3月9日はサンキューの日
日頃の感謝の気持ちを伝えて、日本に「ありがとう」が溢れる日にしようと制定された記念日

サンキューといえば、「サンキューセット」を覚えているだろうか
当時、高かったハンバーガーをリーズナブルな値段にさげ、キャッチーなフレーズでお馴染みになったマクドナルドのアレだ

マクドナルドのCMをyoutubeで見る





ファストフードと言えば安くて速いというイメージがあるが、昔はそうではなかったようだ
今から28年前、1985年のマクドナルドのメニューを見てみるとそのお値段に衝撃を受ける
なんと『ビッグマックセット』が800円、『ハンバーガー』が230円と、かなり高めな設定

当時は日本もバブルの最中で景気が良かったことから値段も強気な設定だったのだろう
しかし、1987年に行われた『サンキューセット』の登場により、一気にハンバーガー店の価格競争がはじまることとなる
大ヒットキャンペーン『サンキューセット』はライバル店であるロッテリアにまで影響を与え、ロッテリアは『サンパチトリオ』と対抗
しかし、マクドナルドは更なる値下げで『サブロクセット』として新展開
我々、客にとっては嬉しい価格競争であった

左が1985年の価格、右が現在の価格
ハンバーガー:230円、120円
チーズバーガー:280円、150円
フィレオフィッシュ:400円、290円
チキンマックナゲット:350円、190円
ビックマックセット:800円、680円

なんとも高かった時代だった


しかし、そのサンキューセットが流行ったのには訳があった
やりすぎ都市伝説でも言われていたが、それは究極の法則「78:22」のユダヤの法則を使っていたからだと中田敦彦は言う



一つの物事が78%と22%に別れる
特に、多くの重要な出来事がその法則になっているという法則だ

例えば…

地球の空気は窒素が78%でその他が22%。
経済では富裕層が保有している資産78%、一般層が保有しているのが22%。
地球の海と陸の割合が78%と22%
などこの法則に当てはまるものがたくさんあり、この法則を活かすことでビジネスが上手くいくと考えられている

マクドナルドの創業者藤田田は、このユダヤの法則を利用したのだ



このサンキューセットが誕生した当時、500円紙幣が500円硬貨に変わって普及した
500円硬貨でサンキューセットを買った時のお釣りは110円

390:110=78:22という割合になり、ユダヤの法則に当てはめ、藤田田はお客さんがいくら払って、いくらお釣りをもらうと潜在的に気持ち良いかということを考えて利用していた
そのこともありサンキューセットが流行語大賞を受賞する程の圧倒的なヒットを得たのだと語られていた





しかし、この両社入り乱れた低価格戦争は当初こそ効果があったが、当時は未だ景気が良い時代であり、低価格志向のない消費者には支持されなかった
また、まだ高価な原材料価格は利益の減少という体力の消耗も招いた
その結果、両社は体力を消耗し、セットメニュー戦争に終止符を打った

やがて、バブルもはじけ、世の中の低価格志向が段々明瞭になり、1993年にはすかいらーくをガストに200店転換、バーミヤンは低価格メニューへの変更を行いだした
そこで、1994年にマクドナルドは再度セットメニューであるバリュー作戦をスタートした
さらには、96年1、7、12月にはハンバーガーを80円で、98年、7、12月にはとうとう65円という値段でハンバーガーを販売するという強烈な低価格戦略を披露し、大成功することとなる
当時は、ハンバーガーを65円で販売することは原価割れこそしていないがそれでは利益は出ないのに、原価すれすれのハンバーガーを販売してどうやって利益を出すかというとそれがセットメニューの巧妙な組立だ
テレビなどを大量に使用した広告宣伝や店舗外部の垂れ幕などには65円のハンバーガーを大々的に告知し、客を吸引する
しかし、客が店内のレジの前に立つとセットメニューの訴求しかせず、自然にセットメニューを購入するようになる
これが、組み合わせのトリック


