脳の記憶に貯蔵されたエイリアンアブダクションの記憶

さてさて、みなさま随分とお久しぶりです

いかがお過ごしでしょうか

前回は5月とコロナ騒動の真っただ中で、まだまだ寒い時期でしたが、今はもう真夏

日々、暑さが続きますが、今は先週までに比べると、随分と過ごしやすくなりますたかね

あれから何もしてなかったわけじゃないけど、ネタ探しに粉骨砕身していました

さて、早速だが、今日は脳のメカニズムについて、話をしようと思う

脳といえば、思いつくワードは「記憶」だろう

では、記憶とはなにか？

記憶とは、一言でいうなら、脳に蓄積される情報である

記憶の分類方法はいくつかあるが、スクワイアの記憶分類※で分けられることが多く、一般的である

その記憶分類によると、記憶には、感覚記憶、短期記憶、長期記憶に分類される

※ラリー・R・スクワイア

カリフォルニア大学医学部サンディエゴ校教授。専攻は精神医学・神経科学・心理学。米国科学アカデミー会員。米国心理学協会の科学貢献賞はじめ多数の受賞。

感覚記憶───

最も保持期間が短い記憶で、各感覚器官に存在し、瞬間的に保持され、それらに注意を向けられると短期記憶として保持される

人とすれ違った時に一瞬見覚えしたりする瞬間に起こりうる記憶のことだが、殆ど記憶に残ることはなく、思い出せることも少ない記憶

短期記憶───

人間の記憶のうち、短期的に保持される記憶のことを指す

上記で記述した、感覚器官が受け取った刺激（感覚記憶）に意識が向けられることにより記憶が保持されるが、その記憶の持続時間は、数十秒から数ヶ月程度とされる

アドレス帳の電話番号を見る、電話をかけるなど、その実行中はは覚えているが、すぐに忘れてしまうような記憶

短期記憶は、最近の研究では最長2年といわれているが、数字でいえば、通常7つぐらいしか覚えていられず、これはマジカルナンバーと呼ばれる

短期記憶を発展させた作動記憶という概念が提唱されており、ワーキングメモリ（認知心理学において、情報を一時的に保ちながら操作するための構造や過程を指す構成概念）は、短期的な情報の保存だけでなく、認知的な情報処理も含めた概念とされ、容量には個人差があり、その容量の差がある課題での個人のパフォーマンスに影響を与えていると言われている

言語を理解したり、推論、視覚的・空間的なイメージを操作したりする

長期記憶───

大容量の情報を保持する貯蔵システムで、一旦長期記憶に入った情報は消えることはないとされ、長期記憶の忘却の原因については、減衰説と干渉説、さらに検索失敗説が存在する

減衰説とは、時間の経過とともに記憶が失われていくという説であり、干渉説とは、ある記憶が他の記憶と干渉を起こすことによって記憶が消えるという説で、検索失敗説とは、思い出せなかった記憶は、情報自体が消失しているのではなく、適切な検索手がかりが見つからないため、記憶内の情報にアクセスできないという説である

βエンドルフィン（＝脳内ホルモンの一つ）が分泌されたり、Ａ10神経（ドーパミン系神経、報酬系神経）が活性化すると、海馬における長期記憶が増強する

短期記憶が繰り返し、呼び起こされることにより、この長期記憶へと変化していき、繰り返し学習することにより、確固たる記憶へと変わっていく

事実と経験を保持したり、言葉簿意味を知ったり、体験を記憶する陳述記憶と、繰り返し体で覚えたり、経験からなる予想や直感をはじき出す非陳述記憶がある

記憶のプロセスというのは、記銘・貯蔵・想起の３つから構成される

パソコンに何かを記憶させるときには、まず人間の言葉をデジタルなデータに変え、そのデータをパソコンのハードディスクなどの記憶媒体へ蓄えられ、そして、必要なときには、データを検索して情報を呼び出すが、人間の記憶もそれに近い

