TRIP of LOVE 劇評 | トシ・カプチーノ。 オフィシャルブログ Powered by Ameba

TRIP of LOVE 劇評

 

 

劇評を書くにあたり、

一番ややこしいのが  

知り合いがプロデューサーをしてたり、  

出演しているミュージカルや芝居を取り上げる時。  

 

 

いつも通りの言いたい放題、

 

 

舌鋒鋭く突っ込みたいのに、

 

 

この顔、あの顔がまなかいに浮かんで、

 

 

やりにくいったらあーりゃしない!  

 

 

だからニューヨークタイムズ紙の批評家が、

なぜにブロードウェイ演劇関係者である

演出家、振付家、出演者等と  

個人的な接触を一切持たないのは、

そんな所以であるのだよー。  

 

 

でもね、でもね

そんなこともいってられない狭〜い業界、

 

 

今日もわたくしは飛ばすわよ〜。

 

 

どんな時でも「愛」があれば

わかってもらえるわ〜っ、ってね。

 

 

今回、紹介するのが

オフ・ブロードウェイのミュージカル 

 

 

 「Trip of Love」   

 

 

 

 

 

プロデューサーは

渡米以来の知古である

出口最一氏。 

 

 

1991年、顔を青く塗った

奇怪なパフォーマンスを

 

 

オブ・ブロードウェイの舞台に乗せ、 

 

 

世界的な成功に導いた

ブルーマン」を見出した御本人である。   

 

 

その誕生から25年。 

 

 

出口氏の場合、20-30人のプロデューサーの中のひとりとして 

クレジットされているブロードウェイ・ミュージカルの、 

ただ金だけ投資してあまりクリエイティブな方面には

干渉せず口は出さないという

おサイフ的な場合とワケが違うのさ! 

 

 

 

彼の場合、  

 

 

企画 

資金調達

制作  

 

 

たっと一人で指揮をとり 

ミュージカルに仕上げて行く 

一匹狼の大プロデューサー。  

 

 

そんな気の遠くなるような 

膨大多岐にわたる作業を 

情熱を持ってコツコツと続けて、

前出の「ブルーマン」を

国際的なフランチャイズにまで

育て上げた方なのだ。 

 

 

そんな熱意のプロデューサーで、 

それも同じNYで暮らす日本人で 

知り合いとくれば、

応援したいじゃない!   

 

 

 

では、その出口氏の渾身の新作

「Trip of Love」とは? 

 

 

 

いわゆるジュークボックス系。 

ヒットした既存の曲に

ストーリーを加えたミュージカルなのよ。   

 

 

 

ストーリーは?   

 

 

 

物語は「不思議の国のアリス」をヒントに 

観客の中のひとりの少女が舞台に

上げられることから始まり、 

不思議の国に迷い込んだかのように、 

60年代のアメリカへタイムスリップし、

夢の中で様々な体験して行く。 

 

そのストーリーは言葉で語られることなく 

60年代にヒットしたオールディーズや

スタンダードナンバーで歌い、

踊られ綴られていくわけ。 

 

 

ビリー・ジョエルのミュージカル

「ムーヴィン・アウト」や 

ビーチボーイズのミュージカル

「グッド・バイブレーション」の

作り方に大変似ているのよね!?

 

 

 

 

 

見どころは?  

 

 

◎ズバリ!衣装・・・  

 

 

豪華絢爛・・金銀、パールにダイヤモンド  

ブロードウェイでもなかなか見れない

ゴージャスな衣装は一見の価値あり! 

ファッションを通して、60年代という時代を

俯瞰するってのもなかなかシャレオツなもんよぉ〜  

 

 

 

 

 

◎選りすぐりのキャストの面々  

 

 

 オフとはいえ

もともとブロードウェイ上演を目指していた作品。

 役者の技量そしてやる気も折り紙つき。  

 ブロードウェイの好景気で

劇場が全く空かず、

 オフでの上演になったが、  

 劇場はオフでもキャストの面々も衣装も

ブロードウェイ仕様!  

 それはそれは

上質の歌とダンスを見せてくれるのさ! 

 

 

 つまりはエコノミークラスなのに、

 懐石料理が供されちゃって

みたいなおトク感満載なの。 

 

 

 

  

 

◎スターは60年代を代表する珠玉のヒット音楽の数々   

 

「夢のカリフォルニア」(ママス & パパス)  

「ワイルドでいこう!」(ステッペンウルフ) 

「Nowhere to Run」(マーサ・ザ・ヴァンデラス)など  

 ヒット曲26曲で構成。

 

 

 観劇中に時を忘れるということはよくあるが、  

 時に「ドリームガールズ」、

 時に「ヘアー」の世界にもどっぷりとハマってしまう!  

 

 

 私が観劇した日なんて

「夜のヒットスタジオ」のように

続々と歌われる懐メロに  

 体でリズムを取りながら楽しまれる

60代前後の観客が多かったわー!   

 サイケデリック・カルチャーやポップアート、 

 ドラッグ、サーフィンやウーマン リウ゛、反戦などなど、 

 時代を象徴するモチーフが

当時の名曲とともに、

めまぐるしく現れては消えていく。 

 そこはまるで

万華鏡のような世界 

 

 

 

 あーん、思い出は美しすぎるのねんのねんっ    

 ここまでは申し分ないのだが・・・・・

 

 

 ひとつだけ苦言を呈しちゃう

 

 

 気になるのがストーリー性の薄さ。 

 

 

 過去にヒットしたジュークボックス系の

ほとんどは、 

 軸となるしっかりしたストーリー、

 そして、観客が感情移入できる

ヒーローやヒロインの存在があった。  

 なので、晩秋の夜長の夢のごとく、

 あまり強烈なドラマは期待せずに、

 めくるめく視覚聴覚思い出街道を

ひた走ることだけを

 念頭に楽しんじゃいましょう。   

 

 

 10月18日の正式開幕から数日後・・・ 

 

 

 出たー!

 

 

 ブロードウェイ洗礼の儀式である 

 

 

 ニューヨークタイムズ紙の劇評・・・・  

 

 

 ううううううーん、

 

 

 かなり厳しい内容だぁー、汗   

 

 

 がーしかーし、   

 

 

 ブロードウェイ史に残るロングランを記録した

 「マンマ・ミーア!」は、 

 開幕翌日のNYタイムズ紙の劇評で、

 けちょんけちょんに貶されたのヨ! 

 

 

 でも蓋を開けてみればあ〜た、

 観客の絶大な支持を受けて

大ヒットとなったのだよー。

 

 

 なので、私をも含む

劇批評家なんざ〜クソくらえ、

 ってな勢いで奮闘してもらいたい。   

 

 

 「Trip of Love」 が、一発逆転、

 満塁場外ホームランになることを祈りつつ・・・    

 

 

 ミュージカルって、ブロードウェイって

楽しいだけでなく、          

 ほんっとうに役に立つ人生訓がギュっと詰まった

素晴らしいものなんですよね!