いわば、藤田マジックだ


実は、これには原価を大幅にダウンさせたところにある
一番の価格ダウンはバンズだ
そこで、バンズなどの基本原材料を変更せず、ソース類などの味の変更だけで新商品開発をするようにした
その結果単品のハンバーガーバンズを大量に製造することが可能になり、従来ほぼ一社であったバンズメーカーに加えて、輸入冷凍生地を扱う食品メーカーを採用し、2社購買とし、大幅なコストダウンに成功したのだ
さらに円高と関税の低減により、ミートパティが大幅にダウンした

ポテトは自社栽培に加え、品種改良、製造行程も専門家を育成し、産地や品質管理まで徹底した
炭酸飲料の値段は、大手チェーンは単独店の半額で買えるが、マクドナルドは大手炭酸飲料会社とのワールドワイド契約により、さらにその半額以下で購入できた

そして、その結果、原価は驚きの
ハンバーガーの原価は45円
ポテトは16円
炭酸飲料は16円
合計77円となったのだ

さて、お気づきの方もいると思うが、実はサンキューセットは、赤字になる原因を引き出していたのだ
ユダヤの法則で大成功なんてことはなく
実は、売れば売るほど赤字に近づく諸刃の剣だった

しかし、長い歳月をかけ、以前の失敗した結果から学んだ起死回生のセットこそ、バリューセットなのだ
12年前のサンキューセットの時の原材料コストは40%近くもあったのに、今回のバリューセットでは30%前後と言う原価率を実現している
この10%近い原材料費のコストダウンがバリューセットの原資となっていたのだ

こうして、ハンバーガー65円政策が生まれた
ようは、利益率でなく、利益額という考え方だ
一人当たりの客の利益率でなく、どれだけの利益額をおいていくのかと言う額で考え、利益率が低くなってもより大きな利益額を得られればそれでよいのだ
そのために客にバリューを感じてもらい、よりお得なセットメニューを購入するようにお勧めする
マクドナルドはハンバーガーを目玉にしてもポテトと炭酸飲料で大幅な利益を稼げるからなるべくセットメニューを訴求するわけだ

65円ハンバーガーという強烈なインパクトで売り上げを上げようとしても、今までと同じ客席数やレジ台数では増大した客を捌くことは出来ない
そこで、販売能力の増加をするために、店舗客席の能力を測定し、必要なら増席や厨房の改良をする
また、既存の店舗だけでは大幅な売上増加に耐えられないから、店舗数を増加させる
97年は457店舗、98年は450店舗と大幅な店舗を増大させたことが、バリューセット販売と相まって売り上げを大幅に伸ばしたのではないだろうか
さらには、設備投資の資金の削減、10年前には7000万円もかかった店舗の投資額を4000万円まで減少させた

人件費も同様だ
アルバイトは、売上に連動する変動費だが、社員の経費は固定費となり、それが売上の低い店舗の収益性を落とす原因となっている
そこで、社員の人件費まで変動費化をすることにした
それがPODと言うサテライト店舗だ
標準店の店長が1人で複数のサテライト店の責任を持ち、サテライト店の運営はスイングマネージャーというアルバイトの責任者とした
サテライト店舗は投資金額がさらに少ない金額で出来、ショッピングセンターや学校、ガソリンスタンドなどの店舗に入居する形であり、建築物や保証金の負担も無いというメリットも持った

マクドナルドでは、損益分岐点を活用して、販売価格の低下のロジックを詳細に検討した
原材料費率が高くなっても、客数が増加し売上が増えれば利益は確保できるわけだ
そこで損益分岐点の計算に、セットメニューや低価格商品を導入した原価をいれ、さらに従来の利益額を固定費として入れる
そうして損益分岐点を計算すると幾ら売上を上げなくてはいけないかが分かるわけだ
そのような緻密な利益計算を行いバリューセットを成功させた

マクドナルドの最近の姿勢は「変化への対応」と言う言葉で表せるだろう

これこそが、マクドナルドを現在までに復活させ、売上を上げたのではないだろうか


ちなみに夜な夜な一人で、「らんらんるー」と唱えると、何処からともなく、ドナルドが訪ねてくるのだとか






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