まず、脳に記憶できるように符号化(銘記)され、その記憶が、脳に書き込まれ(貯蔵)、必要なときに検索(想起)して引き出される

この動作を繰り返すと、忘れにくい記憶へとなる

例えば、テストで答えが書けないというのは、そもそも授業を聞いていないといったように勉強しておらず、銘記できていないことになり、単語を一文字違いで間違えた場合などは、貯蔵している間に記憶が変形(記憶の錯覚)してしまっており、あと少しで思い出せそうな喉まで出ているという時は、想起に失敗したことになる

上記で、記憶の錯覚と表記したが、記憶の錯覚とは、初めての経験なのに、前にも同じことが会ったような気がすることで、よく聞く言葉だが、これをフランス語でデジャビュdeja vue(既視感)といい、崇高なオカルトマニアたちは、生まれ変わりだとか、タイムスリップだとか、色々と想像力を発揮したいところだが、これは心理学的には、ただの記憶の錯覚だという

ちなみに、以前経験しているはずなのに、全く記憶に残っていないことは逆にブジャデvu ja deと呼ぶ

さらに忘却することで、逆に運動能力を向上していく（運動指令の最適化）ことが発表されている

たまに優れたアスリートが、それ以外の通常の思考をするときに、ん？と疑わしい場面があるのは、恐らくそういうことだろう

さて、記憶のメカニズムについては、この辺にしておいて、本題に入ろう

世には、エイリアンに拐われ、人体実験をされたという記憶を持っている人がいる

それは凄い貴重な体験だと思うが、しかし、こういった記憶があるからといって、それが事実とは限らない

こういったエイリアンにさらわれた人（通称アブダクティ）の多数は、記憶の中だけでストーリーが出来上がってしまっていて、これは嘘でも冗談でもなく、本人自身は本気で、彼らの脳には本当に存在してる記憶なのだ

アメリカの心理学者スーザンＡクランシーは、記憶研究のために、「エイリアンに誘拐されたことがある人求む」と新聞広告を出した

集まった者たちは、ごく一般的な生活をしている者ばかりで、彼らはみな以下のような似たようなことを言ったそうだ

事件は夜

被害者が寝ている時や、郊外で一人で車を走らせている時など

目撃者がいない

目撃した第三者がおらず、当然写真や録音などの物的証拠も残っていない

記憶が飛ぶ

殆どの者は、途中一部記憶をなくし、代わりに宇宙船などにいる

人体実験

寝かされた自身の体にエイリアンが、人体実験を行おうとしている

実験箇所は下半身が多く、精巣組織や卵子などのサンプルを取られ、中にはエイリアンと性行為をして、子供を妊娠したと証言する女性までもいる

謎のアザ

目を覚ますと、体には手術痕とみられる傷跡やアザが残っている

こうした体験は、幼少期の虐待が影響していることが多く、幼少期におけるおぞましい性的虐待の体験が抑圧され、宇宙人誘拐の記憶へと転化していく

しかも、そういったことは、親兄弟など身内の犯行が多く、名乗り出るわけにもいかず、真実はうやむやにされたままというものばかりだ

心理学者クランシーはいつも、出会ったアブダクティ(エイリアンに誘拐された人)に

「あなたの身に起きたことについて、ほかにもっといい解釈があると思いますか？」

と尋ねる

すると、彼らは概ね

「あるかもしれません。でも、わたしは自分の直感を信じていますし、わたしの直感がエイリアンだと言っているのです」

と言うのだ

記憶ではなく、「直感」だと…

誘拐時のおぼろげな記憶を取り戻すため、アブダクティたちは催眠療法によって証言（記憶）を引き出している

しかし、催眠療法は思い込みの記憶や作られた記憶を引き出してしまうため、心理学においては、催眠療法は記憶を回復させるのに好ましい方法ではないことがわかっている

それでもアブダクティたちは自分の直感を信じてやまない

結局のところ、人間は思い込みが激しく、人は都合のいいことしか信じないし、信じようとしない、という当たり前の事実が浮かび上がってくる

しかし、考えてみてほしい

仮に彼らアブダクティ全員がエイリアンアブダクトされてたとしよう

宇宙空間を移動し、地球に到達できるまでの高度な技術を持っているであろう知的生命体エイリアンが、なぜ50年以上もの間、多数ではなく個人の人間を誘拐というこんな間抜けな手口で、生殖関連の精子や卵子といった同じものを集め続けているのか？

