未来、過去、現在の結婚の風景 | トシ・カプチーノ。 オフィシャルブログ Powered by Ameba

未来、過去、現在の結婚の風景




昨夜、観劇したアーサー・ミラー原作の「橋からの眺め」



超凹む芝居なのは言うまでもなく・・・・




演出家はイヴォ・ヴァンホーヴさま。


クレジットを見たら・・




1年半前に観劇したオフの超話題作


「Scenes From a Marriage」


演出家じゃアーリませんか!








まずこの野心的な演劇の基となっているのは



1973年のTVシリーズ「ある結婚の風景」



脚本、監督は20世紀のスウェーデンが生んだ



映画界の巨匠、イングマール・ベイルマンさま。




実はベイルマン氏自身も、

5回もの結婚&離婚を経験したとか。




それに費やされたエネルギーを考えただけで、

気が遠くなっちゃうけど、




ベイルマンちゃんたら、

しっかりその経験を

おのがゲージュツに昇華しちゃったんだから、


やっぱ天才は違うわぁー !




この赤裸々に結婚のリアリティーを


追求したドラマは


当時センセーションになって、


その年のスウェーデンの離婚が



一気に倍増したてんだから、


こりゃーヘヴィー級の題材だわさー。










さて、舞台版の演出はイヴォ・ヴァンホーヴ。

一体彼は、どんな仕掛けをもって

このヘヴィー級の題材に果敢にチャレンジしたのか?




まず、本作は劇場への入場の仕方が超変わっている!




1、劇場窓口でチケットと 一緒に渡されるのは

  桃色、黄色、青色、 いずれかのペーパーバンド。

  ちなみに私は桃色だった。


2、観客はそれを手首に巻き巻,後藤真希なんちゃって、苦笑



3、入場はする際は、その色分けされた、

  それぞれの劇場へ入る。




劇場のキャパは200席

しかし、本作では

それがすべて取り払われ、


そこに・・・・・

各50名ほどが座れる


桃(未来)

黄(現在)

青(過去) の3つが小部屋が仮設され,


おのおの部屋で、ある夫婦の 過去、現在、未来が

それぞれ同時進行で演じられているという演出。




主な登場人物は 夫婦のジョアンとマリアンヌ 

(これ日本だったら、スウェーデン語読みでヨハンとかに、なるのかなー??)






もちろん、それぞれの部屋で

過去、現在、未来の芝居が

同時に進行しているわけで

役にそれぞれ3人ずつ(計6人)俳優がいるわけだ。




あくまで仮設の劇場。

となりで行われている芝居の声は筒抜け。

叫び声などが、まる聞こえなのだぁー!!




それが、時空を超えた夫婦の状況を反響させて、

不思議な効果音になってるんだなぁー!






だから、観る側は、

目前のある夫婦の過去、現在、未来が互いに共鳴し合う様を、

一緒くたんに見せられてるという、錯覚にとらわれるのさ。




それももともとオフの小さな劇場

そこをまた3つに仕切っているわけなので

目の前で来る広げられる芝居は・・・




他人様の親密なリビングにお邪魔しちゃった感満載。







一幕はそれぞれ30分。

芝居が終わると・・・・

俳優から 「次の部屋に移動して下さーい」 と

案内があり、観客は次の部屋に移動。

私の場合は、 未来 → 過去 → 現在、 その順番で観劇



インターミッションは長め

観客は全員劇場から追い出され、

外で待つこと30分



一幕では3つに別れていた劇場の入り口は

二幕では全員同じ入り口から入場する。




すると劇場内は・・・・・




先ほどまであった3つの劇場の仕切りがすべて取り外され、

広い空間に・・・

そこを囲むように座席が特設。




そう、30分の休憩中に装置を取り替えたのよー!




肝心な二幕は・・・

現在の二人




別れて半年後に男性のオフィスで再会

お互いに愛人がいるのに・・・

そこでいきなり熱いセックス、

きゃーおかあたまぁー!




その後は、飲酒して泥酔して、

挙句に大げんか




イヤハヤナントモ・・・




風変わりなのは、

夫婦3組が全く同じ台詞をしゃべること。



が、しかーーーし




それぞれ違う演出




だから、役者の演技が比較されるから

俳優としての力量が問われるのさ!








印象的だったエンディング。


結婚って・・・何?



マリアンヌが実母に

「お母さんにとって結婚って?」 と聞く。



母は、「ただ一緒にいるだけ、愛も何もない」と・・・・




なんか身もふたもない、

それが現実ってことなのぉー?






何より素晴らしいのは、50年も前の作品に、



その大胆で斬新な演出方法を加えて、



しかもその手法が、安易で小手先のギミックに堕することなく、



全く新しいエンタメとして蘇らせてしまったその手腕。





同時進行劇は、

フェイスブックをチラ見しながら、

エッチ動画も見ながら

パンドラでBGMかけて、

メールとチャットも同時にこなす・・・みたいな




マルチタスキングが日常のせっかちな私達にはピッタリ !




敢えて似ても居ない俳優達に、

違う時代とは言え、

同一人物を演じさせることは、

この二人の結婚をより普遍的な問題提起にまで

おし拡げる事に成功しちゃってる。






しっかし、いくら優れた舞台芸術とは言え、

そこに描かれている結婚生活の




世知辛さ、



味気なさ、



身もふたもなさっぷり


と来た日にゃもう・・・。




実はね、子供のころ「お嫁さんになりたーい」と思っていたワタクシ。



もち男とね!



その夢が今年実現しちゃったわけですが、

(詳しくは女性自身9月16号を参考になすってね♡)

そんなワタクシには、ちと刺戟が強過ぎたかも。




ただでさえ、晩婚化少子高齢化で

危機的状況とされるニッポンのお客様には、

ある意味勧めちゃいけないのかしらー、と



多少複雑な心境ざーます、笑






しかし、さすが既成概念をぶち壊すことが大好きなオフ・ブロードウェイ。


久々にシュールな体感劇を堪能!


3時間30分の長丁場だが、余は満足じゃった!


ニッポンのリアルでシビアなアルアル夫婦像を
翻訳上演で見とうございます。




トシカプ評:★★★★




ブロードウェイってミュージカルって、楽しいだけでなく、

人生訓がいっぱい詰まった 素晴らしいもんなんですね。