ダニエル・ラドクリフのミュージカル | トシ・カプチーノ。 オフィシャルブログ Powered by Ameba

ダニエル・ラドクリフのミュージカル

2011/4/20

1961年に初演されたミュージカル『努力しないで成功する方法』。その翌年、トニー賞で7冠を達成し、同年度のピューリッツァー賞も獲得。そうくりゃ、もちろん映画化の話が来ないわけがなく67年に実現。日本では64年以来、たびたび翻訳上演され、2011年の宝塚歌劇団雪組トップスター音月桂主演で4回目の再演がなされた傑作なのさ。

物語の舞台は60年初頭のNY。将来に希望も夢もない、しがない窓ふきのフィンチは、ある日、金持ちになるためのハウ・ツゥー本「努力しないで出世する方法」を見つける。彼はその教本から、大会社に潜り込む為のやり方や、社内で優位に立つためのテクニック、上司や社長へのゴマすり方を習得。出世街道を突っ走り、ついには宣伝部の副社長の座にのし上がる。がしかし、自分が企画したTV宣伝プロジェクトが大失敗し崖っぷちに立たされ・・・。

主人公フィンチに扮したのは映画「ハリーポッター」シリーズの主演俳優としてあまりにも有名なダニエル・ラドクリフ。ブロードウェイ・デビュー作「エクウス」(08年)で、スッポンポンにまでなって大健闘したのはまだ記憶に新しい。ぶっちゃけ、彼が舞台に出てくると、「エクウス」で見た彼のタマタマがちらついて。というもの彼の、まるで銭湯で見た80歳くらいのお爺ちゃんのようにデレ~ンと垂れ下がっていたのだもの。(失敬、失敬)話がそれたけど、そんでもって今回はミュージカルに初挑戦!ブリティシュ特有の強烈な英語のアクセントを直し、歌に踊りに一生懸命頑張っていたのだけど、言ってみれば彼はミュージカルの素人。ボーカル・コーチやダンスの指導者が、手取り足取りして、観客に好まれる歌い方や、踊りのテクを徹底的に教えたことが、演技からミエミエなのさ。21歳にして億万長者になった彼が、何が悲しゅうて向いていないことやるかねぇ~、と私は思うが・・。無駄な努力はやめて、映画だけにしぼるか、隠居するとか!?裏山ぁー。

ラドクリフが、ミュージカルに向いていないことは本作の最大の欠点なのだけど、演出・振付のロブ・アッシュフォードにも非はあるかも!?振付は、飛んだり跳ねたり似たようなパターンを繰り返し。演出においては、2011年1月に閉幕したクリスチャン・チェノウス主演ミュージカル「プロミセス・プロミセス」と酷似してたぜよ。

さすが客寄せパンダのラドクリフ君。終演後の劇場横のステージドアの前には、彼見たさのファンでいっぱい。ミュージカルが、より多くの人に認知されるのはうれしいことだぜよ。だけど、所詮スター見たさ。心底ミュージカルを愛する人からしたら本末転倒なのだけど、ブロードウェイはチケットが売れてなんぼのもん。興行が成り立っているのはラドクリフのおかげなのさ。