それの答えは、恐らくエイリアンは、冷凍保存できる冷凍庫の存在を知らず、古い映画にでも出てきそうなハンカチにクロロホルムを嗅がせるような行動に憧れているからに違いない

高度な技術を持っているのだが…

さらに、エイリアンと性行為をした時、服を着ていた宇宙人が恥じらいを見せていたというエピソードすらあるが、エイリアンは服を着るものなのか、裸になることを恥ずかしがる近代的な人間観をなぜ持っているのだろうと疑問は尽きない

アブダクション被害者もアメリカ人に集中しているが、もし北アメリカのほうや南アメリカアに現れたとしたならば、カナダ人やメキシコ人は狙わないのかと、単純な疑問すら浮かんでくる

加えてメディアの影響も大きいのは間違いない

エイリアンに誘拐されるというシチュエーションは、アメリカの映画やドラマではよく登場する

現在、アメリカを始め、エイリアンの映画やドラマを放送している地域では、エイリアンがどんな姿をしていて、誘拐した人間にどんなことをするかについて、知らない人間はほとんどいないだろう

ちなみに1953年の『惑星アドベンチャー／スペース・モンスター襲来！』という映画が放送されるまでは、エイリアンに誘拐されたという話は、１度も世に出たことがなかった

しかも、エイリアンに興味を持っている人々は、エイリアンの姿を正確に描き、アブダクトされた時のストーリーも明瞭に語ることができる

自分はアブダクションされた経験がないにも関わらず、彼らはなぜアブダクティと同一の、記憶を語れるのだろうか

それは、高等教育を受けている彼らは、言葉を操り理解し、そういったテレビや映画を日常的に見ているからに他ならない

かつて、アメリカで多重人格犯罪者をテーマとする『24人のビリー・ミリガン』（ダニエルキイス著・早川書房）が発売した際、同じ症状を訴える人間が続出したという

24人のビリー・ミリガン───

1977年、オハイオ州で連続的に性的暴行をおこなったとしてひとりの青年が逮捕された。彼の名はビリー・ミリガン、22歳。しかし彼には犯行の記憶が全くなかった。実はそれは、彼の中に潜む別人格のしわざだった。多重人格という障害について、一般的にはあまり知られていない1981年、作家キイスが世に知らしめ、翻訳されるや否や、日本でも空前の“多重人格ブーム”を巻き起こしたノンフィクション作品

もっと言えば、レーダー装置が発明されたあと、「心の中を電波でのぞかれている」と訴える軍人が現れ始めた事象もある

いずれも、人間の記憶のあやふやさを証明するに相応しいエピソードだ

エイリアンアブダクションを受けたという大勢は、前述にあった陳述記憶の中のひとつであるエピソード記憶が想起されるときに、何かのエラーを起こし、きっちりと検索できず、（映画や書物をみた記憶という）他の格納庫から情報を引っ張り出し紐づけされ、あたかもそれが事実に体験したと改ざんされたにすぎない

ちなみに前にも記したように、アブダクションされた記憶とは、忘れたはずの新生児の記憶とされることも多い

まだ、生まれたばかりの赤ん坊は、すべてのものが初めて見、体験することばかりだ

その曖昧な記憶が、なにかのエラーでエイリアンアブダクションにすり替わってしまうのだ

例えば、アブダクションされたときに裸体でいるのは、生まれたばかりのころは裸体だし、宇宙船の中とおぼしき多数の電子機器は、病院の中にある設備であり、口に何か入れられたり検査されている記憶は、保育器に入れられて検査されている記憶であり、上から覗き込むエイリアンは、看護師や医者、若しくは両親の顔なのだ

こういったように、間違った記憶を正しいと錯覚してしまい、大抵のことは、記憶の錯覚から生まれたケースが多い

決して、エイリアンアブダクションのことを馬鹿にしているわけではない

この広い宇宙にエイリアンが存在している可能性は大いにあり、或いはそういった地球外生命体がこの地球に訪れて、エイリアンアブダクションしているかもしれない

そういった可能性を否定しているわけではない

ただ、それって勘違いだったってことはないのですか？と問い、真偽の程を確かめたいだけなのだ