ミュージカル「モータウン」劇評 | トシ・カプチーノ。 オフィシャルブログ Powered by Ameba

ミュージカル「モータウン」劇評

 

 

ジュークボックス系ミュージカル 

「モータウン」

 

 

 

ブロードウェイの素材としては最高!

懐かしのモータウンサウンドを、

どうミュージカルに融合させたのか

期待は高まった!

  

 

まず、ジュークボックス・ミュージカルとは?

大ヒットした既存の曲に

無理矢理ストーリーをくっ付けた作品のこと

(カタログ・ミュージカルとも呼ばれる)

 

 

 

 

この系統で、ブロードウェイで上演された

 

「マンマ・ミーア!」

スウェーデンが生んだ男女4人組の

スーパースターABBAのヒット曲を満載

 

そして

 

「ジャージー・ボーイズ」

「君の瞳に恋している」などの大ヒット曲を放った

フランキー・ヴァリとザ・フォーシーズンズの二つ。

 

 

モータウンと言えば

今も世界中の音楽界で幅を効かせるR&Bを

ベリー・ゴーディーという一人の男が

夢と野望でもって立ち上げたレコードレーベル!

 

 

今っだら、米国の大企業の

CMのBGMに使われたり

日本でも、私のだーい好きな

情報番組「5時に夢中!」にも

ジャクソン5の「ABC」 

がオープニングに使われているほど。

 

 

 

  

ジュークボックス・ミュージカル「モータウン」

が生まれるにあたり、

ナツメロをつなぎ合わせて作る

商業的安全牌の類型としての後塵を拝し、

それこそ「マンマ・ミーヤ!」の成功に学び、

アース・ウィンド・アンド・ファイアーの

ミュージカル「ホット・フィート」の

大コケを反面教師として、

偉大な傑作ミュージカルを作る要素は

充分にあるハズ。

 

 

 

 

ああ、それなのに

それなのに〜♪

 

 

見どころ

 

60年代から80年代にかけて

大ヒットを飛ばした

マイケル・ジャクソン

ダイアナ・ロス

スティービー・ワンダーなど

多数のアーティストの厳選された50曲。

舞台に若かりし頃の

あの大スターたちが蘇る

おおおおショウワの香りーーー

私の青春時代も蘇る

モータウン・ルネサンス万歳!

 

 

 

 

 

ストーリー

 

舞台は1983年

LAのパサデナ・シビック・オーディトリアムで

開かれた

「モータウン25周年記念イベント」。

モータウン・レコード専属していたアーティストが

一同に会してのイベントであったが、

モータウン創設者のベリー・ゴーディは

家族同然だったビックネームのスターが、

次々に他のレコード会社に移籍していたったことに

怒り浸透し、姿を表さない。

 

そして場面はフラッシュ・バック。

1938年のアメリカデトロイト

ゴーディの子ども時代へ。

 

ボクサー志願だった少年は

次第に音楽業界に興味を覚え

1959年モータウン・レコードを設立。

 

60年代、一大レーベルに成長し大成功を収め

ダイアナ・ロスと結婚。

順風満帆のように見えたが

次々に所属アーティストが移籍。

そして離婚と・・・

 

  

「ああ、それなのに、それなのに〜」の続き

私的には、こうすれば

"モアベター"だったかも、

という部分がありました。

 

 

 

 

 

1、モータウンを素材にしたアイディアは抜群

  しかし、

2時間30分のショーにコーディの半生

専属アーティストたちの裏話

50曲のヒット曲集、

アレもコレも詰め込みすぎ。

ここまで、詰め込まなくても

曲目を少なくして、

じっくり聴かせるなど

緩急をつけて欲しかった

 

 

 

2、モータウン帝国のキング兼プロデューサーの

自叙伝をベースに、

ゴーディが自ら手掛けた脚本が稚拙。

やはり、これだけの逸材なんだから、

その道のプロに依頼すべきだったのではないだろうか

 

 

 

3、50曲をみせるため

最大の見せ場である歌のシーンは、

まるでフジテレビ「夜のヒットスタジオ」の名物

"夜ヒットオープニングメドレー"

みなさん、こんばんわーーー

芳村 真理でーす!

やはりもっとじっくりと

聴かせる演出が欲しかったね

 

 

 

 

 ちょっと専門的に蘊蓄コーナー

(トリビアを披瀝したい人だけどうぞ)

 

さて、冒頭に前述したとおり、

ブロードウェイでジュークボックス・ミュージカルが

脚光を浴びたのは、ABBAのヒット曲を用いた

「マンマ・ミーア!」の大ヒットから。

 

 

その後、出るわ出るわ

例えは悪いが

芸能人のペニオク詐欺事件状態

 

ビリー・ジョエル

エルビス・プレスリー

ビーチボーイズ

ジョン・レノン

ザ・フォーシーズンズ、

アース・ウィンド・アンド・ファイアー

ジョーニー・キャッシュ

オリビア・ニュートンジョン、

フランク・シナトラ

ビートルズ

ジュリー・ガーランド

ボブ・ディランなど、

こんな中で商業的に

成功(ロングラン)したのは

「マンマ・ミーア!」

「ジャージー・ボーイズ」だけ。

その「ジャージー・ボーイズ」に

至っては、

ジュークボックスの分野で

初、トニー賞最優秀作品賞を受賞。

これらの作品に続き、

ブルース・スプリングスティンも

予定されているとか!?

  もう一丁トリビア

ジュークボックス・ミュージカルにも

3つの形態がある。

 

1、自叙伝型

2、オリジナル・ストーリー型

3、ミュージカル・レビュー型

 

「モータウン」はまさに1に該当

しかし、とっちらかったてんこ盛りの脚本が

仇となったことはいうまでもない。

もし、私が「モータウン」の演出家だったら

曲の全面に出した3のレビュー型

ブックレス・ミュージカルにして

フルソングを楽しんでもらう。

または1のままだが、脚本の軸を

ベリー・ゴーディとダイアナ・ロスに絞り

楽曲も彼女の曲だけを選曲する。

もうこの手のミュージカルは

ヤメるって手もあるけど、笑

 

 

マネーマネーマネー

 

トニー賞ミュージカル作品賞を逃し、

ノミネートは4部門に留まったが、

劇場は湧きに湧いている!

私が観劇した日は

「懐メロものまね大会」かー

というノリで

観客はかなりご満悦の様子。

チケット売り上げも好調で

5月12日付けでは週1億2千万円。

今シーズンの新作ミュージカルの中では

「キンキー・ブーツ」に続き

第2位という大健闘だ。

 

ミュージカルってブロードウェイって

楽しいだけでなく、

ほんっとうに役に立つ人生訓が

ギュっと詰まった

素晴らしいものなんですよね!