当事務所が獲得した判決(名古屋高判平成29年(ツ)第32号,以下「本判決」といいます。)の事案は,不当利得金(過払金)を当職(弁護士安藤)の預かり口座に指定したにもかかわらず,貸金業者が,その指定を無視し,依頼者本人自宅に,直接,不当利得金(過払金)を普通為替証書で送付したというものです(以下「直接送金」といいます。)。

 

これに対し,当職が原告(当事務所の中澤弁護士が代理人)がとなって訴訟を提起したところ,本判決は,直接送金について,不法行為上の違法性を認めました。

 

この判決は,以下の点で,先例的価値があるものと考えます。

1 直接送金につきましては,熊本地裁人吉支部平成22年4月27日判決(同控訴審,福岡高判平成23年2月25日)において違法性が認められておりましたが,福岡判決は,熊本地裁人吉支部の引用判決でした。

これに対し,本判決は,名古屋高裁において,直接送金が違法である理由を説得的に示していただいております。

 

2 原審判決(金沢地方裁判所平成28年(レ)第34号,同第36号)が直接送金の違法性を否定したのに対し,本判決は,違法性を肯定しました。