摂取すると『脱灰』(骨を溶かして中和する作用)が過剰に起こります。つまり牛乳を飲むと、よけいに骨が脆くなってしまう恐れがあるのです。

また、血中にカルシウムが増え過ぎると、血管内や臓器の細胞内など骨以外の場所に居座ってしまう。これが様々な健康問題を引き起こすのです」

 

カルシウムを体内で正しく働かせたいなら、牛乳や乳製品の盲信からいち早く抜け出し、玄米や大豆、青菜など、カルシウムとマグネシウムをバランスよく含む食材をしっかり摂るようにしてください」

いまもって世の中には、「間違った健康常識」が溢れている――60すぎると「肉より魚を食べたほうがいい」というのも実は間違いだ。白澤抗加齢医学研究所所長の白澤卓二氏はこう主張する。

 

「歳をとってきたので脂っこい肉が苦手になったと言う人がいます。しかしここで見逃してはならないのが、食品に含まれるたんぱく質の量です。

たとえばアジ1匹を食べたとしても、たんぱく質は15gくらいしかとれません。一方、肉に含まれるたんぱく質は、部位によって異なりますが、仮にすき焼き用の牛肉を1日に300g食べれば、たんぱく質は90gほど摂ることができるのです」

厚労省が出している「日本人の食事摂取基準」によれば、1日に必要なたんぱく質の量は、男性で60g、女性で50gとされている。これは、アジだと4匹も食べなければならない計算になる。

ただし、いくら肉を食べるほうが長生きするからと言っても、「加工肉」は食べてはいけない。

前出の山田氏が語る。

「'15年に世界保健機関(WHO)がベーコンやハム、ソーセージなどの加工肉を1日50g以上食べると、大腸がんのリスクが上がるとする研究結果を発表し、波紋を呼びました。

日本人の平均的な摂取量であれば問題ないとの意見もありますが、そもそも大半の加工肉は高脂肪、高ナトリウムで、発色剤(亜硝酸塩)や防腐剤(ソルビン酸)が使われているので、できる限り食べないほうがいい」