芝居『THE MOTHER F**KER WITH THE HAT』。 | トシ・カプチーノ。 オフィシャルブログ Powered by Ameba

芝居『THE MOTHER F**KER WITH THE HAT』。

近所に出来た日系スーパー、ダイノブで夕食のお買い物。
購入した物はすべて割引セール品。
正札には一切、手を付けませんと、キッパリ!!
私も、もう立派なオバちゃんだわ。

2011/6/30

黒人に絶大なる人気を誇るスタンダップ・コメディアン、クリス・ロック。俳優、映画監督、脚本家もこなすマルチタレントがブロードウェイデビューを飾った。お得意の弾丸トークで挑んだ作品は、男女の浮気を通して、人間心理を説くストレート・プレイ『THE MOTHER F**KER WITH THE HAT』。

舞台は現代のNY市。アル中で薬物中毒のジャッキーは元麻薬の売人。刑務所でのおつとめを終え、保護観察処分の下でシャバに戻って来る。彼は、元薬物依存症患者で、現在は保護観察管を務めるラルフにサポートされて、社会復帰を試みることに。そんなある日、ジャッキーが幸運にも堅気の仕事をゲット。彼は同棲中のヴェロニカとエッチをするため、花を購入し、彼女が待つアパートへ。そこでモーションをかけるのだが、彼女の反応はイマイチ。「シャワーを浴びる」とそそくさとバスルームへ消えていく。その間、ジャッキーがベットに横たわっているとシーツから他の男の臭いが!しかもテーブルの上には、他の誰かの男ものの帽子が!!!

脚本を手掛けたのは、「ユダの最期の日々」のスティーヴィン・アドリー・ギアギス。貧しい犯罪者の描写を得意とする脚本家だ。ブロードウェイ・デビューとなった本作では、薬物やアルコール依存症患者の内面にある動揺、嫉妬、憎悪といった感情を独特な台詞で表現。言葉だけではなかなか伝えられない人間の情熱、愛情、心理は、アンナ・D・シャピロ(「August: Osage County」08年)の演出によって面白可笑しく描写されている。

キャストの演技力は一人の除いて抜群。ジャッキーに扮したボビー・カナバルをはじめ、ベロニカ役のエリザベル・ロドリゲス、おかまのフリオ役、ユル・ヴァスケスの台詞の言い回しや、何気ない仕草はリアルそのもの。トニー賞でノミネートにだけに終わったのが腑に落ちないほど。その一方で、私の期待虚しく”トホホ”だったのがクリス・ロック。彼のために用意されたと思われる毒舌の台詞も緊張気味な彼が口にすると全く意味なし。演技も固く、ぎこちない動作は観ていられなかったほど。格闘シーンも今まで観たブロードウェイの芝居の中では最低レベル。スタンダップ・コメディの世界では自然体でいて、かつ絶妙なタイミングで会場を爆笑の渦に巻き込む天才的なエンターテナーぶりを見せる彼なのに、本作の初舞台では素人同然。アカデミー賞で司会も務めた人とは思えなかったんだな。とはいえ、腐ってもセレブのロック。彼の知名度と卓越した脚本、彼を取り巻く優秀な俳優達のおかげで観客動員は常に90%をキープ。公演が延長されたほど。私が観劇してからもうかれこれ二ヶ月が経過。ロックもう3ヶ月程同じ演じているからウマくなってるかもね。客は練習台じゃないぜよ。