未来、過去、現在の結婚の風景
昨夜、観劇したアーサー・ミラー原作の「橋からの眺め」
超凹む芝居なのは言うまでもなく・・・・
演出家はイヴォ・ヴァンホーヴさま。
クレジットを見たら・・
1年半前に観劇したオフの超話題作
「Scenes From a Marriage」
演出家じゃアーリませんか!
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20160117/07/toshicappuccino/98/45/j/t02200229_0399041513542763982.jpg?caw=800)
まずこの野心的な演劇の基となっているのは
1973年のTVシリーズ「ある結婚の風景」
脚本、監督は20世紀のスウェーデンが生んだ
映画界の巨匠、イングマール・ベイルマンさま。
実はベイルマン氏自身も、
5回もの結婚&離婚を経験したとか。
それに費やされたエネルギーを考えただけで、
気が遠くなっちゃうけど、
ベイルマンちゃんたら、
しっかりその経験を
おのがゲージュツに昇華しちゃったんだから、
やっぱ天才は違うわぁー !
この赤裸々に結婚のリアリティーを
追求したドラマは
当時センセーションになって、
その年のスウェーデンの離婚が
一気に倍増したてんだから、
こりゃーヘヴィー級の題材だわさー。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20160117/07/toshicappuccino/d7/d5/j/t02200169_0400030813542763986.jpg?caw=800)
さて、舞台版の演出はイヴォ・ヴァンホーヴ。
一体彼は、どんな仕掛けをもって
このヘヴィー級の題材に果敢にチャレンジしたのか?
まず、本作は劇場への入場の仕方が超変わっている!
1、劇場窓口でチケットと 一緒に渡されるのは
桃色、黄色、青色、 いずれかのペーパーバンド。
ちなみに私は桃色だった。
2、観客はそれを手首に巻き巻,後藤真希なんちゃって、苦笑
3、入場はする際は、その色分けされた、
それぞれの劇場へ入る。
劇場のキャパは200席
しかし、本作では
それがすべて取り払われ、
そこに・・・・・
各50名ほどが座れる
桃(未来)
黄(現在)
青(過去) の3つが小部屋が仮設され,
おのおの部屋で、ある夫婦の 過去、現在、未来が
それぞれ同時進行で演じられているという演出。
主な登場人物は 夫婦のジョアンとマリアンヌ
(これ日本だったら、スウェーデン語読みでヨハンとかに、なるのかなー??)
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20160117/07/toshicappuccino/5c/02/j/t02200146_0400026613542763985.jpg?caw=800)
もちろん、それぞれの部屋で
過去、現在、未来の芝居が
同時に進行しているわけで
役にそれぞれ3人ずつ(計6人)俳優がいるわけだ。
あくまで仮設の劇場。
となりで行われている芝居の声は筒抜け。
叫び声などが、まる聞こえなのだぁー!!
それが、時空を超えた夫婦の状況を反響させて、
不思議な効果音になってるんだなぁー!
だから、観る側は、
目前のある夫婦の過去、現在、未来が互いに共鳴し合う様を、
一緒くたんに見せられてるという、錯覚にとらわれるのさ。
それももともとオフの小さな劇場
そこをまた3つに仕切っているわけなので
目の前で来る広げられる芝居は・・・
他人様の親密なリビングにお邪魔しちゃった感満載。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20160117/07/toshicappuccino/9d/a2/j/t02200162_0400029413542763983.jpg?caw=800)
一幕はそれぞれ30分。
芝居が終わると・・・・
俳優から 「次の部屋に移動して下さーい」 と
案内があり、観客は次の部屋に移動。
私の場合は、 未来 → 過去 → 現在、 その順番で観劇
インターミッションは長め
観客は全員劇場から追い出され、
外で待つこと30分
一幕では3つに別れていた劇場の入り口は
二幕では全員同じ入り口から入場する。
すると劇場内は・・・・・
先ほどまであった3つの劇場の仕切りがすべて取り外され、
広い空間に・・・
そこを囲むように座席が特設。
そう、30分の休憩中に装置を取り替えたのよー!
肝心な二幕は・・・
現在の二人
別れて半年後に男性のオフィスで再会
お互いに愛人がいるのに・・・
そこでいきなり熱いセックス、
きゃーおかあたまぁー!
その後は、飲酒して泥酔して、
挙句に大げんか
イヤハヤナントモ・・・
風変わりなのは、
夫婦3組が全く同じ台詞をしゃべること。
が、しかーーーし
それぞれ違う演出
だから、役者の演技が比較されるから
俳優としての力量が問われるのさ!
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20160117/07/toshicappuccino/0f/b7/j/t02200205_0400037213542763984.jpg?caw=800)
印象的だったエンディング。
結婚って・・・何?
マリアンヌが実母に
「お母さんにとって結婚って?」 と聞く。
母は、「ただ一緒にいるだけ、愛も何もない」と・・・・
なんか身もふたもない、
それが現実ってことなのぉー?
何より素晴らしいのは、50年も前の作品に、
その大胆で斬新な演出方法を加えて、
しかもその手法が、安易で小手先のギミックに堕することなく、
全く新しいエンタメとして蘇らせてしまったその手腕。
同時進行劇は、
フェイスブックをチラ見しながら、
エッチ動画も見ながら
パンドラでBGMかけて、
メールとチャットも同時にこなす・・・みたいな
マルチタスキングが日常のせっかちな私達にはピッタリ !
敢えて似ても居ない俳優達に、
違う時代とは言え、
同一人物を演じさせることは、
この二人の結婚をより普遍的な問題提起にまで
おし拡げる事に成功しちゃってる。
しっかし、いくら優れた舞台芸術とは言え、
そこに描かれている結婚生活の
世知辛さ、
味気なさ、
身もふたもなさっぷり
と来た日にゃもう・・・。
実はね、子供のころ「お嫁さんになりたーい」と思っていたワタクシ。
もち男とね!
その夢が今年実現しちゃったわけですが、
(詳しくは女性自身9月16号を参考になすってね♡)
そんなワタクシには、ちと刺戟が強過ぎたかも。
ただでさえ、晩婚化少子高齢化で
危機的状況とされるニッポンのお客様には、
ある意味勧めちゃいけないのかしらー、と
多少複雑な心境ざーます、笑
しかし、さすが既成概念をぶち壊すことが大好きなオフ・ブロードウェイ。
久々にシュールな体感劇を堪能!
3時間30分の長丁場だが、余は満足じゃった!
ニッポンのリアルでシビアなアルアル夫婦像を
翻訳上演で見とうございます。
トシカプ評:★★★★
ブロードウェイってミュージカルって、楽しいだけでなく、
人生訓がいっぱい詰まった 素晴らしいもんなんですね。