岩崎宏美さんの40周年記念 IN NEW YORK | トシ・カプチーノ。 オフィシャルブログ Powered by Ameba

岩崎宏美さんの40周年記念 IN NEW YORK

2020年、歌手生活45周年を迎られた歌手、岩崎宏美さん。おめでとうございます❤️記念すべき40周年はNYでお迎えになりました。そのコンサートの模様を書かせていただきました。長文です。

 

 

”歌は世につれ世は歌につれ”。昭和の名司会者玉置宏さんの決め台詞だ。そして私の青春も、昭和歌謡にドップリだった。 幸運にも日本が高度成長の急坂を駆け上がっている頃におい育った私は、連日放映されていた歌謡番組に釘付け。幼少のみぎりには、ちびっ子のど自慢荒らし、思春期には伝説的オーディション番組だった『スター誕生』に挑戦し、決勝大会まで進んだ。ほろ苦い思い出だ。 当時、並みいるアイドル歌手の中でも一人抜きん出て輝いていたのが岩崎宏美さんだった。 彼女は生まれもった、アイドルに必須である美しさ、清潔さ、そして透明感に加えて、文字通り天まで届く張りのある力強い歌声と余裕綽々の声量の持ち主で、単なるアイドル枠を超えた、本格派の風格さえ漂わせていた。正確無比の音程も相まって、私は彼女の歌声の虜に。彼女の活躍を目の当たりにして、彼女の様になりたくて、前出のスタ誕のオーディションを受け続けた。実はオーディションで、一番歌いたかったのは岩崎宏美さんのヒット曲「思秋期」。しかし当時自分がゲイであることがバレてしまうのをひどく恐れていた私は、敢えて男性歌手の歌を選んだのだった。もう少し自分に正直にオーディションに臨んでいたら、その後の芸能人生も違うものになっていたのかも知れない。

 

 

そしてこの度、そんな私の心の歌のお師匠さん、岩崎宏美さんが歌手生活40周年記念コンサートをNYでやると言うではないか!アイドル歌手にこそならなかったけれど、紆余曲折を経て、今日、ブロードウェイの舞台芸術評論家として、そしてまたキャバレー・ショーのパフォーマーとして、やっぱり舞台に関連したお仕事をさせていただいているのも、岩崎宏美さんに抱いていた強い憧れが心の隅にいつも残っていて、それに導かれて辿り着いた結果なのだ。これは雨が降っても槍が降っても見に行くしか無いと!

 

 

実は、今回、岩崎宏美さんがNYに来ると聞いて、私が毎月上演しているキャバレーショーを彼女にオマージュを捧げるショーとした。と言うと、単なる便乗組かと思われるかもしれない。本当の事を言ってしまうと、スタ誕で抑えていた、「思秋期」を始めとする、岩崎さんの所謂女歌を今度こそ誰に遠慮も気兼ねもせず、存分に歌いたいという欲求を実現させるためのものだったのだ。 ショーの日程は、ご本人に私のショーを見ていただけたらという淡い期待を胸に岩崎宏美さんのNY公演日である8月6日に近い7月31日と8月5 日に設定した。私はFBを通して、ご本人にショーの案内を差し上げた。すると驚くなかれ、超ご多忙中にもかかわらず、ご来場され、最後まで暖かい笑顔で私のショーを見守って下さった。公演終了後、40年待ち続けた岩崎宏美さんとの出会いに心から感謝したのは言うまでもない。

 

 

さて、待ちに待った岩崎宏美さんのステージ。 1人のアーティストとしての音楽性を追求した手作りのライブの模様をお知らせしたい。まず、コンサート会場の選択。NYで公演する日本人は日本でも名の通った小屋、例えばクラシック音楽の殿堂、カーネギーホールや、ジャズの名門ライブハウス、ブルーノートなどを選ぶ傾向にある。そんな中で、音にこだわるジャズ・ミュージシャン、大江千里氏ならではの選択技もあっただろう、会場はリンカーンセンター近くに位置するマーキン・コンサート・ホール。適度な席数、アコーステックな音楽の音響効果は申し分ない。そして公演プロモーションのために、ご主人で舞台俳優、今拓哉さんがNYまでお越しになり、大江千里さんと宏美さんのCDを持って関係各所への挨拶周りをされていた。しかしさすが40年もの長きに渡って第一線で活躍されて来た岩崎宏美さんのコンサートのチケットは即完売。キャンセル待ちの人気となった。

 

 

超満員で迎えた公演当日。燃えるようなオレンジ色のドレスに身を包みステージに登場した宏美さん。歌の伴奏は、なんとスタ誕のオーディションを受けた経験があるらしい、ジャズ・ピアニスト、大江千里氏。待ちに待った岩崎宏美さんの生歌は童謡の「赤とんぼ」からスタート。また洋楽ではマイケル・ジャクソンのヒット曲「BEN」も英語でしみじみと心に響く歌声で、一曲一曲に、一層円熟した深い味わいが加わっている。そして岩崎宏美ファンにとって一番のご馳走であるオリジナルのヒットメドレー。日本から駆けつけたデビュー当時からのファンの黄色い声援をバックに、岩崎宏美第一次黄金期の「ロマンス」、「センチメンタル」、第二時黄金期の「聖女たちのララバイ」、そして創始期の「始まりの歌、あなたへ」(作詞作曲:大江千里)とたっぷり17曲を熱唱した。私の目にはそれらがすべてTV番組「ザ・ベストテン」や「夜のヒットスタジオ」で見た岩崎宏美さんが重なり、ニューヨークにいながら昭和の時代にタイムスリップしたような摩訶不思議な気分を味わった。

 

 

今回、一層凄みを増したステージもさることながら、岩崎宏美さん御本人の人柄の温かさに感銘を受けた。彼女が40年を経ても歌手として第一線で活躍していらっしゃるのは歌の素晴らしさはもちろん、人格者であることからだろう。息子さんの元気くんがそれを証明していた気がする。最後に今回一番心に残ったこと、それはコンサート後の打ち上げパーティー終了直前、メディアやファン対応で忙殺されていた岩崎宏美さんが、わざわざ私のところまで来てくださったお気遣いだ。ありがとう岩崎宏美さん。貴女の40周年記念NYコンサートは、わたしにとって時間と日本と米国という場所を超えて、色々な意味で堪能した最高のライブ・パフォーマンスだった。